R-77 (ミサイル)R-77は、ロシア製のアクティブ・レーダー・ホーミング誘導の中距離空対空ミサイル。DoD識別番号はAA-12 、NATOコードネームはアッダー(Adder、マムシの意)。 アメリカのAMRAAM(アムラーム)と運用形態や性能が似ていることから、西側のジャーナリストから「アムラームスキー」と呼ばれた。設計はアムラームとは全く関係なく、「アムラームスキー」は嘲笑的な呼び方である。また、形状的にも末尾に四翔ある「スノコ状」の舵翼など、アムラームとの差異は大きい。 概要このミサイルはヴィーンペル科学製造連合によって設計・製作されたミサイルで、AIM-120同様のアクティブ・レーダー・ホーミング誘導による撃ちっ放し能力を有する。1982年より開発を開始したが、1991年のソビエト連邦の崩壊に伴うウクライナの独立によりコンポーネントを供給していたアルテムとルーチ[1] が別の国の企業となったことを考慮して、1992年のモスクワ航空ショーで公開したものの、少数生産ののち量産を停止した。 量産再開後、インドや中国をはじめとする国々がR-77の採用・購入を決め導入を開始したが、ロシア空軍は長らく導入しなかった。しかし、2009年に改良型であるR-77-1の受領テストを完了し調達を開始した[2]。 設計R-77は、高い機動性を有しており35Gの機動が可能であり、最大速度はマッハ3-4.5、角速度は150°毎秒に達する[3]。射程に関して、高高度の機動していないターゲットにヘッドオンで発射した場合、80km。改良型のR-77-1では110kmとなり、ラムジェット型のR-77-PDでは150kmに達するとされている。 これには、尾部の特徴的なフィンが影響している。これはグリッドフィンと呼ばれるもので通常のミサイルの十字翼と尾部制御デバイスを掛け合わせたものに値し、大迎え角時に気流の剥離が少ないほか軽量であり従来のフィン機構に比べて大幅に短い翼弦長で表面積を大きく取れるためアクチュエータのトルクを大幅に小さくできる。R-77のグリッドフィンは45度×135度の交差角で取り付けれられており、全遊動式である[4]。一方でRCSが大きく、遷音速における抵抗が大きいという欠点があり[5]、発展型のK-77Mでは通常のフィンに戻されている。推進は1段階の固体燃料ロケットエンジンであるが、K-77Mでは2段階となり、K-77MEやR-77M-PDではラムジェット推進となっている。 シーカーはアガトによって開発された9B-1348多機能ドップラーモノパルスアクティブレーダーシーカーを装備している。これには2つの操作モードがあり、短距離では撃ちっ放しモードを起動、長距離では慣性/電波修正航法を併用しを使用し、ターゲットとの距離が16km以内になるとアクティブレーダーモードが自動で起動する[6]。もしターゲットからロックオンが外れても、ホストレーダーシステムがターゲット情報を保持するようになっている。対ECMとしては、仮にシーカーがジャミングを受けた場合、自動的に逆探知モードに切り替わり、ジャミング電波の発信源に向かって飛翔するホームオンジャム機能を持つ。R-77-1ではシーカーがR-37MやR-27AEに採用されたものと同系統の9B-1103M-200となり、ロックオン距離が20kmとなり、ECCM能力も向上、重量も減少(16kg→14.5kg)している[7]。開発がすすめられているK-77Mではアクティブフェーズドアレイとなり、ロックオン距離は60km以上に増加しているとされている[8]。 弾頭は、マルチ成型炸薬ロッド型で、レーザー近接センサーが装備されている。運用はAKU-170Eランチャーから行われる。陸上発射型もあり、これは輸送発射コンテナに保管されている。 派生型
対応機種採用国
仕様R-77出典[29]
R-77-1出典[29]
R-77-PD出典[31]
脚注
参考文献
関連項目外部リンク
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