マッハ数
マッハ数(マッハすう、英: Mach number)は、流体の流れの速さと音速との比で求まる無次元量である。 名称は、オーストリアの物理学者エルンスト・マッハ(独: Ernst Mach)に由来し、航空技師のヤコブ・アッケレートにより1929年に名付けられた[1]。英語での読みは[ˈmɑːk ˌnʌmbər]、あるいは[ˈmæk ˌnʌmbər]となる。 定義マッハ数 は流体の相対速度を 、音速を とすると、 で求められる。 物理的な意味マッハ数は、流れ場のもつ慣性力の弾性力(流れを圧縮するのに要する力)に対する比、つまり流れ場における圧縮性の影響の程度を表しており[1]、マッハ数が大きいほどに圧縮性の影響が増大する。このことからマッハ数は以下のような物理的意味を持っている。
マッハ数による流れ場の分類先に述べたとおりマッハ数は流れ場における圧縮性の影響力を示している。このためマッハ数によって流れ場の特性が大きく変化することから、マッハ数を用いて以下のように流れ場が分類される。
一般的用法高速の飛行機においては、対気速度とは別に飛行マッハ数をマッハメーターを用いて計測することで空気の圧縮性の影響を求め、飛行制御に用いる。飛行機のマッハ計は圧縮性の影響を求めるための計器であり、単純に対気速度を定数としての海面上音速で割った物では無い。(亜音速で飛行する航空機の巡航速度は対地速度でも対空速度でもなく、飛行している空間の音速との比率で決まる。そのため例えばボーイング787の巡航速度はマッハ0.85とされ、具体的な時速は明示されていない。) 音速は絶対温度の平方根に比例して変化する。地上での実験等ではこの差はほとんど問題とならないが、ジェット機の巡航高度となる対流圏上部 - 成層圏下部ではおおよそ300 m/s(= 1,080 km/h)と、地上との差が顕著になる。したがって、飛行機の飛行マッハ数を単純に340 m/sや1,200 km/hで換算することは、とりわけ高空における場合は正しくない。高度11,000m以上では、1,062km/hが目安となる[2]。 大気圏外の宇宙船などに対しては、マッハ数を考えること自体ができない。 ただし、恒星圏と星間物質の相互作用を扱う際にはマッハ数を考慮することがある(バウショック)。 海面上音速等と言われるものは、気温 15℃、1気圧 (1,013 hPa) の空気中(国際標準大気 (ISA) 海面上気温)での音速は約 340 m/s ( = 1,224 km/h, 761.2 mph, 661.5 knots)となる。 「マッハ」という言葉は一般には高速という印象が強く、俗に以下のような使われ方をする。
脚注関連項目外部リンク
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