越中国の式内社一覧

越中国の式内社一覧(えっちゅうのくにのしきないしゃいちらん)は、『延喜式』第9巻・第10巻「神名帳上下」(延喜式神名帳)に記載のある神社、いわゆる「式内社」およびその論社のうち、越中国に分類されている神社の一覧。

また『延喜式』神名帳の編纂当時に存在したが同帳に記載の無い神社、いわゆる「式外社」についても付記する。

式内社

『延喜式』神名帳では、大社1座1社(名神大社)・小社33座32社の計34座33社を記載。大社1座は写本により異同がある。

(凡例)

1)「神名帳」列は、『延喜式 上巻』(大岡山書店、昭和4年、国立国会図書館デジタルコレクション)等における『延喜式神名帳の記載を基に作成。社名表記は神社史料集成(5を参照)における字体(異体字がある場合には新字体・通用性の高い字体を使用)を基準とした。読みの「-」部分は、「神社」以外で仮名が振られていない部分。「○座」は座数を表し、一座の場合は記載していない。
2)格の「名神大」は名神大社を、「大」は式内大社(名神大社除く)を、「小」は式内小社を意味する。付記は社名とともに記されているもので、一部は「式内社#式内社の社格」を参照。
3)比定社が複数ある場合、最も有力なものを無冠で示し、他の論社には「(論)」を冠した。
4)本来の式内社とは認めがたいものの、式内社を合祀したなどその後継を主張するもの、その他参考の神社には「(参)」を冠した。

5)「集成」列は神社史料集成(國學院大學21世紀COEプログラム「神道・神社史料集成」)における神社項へのリンク先を記載。
神名帳 比定社 集成
社名 読み 付記 社名 所在地 備考
礪波郡 7座(並小)
高瀬神社 タカセノ 高瀬神社 富山県南砺市高瀬 越中国一宮 [1]
長岡神社 ナカヲカノ
林神社 ハヤシノ (論)林神社 富山県砺波市林
(論)林神社 富山県砺波市頼成
荊波神社 クハラノ
ヤフナミ
荊波神社 富山県南砺市岩木
比売神社
(比賣神社)
ヒメノ 比賣神社 富山県南砺市高宮
雄神神社 ヲカミノ 雄神神社 富山県砺波市庄川町庄 [2]
浅井神社 アサヰノ (論)浅井神社 富山県高岡市石堤
(論)浅井神社 富山県高岡市福岡町赤丸
射水郡 13座(大1座・小12座)
射水神社 イミツノ 名神大か[注 1] 射水神社 富山県高岡市古城 越中国一宮 [3]
道神社 ミチノ (論)道神社 富山県射水市作道
(論)道神社 富山県高岡市五十里
物部神社 モノノヘノ 物部神社 富山県高岡市東海老坂
加久弥神社 二座 カクミノ 加久弥神社 富山県氷見市神代
高岡関野神社 富山県高岡市末広町 加久弥神社合祀(大正8年)
久目神社 クメノ 久目神社 富山県氷見市久目
布勢神社 フセノ 布勢神社 富山県氷見市布施
速川神社 ハヤカハノ (論)速川神社 富山県氷見市早借字滝尾
(論)速川神社 富山県高岡市波岡
(論)早川八幡社 富山県高岡市早川
櫛田神社 クシノ 櫛田神社 富山県射水市串田
礒部神社 イソヘノ 礒部神社 富山県氷見市磯辺
箭代神社 ヤシロ 箭代神社 富山県氷見市北八代
草岡神社 クサ- 草岡神社 富山県射水市古明神
気多神社 ケタノ 名神大か[注 1] 気多神社 富山県高岡市伏木一ノ宮 越中国一宮 [4]
婦負郡 7座(並小)
姉倉比売神社 アネクラ- (論)姉倉比売神社 富山県富山市呉羽町
(論)姉倉比売神社 富山県富山市舟倉
速星神社 ハヤホシノ 速星神社 富山県富山市婦中町速星
白鳥神社 シラトリノ 白鳥神社 富山県富山市八尾町三田
多久比礼志神社 タクヒレシノ 多久比礼志神社 富山県富山市
熊野神社 クマノ (論)熊野神社 富山県富山市宮保
(論)熊野神社 富山県富山市婦中町中名
(論)熊野神社 富山県富山市婦中町友坂
杉原神社 スキハラノ 杉原神社 富山県富山市八尾町黒田
鵜坂神社 ウサカノ 鵜坂神社 富山県富山市婦中町鵜坂 [5]
新川郡 7座(並小)
神度神社 カムトノ 神度神社 富山県中新川郡上市町森尻
建石勝神社 タケイハカツノ 建石勝神社 富山県魚津市吉島
櫟原神社 イチヒハラノ 櫟原神社 富山県滑川市神明町
八心大市比古神社 -オホイチ- 八心大市比古神社 富山県黒部市三日市
日置神社 ヒオキノ (論)日置神社 富山県中新川郡立山町利田日置 [6]
(論)日置神社 富山県中新川郡立山町日中
布勢神社 フセノ 布勢神社 富山県魚津市布施爪
雄山神社 ヲヤマノ 雄山神社 富山県中新川郡立山町 越中国一宮
  1. ^ a b 射水神社と気多神社のどちらを名神大社とするかについては、写本により異同がある。九条家本(最古の写本)では気多神社とし、出雲本では射水神社とする。

式外社

『延喜式』神名帳の編纂当時に存在したが、同帳に記載の無い神社。

文献 比定社 集成
神名 記事 社名 所在地 備考
新川神 『日本三代実録』貞観9年(867年)2月27日条ほか 新川神社 富山県富山市新庄町 [7]
石武雄神 『日本三代実録』元慶3年(881年)10月29日条 石武雄神社 富山県南砺市野尻
楯桙神 『日本三代実録』貞観6年(864年)3月13日 楯鉾神社 富山県氷見市白川
御田神 『日本三代実録』貞観9年(867年)10月5日 御田神社 富山県氷見市仏生寺
賀積神 『日本三代実録』貞観15年(873年)12月 宮津八幡宮 富山県魚津市宮津
手向神 『日本三代実録』元慶2年(887年)5月8日 手向神社 石川県河北郡津幡町倶利伽羅
新治神 『日本三代実録』元慶7年(883年)12月28日 新治神社 富山県黒部市生地
鵜坂姉比咩神 『日本三代実録』貞観5年(863年)8月15日 鵜坂神社 富山県富山市婦中町
鵜坂妻比咩神 『日本三代実録』貞観5年(863年)8月15日 鵜坂神社 富山県富山市婦中町
杉田神 『日本三代実録』貞観5年(863年)8月15日 移田八幡宮 富山県高岡市中田
脇子神 『日本紀略』寛平元年(889年)8月22日 脇子八幡宮 富山県下新川郡朝日町横尾

参考文献

  • 皇典講究所・全国神職会校訂『延喜式 上巻』(大岡山書店、昭和4年) - 国立国会図書館デジタルコレクション
  • 『延喜式 第2』(日本古典全集刊行会、昭和4年) - 国立国会図書館デジタルコレクション

外部リンク