無線局免許状
無線局免許状(むせんきょくめんきょじょう)は、電波法に基づき無線局が免許を与えられた時に交付される公文書である。 略して局免と呼ばれる。 また、無線局登録状、高周波利用設備許可状については、無線局免許状に関する規定が準用されるため、併せて述べる。 概要電波法第4条により無線局を開設する者は、同条ただし書きにある場合を除き総務大臣から免許[注 1]を受けなければならない。なお、電波法(電波法に基づく命令も含まれる。)を国に対して適用する場合、同法に基づく「免許」または「許可」は、「承認」と読み替えて適用されることとなっている(電波法104条2項)。 総務大臣は、電波法第14条により検査を行った結果違反がない場合、同法第15条により総務省令無線局免許手続規則(以下、「免許規則」と略す。)第2章第1節の2に規定する簡易な免許手続による場合および電波法第27条の2により複数の特定無線局を包括して開設する場合には無線局の免許を与えなければならないとされ、免許状を交付するものとしている。 ただし、免許規則第21条第7項により同一人に属する二以上の所定の無線局で、無線設備の常置場所が同じであるものは、あわせて1枚の免許状を交付されることがある。 同様に、電波法第27条の18による登録局の登録、電波法第100条及び電波法施行規則第44条による高周波利用設備の許可の際にも、登録状や許可状を交付する。 これらの手続きの内、一部の無線局の免許、無線局の登録、高周波利用設備の許可については、電波法第104条の3および電波法施行規則第51条の15により、設置場所又は常置場所を管轄する総合通信局長(沖縄総合通信事務所長を含む。以下同じ。)に権限が委任されている。
なお、総務省において免許事務を所掌するのは、放送局関係が情報流通行政局、それ以外は総合通信基盤局である[4]が、免許状を発給するのは総合通信局長である。 無線局免許状手数料政令電波法関係手数料令第2条に、特定無線局は第6条による。ここで情報通信技術利用法の規定によるもののは、減額されることが規定されている。これは電子申請によりPay-easyを利用する。 権限者2012年(平成24年)4月2日[5]現在 免許の権限者は総務大臣である。ただし、次の無線局については総合通信局長に委任されている。
交付無線局の免許は、無線局の種別に従い設置場所(一部の移動する無線局は送信設備)ごとに申請するのが原則である。ただし、移動するアマチュア局など送信装置ごとに申請することが不合理であると認められる無線局は、複数の送信装置を単一の無線局として申請することができる。 また、通信の相手からの電波を受けることにより自動的に選択される電波のみ発射する無線局のうち、電波法施行規則に定めるもので適合表示無線設備のみを使用するものは特定無線局として包括免許を申請することができる。すなわち、複数の無線局に対して一枚の無線局免許状が交付される。 特定無線局は電波法施行規則で携帯電話端末やMCA無線移動局などが対象とされている。
記載事項無線局免許状には、免許の番号、免許の年月日、免許の有効期間、識別信号、免許人の名称及び住所、種別、目的、通信の相手方および通信事項(基幹放送局を除く。)、設置場所及び指定事項(電波の型式、周波数、空中線電力、運用許容時間)などが、基幹放送局は上記に加えて放送事項、放送区域が記載されている。
有効期間2013年(平成25年)2月1日[9]現在 下記を除き5年である。
有効期間は原則として種別毎に一定日に有効期間が満了するように指定される。 すなわち、免許の日が異なっても同一日に満了するように免許される。 次の局は毎年告示で定める日(初回の免許に限り、4年を超えて5年以内の一定日)に満了するように指定される。 [10] 上記の例外(免許の日から5年)となるのは次の局である。
なお、次の場合は所定の期間より短い期間を有効期間とすることがある。
様式2019年(平成31年)1月1日[11]現在 免許規則 別表第6号から第6号の4に規定されている。
これ以降は種類が増加し、途中
取扱い2019年(平成31年)1月1日[19]現在 電波法施行規則第38条第1項により無線局免許状は、無線局に備え付けておかねばならず、第2項により船舶局、無線航行移動局、船舶地球局は主たる送信装置のある場所の見やすい箇所に掲げておかなければならない。ただし、掲示を困難とするものについては、その限りで無い。 2023年(令和5年)4月1日より、電波法施行規則第38条第4項が新設され、無線局免許状の備付義務を要する無線局は、スキャナ等により電子的に保存された無線局免許状又は登録状の写しを無線局に備え付けた電子計算機(パソコン、タブレット等)により直ちに表示することができる場合、備付義務を満たすものとすることとなった。この規則の適用を受けるかは免許人の判断で、届出等も必要はない。従前通り原本を備え付けることもできる。ただし、掲示義務(第2項)を課されている局は、上記の従前どおり原本掲示である。 スキャナ保存の規則を適用を受ける場合でも、原本は免許人が任意の場所で適切に管理する必要がある。無線局免許状の原本が破損、紛失等した場合は再交付申請が必要である。また、有効期限満了等による免許状の返納義務も従前どおり残るため、原本の廃棄はできない。 この規則により、複数局や複数の場所で無線局を開設している企業等では、実際の設置(常置)場所にはスキャナで読み取った免許状の写しを配布すれば足り、免許状原本は本社等で一括管理することが可能となり、免許状原本を配布し回収する管理業務の緩和効果が期待できる。 また、令和7年1月にデジタル(ペーパーレス)免許状の導入が予定されている。
同条第3項により次の無線局は、第1項にかかわらず常置場所に備え付けねばならない。
免許が効力を失ったとき、免許人であった者は、1か月以内に免許状を総合通信局長に返納しなければならない[21]。 返納しない者は、30万円以下の過料に処される[22]。 再免許2004年(平成16年)7月1日[23]現在 免許規則第17条による。同条第1項により、再免許の申請は有効期間満了の
に、免許の有効期間が1年以内の無線局は1か月前までに行わなければならない。 第2項により、免許の有効期間満了1か月以内に免許された無線局は、免許を受けた後直ちに再免許の申請を行わなければならない。 公表免許状の記載事項は、電波法第25条に基づき電波法施行規則第11条の2に規定する無線局を除き、同規則第11条に規定するものがインターネットその他の方法で公表される。 (外部リンクの「無線局等情報検索」参照) 参考画像
無線局登録状2005年(平成17年)5月16日[25]に制度化された。 2019年(平成31年)1月1日[26]現在 日本国内で使用される、他の無線局の運用を阻害するような妨害を与えない機能を持つ適合表示無線設備のみを用いた無線局は、免許ではなく登録となる[27]。 登録に際し外国籍の者を除外する規定は無い。
電波法施行規則第17条に規定される。具体的には登録局#種別を参照。
電波法関係手数料令第8条による。 免許状と同様にインターネット申請によりPay-easyを利用すれば減額される。
無線局の登録は、無線局の種別に従い設置場所(移動する無線局は送信設備)ごとに申請するのが原則である。ただし、構内無線局は、複数の送信装置を単一の無線局として申請することができる。また、周波数及び無線設備の規格を同じくするものであれば、包括して登録を申請することができる。すなわち、複数の無線局に対して一枚の無線局登録状が交付される。
5年、ただし、再登録は妨げない。
免許規則別表第6号の6による。
免許規則第25条の14第3項により、再登録の申請は有効期間満了の1か月以上3か月以内までに行わなければならない。
登録が効力を失ったとき、登録人であった者は、1か月以内に登録状を返納しなければならない[28]。 登録状を返納しない者は、30万円以下の過料に処される。[29]。
登録状の記載事項は、免許状と同様にインターネットその他の方法で公表される。 (外部リンクの「無線局等情報検索」参照) 高周波利用設備許可状1950年(昭和25年)6月1日の電波法令制定時から規定されている。 2019年(平成31年)1月1日[26]現在
は総合通信局長の許可を要する。 手数料は規定されていない。つまり無料である。 有効期限は規定されていない。外国籍の者を除外する規定も無い。
高周波利用設備許可状は、次の種別ごとに交付される。
高周波利用設備が電波法令の技術基準に適合し、その周波数の使用が他の通信に影響を与えないと認められれば、許可される。
免許規則別表第10号による。
許可が効力を失ったとき、設置者であった者は、1か月以内に許可状を返納しなければならない[30]。 許可状を返納しない者は、30万円以下の過料に処される。[22]。 日本国外電波発射地を管轄する主権国家が国際条約に基づき管理することとなっているので、無条件で自由に電波を発射することはできない。日本国外においても正規の許可を受けた無線局には、無線局免許状に相当する書類が交付される。以下にアマチュア局での例を紹介する。 大韓民国大韓民国では、日本と同様にエリアごとに電波管理所が設けられており、そこから交付される。記載事項は概ね日本の様式と同一であるが、日本と異なる点としては、
日本のアマチュア無線技士が、相互運用協定に基づきアマチュア局の申請をした場合、無線従事者資格は交付されず、無線局が許可されるのみである。 日本政府発行の無線従事者免許証(英語が付記されてないものは無線従事者免許証記載事項証明もあわせ)と韓国政府発行の無線局許可証を所持して運用しなければならない。 パラオ共和国パラオ共和国は独立国家であるが、従前はアメリカ合衆国の信託統治領であったことから、アメリカ合衆国連邦政府の政府機関である連邦通信委員会(FCC)の方式を踏襲している。国内全土において、政府機関であるMinistry of Public Infrastructure, Industries & Commerce(MPIIC)(公共基盤・工業商務省)が交付する。 日本や韓国のように、操作資格(免許証)と無線局資格(免許状)に分離しておらず、操作資格を受けると、同時に無線局資格も得られコールサイン(識別信号)が付与される。「CUT ALLONG THE DOTTED LINE」で切り取って使用することも可能で、CUT...より上が常置場所(自宅)などへの掲出用、下が携帯用のものである。 外国人が開設するものは、有効期限が1年(特別コールサインや団体局の場合は更に短くなる。)である。相互運用協定は締結されていないが、パラオ政府の好意により、日本政府のアマチュア無線技士資格を保有し、アマチュア局を現に開設している場合は、事前に書類審査を受けることにより政府から操作資格と無線局資格の許可を無試験で受けることができる。 申請書には、無線機の機種を記載する欄があるが、既にパラオ国内で免許を受けている無線機であれば、それを借りることも可能である。 脚注注釈出典
関連項目外部リンク
総務省電波利用ホームページ
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