悲しみにさよなら
「悲しみにさよなら」(かなしみにさよなら)は、日本のロックバンドである安全地帯の楽曲。 1985年6月25日にKitty Recordsから9枚目のシングルとしてリリースされた。前作「熱視線」(1985年)よりおよそ5か月ぶりにリリースされたシングルであり、作詞は松井五郎、作曲は玉置浩二、編曲は安全地帯が担当している。玉置のメロディアスな楽曲と松井のロマンチックな歌詞の融合の完成形となった楽曲であり、松井は本作が人生を変えた1曲であると述べている。 TBS系音楽番組『ザ・ベストテン』(1978年 - 1989年)では6週連続第1位を獲得、またNHK総合音楽番組『第36回NHK紅白歌合戦』において本作で同番組への初出場を果たした。また、1993年にキリンビール「秋味」のコマーシャルソングとして使用された。MOOMINや島谷ひとみなどの歌手のほか、中国語圏の歌手によって多数のカバー作品がリリースされている。 音楽性と歌詞自伝本『玉置浩二 幸せになるために 生まれてきたんだから』において玉置浩二は、2枚目のアルバム『安全地帯II』(1984年)から始まった玉置によるメロディアスな楽曲と松井五郎によるロマンチックな歌詞を組み合わせたスタイルの完成形が本作であると述べ、「安全地帯が目指していた、ジャンルや年齢も関係ない、誰もが認める普遍的なメロディが、聴く人に受け入れてもらえた証でもある」と述べている[2]。また、作詞を担当した松井もターニングポイントとなった作品であると述べている[3]。この曲の大ヒット以後、松井は「安全地帯の6人目のメンバー」とファンに揶揄される程に、安全地帯と親交を深めていくことになる。 松井は玉置および玉置との不倫交際が報道されていた女優の石原真理子とともに頻繁に海を訪れていたが、報道が過熱していた両者が安心して訪れることが出来るのは真夜中であり、松井は玉置に対して「次は昼間に来よう」と提案するも玉置は曖昧な返事をするのみであった[4]。無人の浜辺では店もすべて閉店しており、両者の境遇を不憫に思った松井は本作の歌詞を書き上げることとなった[5]。松井は7枚目のシングル「恋の予感」(1984年)においても作詞を行ったものの30回程度書き直した末に没となり、結果として井上陽水による歌詞が採用されることとなった[6][7][8][9]。その時に松井は、井上が制作した歌詞について「書かないことの美学、美しさというのがあって。あ、これで良いんだって解答を見せられた感じがすごくあった」と述べていた[6]。この経験から、松井はそれまでの紙の上で言葉を構築するスタイルから、メロディーや声、アレンジが揃った段階で最も適切な言葉を考えるようになり、その方式で上手く表現できたのが前作「熱視線」(1985年)および本作であったと述べている[9]。また、松井は井上の歌詞から学んだ経験がなければ本作のようなシンプルな歌詞は制作できなかったとも述べている[6]。さらに本作が松井自身にとっての転機となった述べた上で、「人生を変えた1曲と言ってもいいと思います」と述べている[10]。 音楽情報サイト『CDジャーナル』では、それまでの安全地帯の楽曲がアダルトなムードを持っていたのに対し、本作では上質なポップ・サウンドに変化したと表記しており、過去の痛みを忘れ新たな旅立ちを決意した友人を励ますようなポジティブなメッセージ性があるとした上で「じんわりと熱い」と表記している[11]。 リリース、チャート成績本作は1985年6月25日にKitty Recordsより9枚目のシングルとして7インチレコードにてリリースされた。1988年12月10日には8センチCDとして再リリースされた[12]。1993年にはキリンビール「秋味」のコマーシャルソングとして使用された[13]。 1985年のシングル盤はオリコンシングルチャートにおいて最高位第1位、登場週数は18回で売り上げ枚数は44.3万枚となった[1]。本作は同チャートにて合計4週間第1位を獲得したが、安全地帯としての第1位獲得は本作が最後となっている[注釈 1]。また、本作の売り上げ枚数は安全地帯のシングル売上ランキングにおいて第2位となった[14]。 TBS系音楽番組『ザ・ベストテン』(1978年 - 1989年)では、1985年7月18日放送分において第5位で初登場し、8月22日放送分にて第1位を獲得、前作「熱視線」では1位を獲得したもののスタジオ出演が出来なかったため番組恒例のくす玉を割ることが出来ず、本作で初めてくす玉を割ることとなった[15]。以後9月26日放送分まで6週間に亘って連続第1位を獲得、結果として10月10日までランクインし続け13週連続ランクインとなった[15]。また、『ザ・ベストテン』のほかに日本テレビ系音楽番組『ザ・トップテン』(1981年 - 1986年)においてもチャートインし、番組に出演した際はアルバム『安全地帯IV』(1985年)制作の真っ最中であったため、レコーディングを行なっていた伊東市にあるキティ・レコードの伊豆スタジオをはじめ、伊豆シャボテン公園、下田海中水族館、MOA美術館など、伊豆半島からの中継による出演が多くなった。 『ザ・ベストテン』および『ザ・トップテン』においてともに年間第1位を獲得し、応援ゲストとして前者には安全地帯の楽曲「デリカシー」が主題歌として使用されたTBS系テレビドラマ『親にはナイショで…』(1986年)出演者である女優の星由里子、アマチュア時代の安全地帯を物心ともに支援した後に『優佳良織工芸館』館長となる木内和博が出演、後者には星勝とツアースタッフが登場した。また、安全地帯は1985年12月31日放送の『第36回NHK紅白歌合戦』において、本作で初出場を果たした[16]。 本作はデビュー40周年記念ベスト・アルバム『THE BEST ALBUM 40th ANNIVERSARY 〜あの頃へ〜』(2022年)の収録曲を決定するファン投票において第4位を獲得した[17]。 収録曲
認定
リリース日一覧
収録アルバム
童子-Tによるカバーシングル
「悲しみにさよなら feat.Full Of Harmony」は、日本の歌手童子-Tの10枚目のシングルである。2007年5月16日発売。発売元はユニバーサルミュージック。 概要収録曲
収録アルバム
ユン・サンヒョンによるカバーシングル
「悲しみにさよなら」は、ユン・サンヒョンの4thシングルである。 概要
収録曲
解説
その他カバー日本語バージョン
英語バージョン
中国語バージョン
脚注注釈
出典
参考文献
外部リンクこの記事は以下のカテゴリでも参照できます |
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