平成29年台風第27号
平成29年台風第27号(へいせい29ねんたいふうだい27ごう、アジア名:Tembin、フィリピン名:Vinta)は、2017年12月に発生し、フィリピンに大きな被害をもたらした台風である。 概要2017年12月16日頃にチューク諸島の近海で形成が始まった低圧部が、同日9時に熱帯低気圧に発達した。熱帯低気圧は18日には低圧部に降格したものの、20日9時に再びパラオの近海で熱帯低気圧に昇格した。合同台風警報センター(JTWC)は同日18時(協定世界時20日9時・フィリピン標準時20日17時)に熱帯低気圧形成警報(TCFA)を発表し、フィリピン大気地球物理天文局(PAGASA)は、フィリピン名「ヴィンタ(Vinta)」と命名した[1][2]。熱帯低気圧は21日3時に、フィリピン南部のミンダナオ島の東(北緯8.6度分・東経130.9度)で、中心気圧1,000 hPa・最大風速18 m/sの台風27号となり[3][4][5]、アジア名「テンビン(Tembin)」と命名された。命名国は日本で、「てんびん座」を意味する[5][6]。台風は比較的ゆっくりした速度で西進して、22日に夜遅くにミンダナオ島に上陸[2]。同島を横断した後にスールー海を西に進み、25日21時にベトナムの南の南シナ海で熱帯低気圧に変わった[7]。 影響・被害この台風は、フィリピンを中心に大きな被害をもたらした。台風が上陸したミンダナオ島を中心に、大雨による洪水や地滑りなどが発生し、200人以上が死亡した。ミンダナオ島サンボアンガ半島の沿岸沿いの村・アヌンガンでは、川の氾濫により土砂や倒木によって家屋が流された。サンボアンガ半島の多くの地域では通信網や電気が寸断されて、橋の倒壊や洪水、土砂崩れなどで一部地域での孤立状態が続いたという[8]。 フィリピンには毎年20個ほどの台風が上陸し、たびたび避難警報が発令される。今回も沿岸部や川岸には避難警報が出されていたものの、多くの住民がこの警報を無視したため、被害に巻き込まれたという[8]。 その他この台風のアジア名「テンビン(Tembin)」は、この台風限りで使用中止となり、次順からは「コイヌ(Koinu)」というアジア名が使用されることになった。さらに、この台風のフィリピン名「ヴィンタ(Vinta)」も、この台風限りで使用中止となり、次順からは「ヴァーベナ(Verbena)」というフィリピン名が使用されることになった。 脚注
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