安城家の舞踏会
『安城家の舞踏会』(あんじょうけのぶとうかい)は、1947年(昭和22年)9月27日公開の日本映画である。松竹製作・配給。監督は吉村公三郎、脚本は新藤兼人、主演は原節子。モノクロ、スタンダード、89分。『安城家の舞踏會』とも表記される。 チェーホフの戯曲『桜の園』を下地とした新藤兼人のオリジナル脚本を吉村公三郎が映画化した作品で、終戦直後の変革の波に呑まれるかのように没落した名門華族・安城家の人々の姿を描いている。第21回キネマ旬報ベスト・テン第1位。 あらすじ第二次世界大戦後、華族制度が廃止され、大名華族の安城伯爵家も没落の憂き目を見る。財産を手放していき、最後に残った屋敷も借金のかたに成金である新川龍三郎が手に入れようとしていた。安城家の次女の敦子は、元運転手から実業家に成りあがった遠山庫吉に援助を頼んだが、プライドから当主の忠彦はそれを退ける。未だ華族の生活に未練がある忠彦は最後に屋敷で舞踏会を開くことにし、父の心情を汲んだ敦子も同意する。 舞踏会の夜、安城家には多くの客が集まり、広間で華やかな舞踏会が行われた。忠彦の姉・春小路正子は、日露戦争の折に皇族や名家の者と集った日々を回想する。そんな中、別室では忠彦が恥を忍んで新川に温情を乞うていたが冷たく突き放され、忠彦の息子・正彦と新川の娘・曜子との婚約も解消される。新川が”伯爵”の地位を利用していただけだと知った忠彦は失望から拳銃を取り出して新川を撃とうとするが、敦子の姿を見て思いとどまる。 盛装した遠山が現れ、長女・昭子に恋慕の想いを告げる。気位が高い昭子は拒絶するものの、動揺を抑えきれずにいた。失意の遠山は、かつての使用人仲間と酒に溺れる。運送会社を営み、自分の力で稼いだ金を、安城家のために使おうとしていたのだった。 正彦は新川の娘・曜子を酒で酔い潰し、茂みで犯そうとするが、正彦を愛する女中の菊が妨害して未遂に終わる。曜子は正彦に結婚を迫るが拒絶されると、乱れた姿のまま父・新川に泣きつき、正彦にも平手打ちを食らわせる。しかし正彦はヘラヘラとしたままピアノを弾き始め、新川父娘は屈辱のうちに安城邸を去る。そこに敦子が現れ、新川に現金を突きつけ借金を返済する。敦子が遠山に邸宅を売って得た金だった。遠山は、自分がこの邸宅の所有者だと酔ったまま喋り尽くすが、やがて我に返り邸宅を去る。昭子は遠山を追うもの砂浜への道で転倒し、真珠の首飾りや靴が外れるが、それでもなお遠山を追い続ける。 舞踏会の終わりに敦子は、忠彦と、彼の15年来の妾であった千代との結婚を発表する。場は静まり返るが、正彦、そして敦子の拍手から、やがて皆に祝福される。正彦は父と握手した後、自室へ去り泣き崩れるのだった。 舞踏会も終わり、何もかも失い、千代や吉田への義理を果たして思い残すことのない忠彦は自殺を図るが、敦子により一命を取り留める。敦子は、ここから新しい生涯が始まると父を励まし、舞踏会のあとの寂しいホールで、父娘二人、最後のダンスを踊る。 スタッフ
キャスト
評価受賞歴
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テレビドラマ化1962年(昭和37年)3月6日、フジテレビの『シャープ火曜劇場』枠(20:00-21:00)にて放送された。脚色は千葉茂樹。
脚注
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