十和田北線十和田北線(とわだほくせん)とは、日本国有鉄道自動車局(国鉄バス)・ジェイアールバス東北が運行する自動車路線である。 なお、「十和田北線」という路線名称は、「十和田北本線」(とわだほくほんせん)と「浅虫線」(あさむしせん)を含めた総称としても使用されていた。 概説本路線は、1934年8月5日に青森 - 休屋 - 和井内間の80kmを結ぶ路線として開設された省営バス十和田線が前身となる。この背景には、同年に政府が観光事業の拡大を提唱したものを受けたもので、省営バスとしても重要観光路線であり、後の国鉄バス4原則の中では「鉄道線の培養」に相当していた。運行開始当時にはふそうB46型を10台使用し、1日4往復の運行であった。1934年9月には観光ガイドを兼務する女子車掌が7名採用されるなどの動きもあり、1935年には車両増備も行なわれたが、屋根の高さを途中から上げて視界を確保する構造の車両[1]も登場するなど、本格的な観光バスとしては日本でも最初期の事例として位置づけられる。一方、傘松峠などの悪路には悩まされたという。 戦時体制になると、本路線は不要不急路線として運休を余儀なくされるが、戦後に再開され、以後国鉄バスの重要な観光路線として利用者の増加傾向も見られることになる。これに対応し、1970年10月1日からはバス指定券制度を導入し、事前予約の状況に応じて続行便の台数を決定する方策がとられた。 1984年には定期観光バス「おいらせ号」の運行が開始され、1985年には天井をガラス張りにしたパノラマ車両の導入も行われているなど、積極的なサービス向上策が採られた。国鉄分割民営化後も、青森空港への連絡便の設定(現在は中止)や冬季運行区間の延長(東八甲田ルート経由での運行)が行われた。さらに、2010年12月4日の東北新幹線全線開業により新青森駅への乗り入れも行われ、JRバス東北の看板路線となっている。なお、冬季における乗客減少の影響(2012年度冬季における「みずうみ号」の青森 - 十和田湖周辺を通しで乗車する乗客数は平均2.4人だったという)[2]などにより、2014年度より十和田湖 - 酸ヶ湯温泉間が冬季運休となり、それに伴い東八甲田ルートについても運休となった。 また、2011年3月5日の東北新幹線「はやぶさ」の運行開始にあわせ、JR東日本の協力を得て塗色を「はやぶさ」に充当される新幹線E5系電車にあわせた新型車両が投入されている[3][4]。 十和田方式国鉄時代に新車を投入する際、まず青森自動車営業所、十和田南自動車営業所に新車を集中配置させて、繁忙期の1シーズン稼働させた後、全国の営業所へ再配置した[5]。これを十和田方式と呼んだ。国鉄といえども地方自動車局独自の仕様や車体があるので、十和田北線・十和田南線では東北、信越(十和田南)では見られない車両が稼働していた。民営化以降はこのような方式は行なわれなくなり、同一社内でのやりとりにとどまっている。 沿革
東八甲田ルート
運行概要路線起点が十和田湖となっているため、青森方面が下り、十和田湖方面が上りとなっている。 系統
ダイヤ夏期ダイヤ2024年度は4月13日 - 11月19日まで運行。 2003年より十和田東線運行開始のため、運行本数が削減された。基本的には十和田湖 - 青森駅間の運行だが、十和田湖 - 蔦温泉間の便も運行される。 なお、一時期は浅虫温泉駅発着のあさむし号や青森空港経由、城ヶ倉大橋経由、朝に青森駅 - 酸ヶ湯温泉間の区間便が設定されていたが、廃止された。 以前はバス指定券の発売状況に応じて続行便を出す処置がとられた。現在は状況に応じて2~3台で運行される。以前は続行便が青森駅 - 子ノ口間において運行されていた。青森駅発の場合は1台目が子ノ口行、2台目を十和田湖行とし誤乗車を防いでいる。ただ子ノ口以遠の乗客でも、十和田湖行が満席の場合は子ノ口行に乗車することになる(子ノ口で乗継可能)。子ノ口行の行き先幕は大きい文字で十和田湖と書かれた下に小さく(子ノ口)と書かれている。 上りは萱野高原・蔦温泉にて、下りは蔦温泉・酸ヶ湯温泉にて5~10分程度の休憩時間がある。 冬期ダイヤ酸ヶ湯付近の笠松峠が冬期間通行止めとなることから、蔦温泉 - 酸ヶ湯温泉間は運休となる。 このほか2000年より田代平経由で運行する通称東八甲田ルートが開設された。一時は十和田東線へのシフトが予想されたため廃止されたが、JR東日本からの要請によって復活した。しかし、冬季間の乗客数減少などにより、2014年度冬季ダイヤからは再び運行休止となった[2][14]。 なお、以前は十和田湖側では夏期ダイヤとほぼ同じ時刻で十和田湖 - 蔦温泉間の区間便が、青森側では旅客案内上酸ヶ湯線として運行していた。酸ヶ湯線は横内線に組み込まれ、青森市内全停留所に停車していた。以前は3往復で堤橋経由の設定があったが、八甲田大橋経由にされ2往復となり、2006年冬期からは更に1往復に減便された。ただし青森 - 十和田湖間の東八甲田ルートが酸ヶ湯温泉経由となったため、青森 - 酸ヶ湯間は2往復体制が確保されていた。どちらも現在は設定されていない。前述の通り、2014年度冬季からは青森 - 十和田湖間の東八甲田ルートが冬期運休となり、冬季は青森 - 酸ヶ湯間3往復の運行となる[14]。 運行経路十和田湖駅・子ノ口駅は自動車駅。かつては宇樽部・酸ヶ湯温泉も自動車駅だった。 みずうみ号2024年9月1日現在。 十和田湖駅 - 下宇樽部 - 宇樽部 - 子ノ口駅 - 銚子大滝 - 雲井の流れ - 雲井の滝 - 馬門岩 - 石ケ戸 - 紫明渓 - 奥入瀬渓流館 - 奥入瀬渓流温泉 - 蔦温泉 - 谷地温泉 - 猿倉温泉 - 睡蓮沼 - 酸ヶ湯温泉 - 城ヶ倉温泉 - 八甲田ロープウェイ駅前 - 妙見(下り便のみ・降車専用) - ※青森駅 - ※新青森駅(上りの一部便は経由しない) -
過去の運行経路みずうみ号(東八甲田ルート)2011年11月7日現在。 十和田湖 - 石ヶ戸 - 十和田湖温泉郷 - 蔦温泉 - 谷地温泉 - 酸ヶ湯温泉 - 城ヶ倉温泉 - ロープウェイ駅前 - (三内丸山遺跡前/下り一部便のみ) - 新青森駅 - 青森駅
酸ヶ湯線2010年度以降の冬ダイヤでは設定なし。 酸ヶ湯温泉 - 城ヶ倉温泉 - ロープウェイ駅前 - 萱野茶屋 - ヴィラシティ雲谷 - 青森公立大学 - ねぶたの里入口 - 浄水場入口 - 津軽横内 - 妙見 - サンロード青森前 - NTT青森支店前 - 新町二丁目 - 青森駅
横内線青森県青森市の青森駅と津軽横内を経由して青森公立大学前までの路線。かつては雲谷まで運行していた。
のりば
乗車券
その他
廃止路線浅虫線
2007年4月1日まで青森県青森市青森駅と同市浅虫温泉駅を結んでいた、十和田北線の支線扱いの路線。一時期は浅虫水族館発着や浅虫温泉駅発青森空港行、県立中央病院前発着便も運行した。 十和田北線の支線として、東北本線が停車しない集落からの鉄道連絡を行うために路線が開設された。正式には堤橋~浅虫温泉駅間が浅虫線で、青森駅~堤橋間は十和田北線となっている。その後、青森市営バスが並行する形で路線を開設し、競合となった。青森市営バスが酸ヶ湯までの路線開設を申請した際に、開設条件として青森市営バスの一部時間帯の便を国鉄バスに譲ることで合意した。 青森市営バスは公共交通機関という役目から福祉乗車証を交付したため、次第に高齢者の利用者が減っていった。さらにはバスカードが導入され、更なる乗客離れが進んだ。そのため青森支店管内では通学用金券式回数券を廃止した上で、普通金券式回数券を本来の11枚綴りから13枚綴りにしたほか、浅虫水族館への乗り入れや青森空港線直通便なども運行したが、利用者は伸びなかった。 2000年頃までは1時間に1本程度の本数が確保されていたが、それ以降は青森市営バスと時間が重複する便の廃止や、一部便の県立中央病院前~浅虫温泉駅間を廃止するなどの合理化を行ったものの、それでも乗客は減り続けた。青森市営バス東部営業所が東造道から野内に移転し、それまでJRバスを利用していた八重田・原別地区の乗客が青森市営バスを利用できるようになった影響が考えられる。2006年4月ダイヤ改正では7往復(休日4往復)にまで減便された。その後も乗車率の減少に歯止めがかからなかったことから、2007年3月31日をもってJRバスによる運行が終了し、翌4月1日に廃止された。これにより同区間からJRバスは撤退し、市営バスに一本化された(現在運行されている青森市営バスの浅虫線は青森市営バス東部営業所を参照)。
青森駅(青森駅前1番のりば) - 市役所前 - 堤橋 - 県立中央病院前 - 野内駅 - 浅虫温泉駅
注釈脚注
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