ミニュアデスミニュアデス(古希: Μινυάδες, Minyades)は、ギリシア神話に登場する女性たちである。彼女たちはボイオーティア地方の都市オルコメノスの王ミニュアースの3人の娘で、神話によると酒と狂乱の神ディオニューソスに対して不敬であったので、神罰を受けて鳥あるいはコウモリに変身したと伝えられている。 系譜娘たちの父親はミニュアースで一致している。彼女たちの名前はプルータルコスによるとレウキッペー、アルシノエー、アルカトエー[1][2]。アイリアーノスやアントーニーヌス・リーベラーリスによると、レウキッペー、アルシッペー、アルキトエーである[3][4]。オウィディウスの『変身物語』ではアルキトエー[5]、レウコノエーの名前が挙げられている[6]。またプルータルコスやアントーニーヌス・リーベラーリスではレウキッペーの息子ヒッパソスの名前を伝えている[1][2][4]。
神話プルータルコスプルータルコスの「ギリシアの諸問題」38によると、ミニュアースの娘たちは狂気に憑りつかれて人肉を欲し、3人で籤を引き、当りを引いたレウキッペーの息子ヒッパソスを引き裂いて殺した。彼女たちの夫は悲しみに暮れるあまり薄汚れた姿をしていたので、プソロエイス(ψολόεις, Psoloeis,「すすまみれの人々」)と呼ばれた。また彼女たちはオレイアイ(ὀλεῖαι, oleiai, 「殺人女」)と呼ばれ、オルコメノス人たちは彼女たちの子孫をも同じくオレイアイと呼んだ[1][2]。 オウィディウスオウィディウスの『変身物語』において、4巻の物語の冒頭部分をリードするのはミニュアースの娘たちである。娘の1人アルキトエーはディオニューソスの祭祀を認めず、ゼウスの息子ではないとさえ主張した。また他の姉妹も彼女と同じ考えだった。彼女たちは家で機織りに勤しんでいる間、たがいに様々な物語を語って聞かせることにした。そこで姉妹のうちアルキトエーとレウコノエーはピューラモスとティスベー、アレースとアプロディーテー、レウコトエーとクリュティエー、サルマキスとヘルマプロディートスといった物語を話した。しかし彼女たちの話が終わったとき、様々な楽器の音が鳴り響き、機が緑色に変わり、織られた布が木蔦の葉を出したり、葡萄の木に変わったり、糸が若木の枝に変わった。また家が揺れたかと思うと、火の光で輝くなどの異変が起きた。煙に巻かれたように感じた彼女たちが家の中を逃げまどっていると、やがて体が小さくなり、手足に被膜ができて、コウモリになった[7]。 アイリアーノスアイリアーノスによると、ミニュアースの娘たちは夫を慕っていたことを理由にディオニューソスの祭祀を拒んだ。彼女たちが一心不乱に機織りに勤しんでいると、ディオニューソス神の怒りによって、機に木蔦や葡萄の蔓が絡みつき、糸篭の中に蛇が入り込み、天井からワインや乳がしたたり落ちるなどの異変が起きた。しかしそれでも入信を拒んだために彼女たちは狂気に陥り、レウキッペーの幼児を引き裂いて殺し、ディオニューソスの信女たち(マイナデス)の一群に加わった。しかし幼児殺しの罪のために信女たちからも追われた彼女たちは、最後にカラス、コウモリ、フクロウになった[3]。 アントーニーヌス・リーベラーリスアントーニーヌス・リーベラーリスによると、ミニュアースの娘たちは非常に勤勉な女性たちばかりで、他の女たちがディオニューソスの祭祀のために家を出て、山中で生活することを散々に非難した。そこでディオニューソス神は少女の姿に変身し、彼女たちにディオニューソスの祭祀に参加するように勧めた。しかし彼女たちは神の言葉を聞こうとしなかったので、ディオニューソスは怒り、少女の姿から牛、ライオン、豹へと変身した。また彼女たちが機を織るために握っていた横木からネクタールと乳が流れ出た。これらの神秘的な異変を目の当たりにした彼女たちは恐怖し、籤を引いて、当りを引いたレウキッペーは神に捧げる生贄として息子ヒッパソスを姉妹とともに引き裂いて殺した。そして彼女たちはミニュアースの家を出て、ディオニューソスの祭祀に加わったが、最後にヘルメースが杖で触れ、太陽の光を嫌う3つの鳥、コウモリ、フクロウ、ワシミミズクに変えた[4]。 系図
脚注参考文献
関連項目 |
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