マンチェスター(英: Manchester)は、アメリカ合衆国コネチカット州のハートフォード郡にある町。人口は5万9461人(2020年)。町の都心はマンチェスター国勢調査指定地域となっている。州都ハートフォードの東に位置している。
歴史
マンチェスターは1672年頃に農業町として開拓者が入って来たが、当時はオーフォード・パリッシュと呼ばれていた(町出身の独立戦争兵士の備忘録に見られる)。多くの川や小川が、製紙、製材、製糸工場に動力を提供し、町は急速に工業の中心になった。昔のハートフォードの領域は、現在のマンチェスター、イーストハートフォード、ウエストハートフォードの町域を含んでいた。1783年、イーストハートフォードが独立した町となり、1823年までその中にマンチェスターを含んでいた[3]。この1823年にマンチェスターが町として法人化された。
ピトキン・グラスワークス[4]が、コネチカット州では最初の成功したガラス工場として、1783年から1830年まで運営されていた。ピトキン・グラスワークス廃墟は歴史協会によって保存されている。
1838年、チェイニー家が世界最大となる絹の工場を始めた。最終的にマンチェスターは理想的な工業町になった。工場、所有者の家、および労働者の家は現在、アメリカ合衆国国定歴史建造物に指定されるチェイニー兄弟歴史地区の一部になっている。
E・E・ヒリアード・カンパニー毛織物工場も特筆される。1780年頃にアーロン・バックランドが設立し、後にヒリアード家に売却されたこの工場は国内最古の毛織物工場となっている。
地理
アメリカ合衆国国勢調査局に拠れば、町域全面積は27.7平方マイル (71.7 km2)であり、このうち陸地27.4平方マイル (71.0 km2)、水域は0.27平方マイル (0.7 km2)で水域率は1.00%である[5]。マンチェスター国勢調査指定地域の全面積は6.5平方マイル (16.8 km2)であり、このうち陸地6.4平方マイル (16.7 km2)、水域は0.039平方マイル (0.1 km2)で水域率は0.56%である[6]。
人口動態
マンチェスターの人口推移[7]
|
2000 |
54,740
|
2010 |
58,241
|
2020 |
59,461
|
以下は2000年の国勢調査による人口統計データである[8]。
基礎データ
- 人口: 54,740 人
- 世帯数: 23,197 世帯
- 家族数: 14,010 家族
- 人口密度: 775.4人/km2(2,008.2 人/mi2)
- 住居数: 24,256 軒
- 住居密度: 343.6軒/km2(889.9 軒/mi2)
人種別人口構成
|
年齢別人口構成
- 18歳未満: 22.8%
- 18-24歳: 8.0%
- 25-44歳: 33.0%
- 45-64歳: 22.1%
- 65歳以上: 14.2%
- 年齢の中央値: 36歳
- 性比(女性100人あたり男性の人口)
世帯と家族(対世帯数)
- 18歳未満の子供がいる: 28.2%
- 結婚・同居している夫婦: 43.8%
- 未婚・離婚・死別女性が世帯主: 13.0%
- 非家族世帯: 39.6%
- 単身世帯: 31.1%
- 65歳以上の老人1人暮らし: 10.1%
- 平均構成人数
|
収入
収入と家計
- 収入の中央値
- 世帯: 49,426米ドル
- 家族: 58,769米ドル
- 性別
- 男性: 41,893米ドル
- 女性: 32,562米ドル
- 人口1人あたり収入: 25,989米ドル
- 貧困線以下
- 対人口: 8.0%
- 対家族数: 6.0%
- 18歳未満: 11.1%
- 65歳以上: 7.7%
|
芸術と文化
マンチェスターは屋内ショッピングモールであるショッパーズ・アット・バックランドヒルズ、バックランドヒルズのザ・プラザ、さらにその近くの商店街のバックランド・ブラザで知られる。最近の10年間、サウスウィンザー町にまで広がるこのモールを囲む地域は、多くの大型郊外店やプラザが並ぶようになり、急速に州民のショッピング中心地に転換されてきた。
19世紀後半から20世紀半ばまで絹製造産業ではアメリカの中心地であり、チェイニー兄弟歴史地区は[9]、工場がアパートに改装され、近くの博物館も含んでいる。
市内には下記の4つの博物館がある。
- 消防博物館、1901年に建設された消防署を改装したものである。消防設備や記念品には、植民地時代に使われた革の消火バケツ、スプリンクラー設備の変遷、馬が曳く消火ホース車、1921年製アーレンズ・フォックス消火ポンプ、高さ105フィート (32 m) の1911年製給水塔がある[10]。
- ルッツ子供博物館、芸術、歴史、化学、自然、民俗学に関わる参加型の展示がある。恒久展示物には生きている小動物もある[11]。
- オールド・マンチェスター博物館、地元の歴史に焦点を当て、マンチェスター歴史協会が運営している。恒久展示物にはマンチェスター・スポーツの殿堂、チェイニー繊維、ピトキン・グラスワークス、クリストファー・スペンサーとスペンサー連発ライフル銃のサンプルがある[12]。
- チェイニー邸博物館、チェイニー兄弟絹会社の設立者が18世紀に建てた家屋。展示物には時代物の家具や工芸品がある[13]。同じ場所に、1751年に造られた教室が1つだけのキーニー校舎もある[14]。
非営利民間基金であるウィッカムパークは、マンチェスターとイーストハートフォードにある。広さ53エーカー (210,000 m²) のケース山レクリエーション地域はマンチェスターの人口が少ない南東隅にあり、ハイキング、マウンテンバイクに人気があり、西にはハートフォードのスカイラインを見渡すことができる。
マンチェスターは毎年感謝祭の日に開催されるマンチェスター・ロードレースで知られる。毎年世界中から1万人以上が参加し、観衆も数千人になる。ニューイングランド住民には、ボストンマラソンに次ぐ人気がある。毎年の自動車ショーも人気を獲得しつつある[15]。
町内にはアメリカでも古典的なチーズバーガーとアイスクリームで昔から広く知られるレストランのシャディ・グレンがある。
マンチェスター記念病院も町内にある。
町内には1,000エーカー (4.0 km²) 以上の公園があり、芸能の組織があり、図書館もあり、友好的で地域社会の精神の強い住人がいる。
スポーツ
チーム名
|
スポーツ
|
ウェブサイト
|
リーグ
|
優勝歴
|
試合会場
|
マンチェスター・クリケットクラブ[16]
|
クリケット
|
www.manchestercricketclub.com
|
BAAC クリケット選手権
|
優勝 - 2009年、2010年、2011年 準優勝 - 2008年
|
マンチェスター・クリケットクラブ・グランド、 マーティン学校
|
政治
2005年10月25日時点での登録有権者と政党支持の構成[17]
|
政党
|
活性有権者
|
非活性有権者
|
有権者計
|
構成比
|
民主党
|
10,612
|
584
|
11,196
|
33.86%
|
共和党
|
6,249
|
374
|
6,623
|
20.03%
|
無党派
|
14,150
|
1,069
|
15,219
|
46.03%
|
少数政党
|
25
|
2
|
27
|
0.08%
|
合計
|
31,036
|
2,029
|
33,065
|
100%
|
教育
公立学校
伝統的な教育学区の学校
- マンチェスター高校(9年生から12年生)
- マンチェスター地域アカデミー(9年生から12年生)
- ハウェル・チェイニー工業高校(州立学校、9年生から12年生)
- ベントレー学校(9年生から12年生)
- アーサー・H・イリング中学校(7年生、8年生)
- エリザベス・M・ベネット・アカデミー(6年生)
- ウィリアム・E・バックリー小学校(幼稚園から5年生)
- ボウワーズ小学校(幼稚園から5年生)
- ハイランドパーク小学校(幼稚園から5年生)
- キーニーストリート小学校(幼稚園から5年生)
- マーティン小学校(幼稚園から5年生)
- ロバートソン小学校(幼稚園から5年生)
- バープランク小学校(幼稚園から5年生)
- ワッデル小学校(幼稚園から5年生)
- ワシントン小学校(幼稚園から5年生)
マグネットスクール
- マグネット・スクール、ハートフォード大都市圏を対象に、地域学校選択事務所と首都圏教育委員会が運営している
チャーター・スクール
- オデュッセイ・コミュニティ・スクール(幼稚園から8年生)
私立学校
- アサンプション学校(幼稚園前から5年生)
- セントブリジット学校(幼稚園前から5年生)
- セントジェイムズ学校(幼稚園前から5年生)
- イーストカトリック高校(9年生から12年生)
- コーナーストーン・クリスチャン学校(幼稚園前から12年生)
高等教育機関
メディア
新聞
地元新聞は「ジャーナル・インクワイア」であり、マンチェスターと周辺地域で購読されている。「ハートフォード・クーラント」も町内に設備があり、町内全域に配布できる。
インフラ
救急サービス
救急救命サービス
アンビュランス・サービス・オブ・マンチェスターは、ニューステート道路沿いにある駐屯所から出動する民間会社であり、一次救命レベルの搬送サービスを行う。消防署の救急車が使えないときは、二次救命処置を行う[18]。
消防署
マンチェスター消防救急サービス
マンチェスター消防救急サービス部[19]は1897年の火事でウェルドン事業地区が破壊された後に結成された。5つの駐屯所から消防車隊4個中隊とトラック隊1個中隊、さらにシフト指揮車を擁した常勤職員が稼働している。すべての中隊が消火、防火、救命、危険物質対応、二次救命医療を担当している[20]。
マンチェスター消防署-第8ユーティリティ地区
マンチェスター消防署-第8ユーティリティ地区は[21]消防士と消防団員を組み合わせた組織であり、1888年に町の北西隅の地区で別の消防組織として設立された。町の組織ではなく、別の課税主体である第8ユーティリティ地区の取締役会によって管理されている。消防士は月曜日から金曜日の午前6時から午後6時まで勤務し、週末午前6時から午後6時までは消防士1人のみが当直となる。消防団員が残りの時間と必要に応じて応援している。消火、防火、救命、危険物質対応、一次救命医療を担当している
警察署
マンチェスター警察署は[22]1896年に設立された。イーストミドル・ターンパイク239にあり、約120人の警官が町を守っている。
交通
道路
マンチェスター町内には州間高速道路3本(84号線、384号線、291号線)があり、アメリカ国道6号線と44号線は東西方向幹線道になっている。コネチカット州道30号線は町の北部で東西方向に走っている。州道83号線が南北方向の幹線道であり、南のグラストンベリーとの町境からサウスメインストリートを北上し、町の中心を抜けている。
公共交通
マンチェスターではコネチカット州交通のハートフォード事業部が定期バス路線を運行している。系統番号80、82、83、84、88がマンチェスターとハートフォードを直接繋いでいる[23]。
鉄道
町を通る旅客鉄道は無い。ハートフォードからの貨物列車はコネチカット・サザン鉄道が運行している[24]。
空港
ハートフォード・ブレイナード空港と、ブラッドレー国際空港がいずれもマンチェスターから車で約15分の距離にある。
自転車
マンチェスター町内には自転車道と自転車専用道が幾つかある。よく使われているのはチャーターオーク・グリーンウェイとホップ川州立公園トレイルの2本である。それぞれの一部がイーストコースト・グリーンウェイに指定されている[25]。
著名な出身者
脚注
- ^ “Connecticut-Demographics.com”. 22 Nov 2023閲覧。
- ^ [1]
- ^ Goodwin, Joseph Olcott (1879). East Hartford: Its History and Traditions. Hartford, Connecticut: Case, Lockwood, and Brainard Co
- ^ Pitkin Glassworks
- ^ “Geographic Identifiers: 2010 Demographic Profile Data (G001): Manchester town, Hartford County, Connecticut”. U.S. Census Bureau, American Factfinder. November 30, 2012閲覧。
- ^ “Geographic Identifiers: 2010 Demographic Profile Data (G001): Manchester CDP, Connecticut”. U.S. Census Bureau, American Factfinder. November 30, 2012閲覧。
- ^ “アーカイブされたコピー”. 2005年9月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年11月5日閲覧。“アーカイブされたコピー”. 2004年6月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2004年5月12日閲覧。
- ^ “American FactFinder”. United States Census Bureau. 2008年1月31日閲覧。
- ^ ManchesterHistory.org
- ^ Fire Museum website, retrieved October 12, 2011
- ^ Connecticut, Massachusetts & Rhode Island Tourbook 2007 Edition. (2007) pp 58-59. AAA Publishing, Heathrow, Florida
- ^ Manchester Historical Society website, retrieved October 12, 2011
- ^ Cheney Homestead website, retrieved October 12, 2011
- ^ Keeney Schoolhouse website, retrieved October 12, 2011
- ^ King, Peter; One Fine Day- Aggravating/Enjoyable Travel Note of the Week; Monday Morning Quarterback December 2, 2002; Sports Illustrated Online; retrieved December 29, 2006
- ^ Manchester Cricket Club official sports website, Manchester, Connecticut
- ^ “Registration and Party Enrollment Statistics as of October 25, 2005” (PDF). Connecticut Secretary of State. 2006年9月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年10月2日閲覧。
- ^ http://www.ambulanceservicemanchester.com
- ^ http://www.mfre.us/
- ^ http://www.local1579.com/index.cfm
- ^ http://mfd8th.org/
- ^ http://www.manchesterpolice.org/
- ^ Connecticut Transit Hartford Routes & Schedules Archived 2006年12月16日, at the Wayback Machine.; Updated November 20, 2006
- ^ Connecticut Southern Railroad Railmap; Railamerica.com
- ^ Connecticut Department of Transportation Index to Trails in Connecticut by Town
外部リンク