マランパチ分類
マランパチ分類 (まらんぱちぶんるい、英 : Mallampati score )とは、主として麻酔科 において気管挿管 の難易度を予測するために用いられるスコアリングシステムである[ 1] 。
概要
インド 出身の麻酔科医 セシャギリ・マランパティ(Seshagiri Mallampati) (英語版 ) の名に由来する。マランパチスコア、マランパティ分類、マランパティスコアなどとも呼ばれる。このテストは、舌の付け根から口蓋までの距離を視覚的に評価するもので、その結果、処置をするための空間がどれだけあるかを判断することができる。このテストは、挿管がどの程度難しいかを評価する間接的な方法であり、挿管 中に直接喉頭展開 で実際に見えるものを記述したコーマック分類 システムを用いて、より明確にスコア化する。マランパチスコアが高い(クラス3または4)ほど挿管が難しく、また睡眠時無呼吸症候群 の発生率も高くなる[ 2] 。
手技
患者に座った姿勢で口を開けてもらい、舌をできるだけ出してもらうことでスコアを採点する[ 1] 。口腔 の解剖学 的構造を可視化する。具体的には、評価者は、口蓋垂 基部、口峡 (英語版 ) (口蓋扁桃 の前後にあるアーチ)および軟口蓋 が見えるかどうかを記録する。採点は、通常、発声 を伴わずに行われる。舌を最大限に突出させるか、患者に発音させるかによって、採点は異なる場合がある[要出典 ] 。
修正マランパチ分類:
今日、主として用いられているのはこの分類である。
クラスI:軟口蓋、口蓋垂、口峡が見える。
クラスI:軟口蓋、口蓋垂の大部分、口峡が見える。
クラスIII:軟口蓋、口蓋垂の基部が見える。
クラスIV:硬口蓋のみが見える[ 3] 。
マランパチ分類(原法):
クラス1:口峡、軟口蓋、口蓋垂を視認できる。
クラス2:口峡と軟口蓋は視認できるが、口蓋垂は舌根 に覆われている。
クラス3:軟口蓋のみが視認できる[ 1] 。
マランパチ分類を標準化するための最も効果的な一貫性と予測性のあるアプローチを決定するためには、さらなる研究が必要であろう。
臨床的意義
マランパチ分類 IとIIは比較的挿管が容易であるのに対し、IIIとIVは挿管の難易度が高くなると言われている。
34,513人が対象となった42の研究のシステマティックレビュー によると、修正マランパチスコアは、直接喉頭展開と挿管困難 の予測因子として優れているが、バッグマスク換気が困難な場合の予測には劣ることがわかった[ 4] [ 5] 。したがって、このレビューは、気道の難易度を予測するために他の検査と組み合わせて用いることは有用であるが、単独では十分な精度が得られないと結論づけた。
出典
^ a b c Mallampati, SR; Gatt, SP; Gugino, LD; Desai, SP; Waraksa, B; Freiberger, D; Liu, PL (Jul 1985). “A clinical sign to predict difficult tracheal intubation: a prospective study.”. Canadian Anaesthetists' Society Journal 32 (4): 429–34. doi :10.1007/BF03011357 . PMID 4027773 .
^ “Physical examination: Mallampati score as an independent predictor of obstructive sleep apnea”. Sleep 29 (7): 903–8. (Jul 1, 2006). doi :10.1093/sleep/29.7.903 . PMID 16895257 .
^ Samsoon, GL; Young, JR (May 1987). “Difficult tracheal intubation: a retrospective study”. Anaesthesia 42 (5): 487–90. doi :10.1111/j.1365-2044.1987.tb04039.x . PMID 3592174 .
^ Lee, A; Fan, LT; Gin, T; Karmakar, MK; Ngan Kee, WD (Jun 2006). “A systematic review (meta-analysis) of the accuracy of the Mallampati tests to predict the difficult airway”. Anesthesia and Analgesia 102 (6): 1867–78. doi :10.1213/01.ane.0000217211.12232.55 . PMID 16717341 .
^ Roth, Dominik; Pace, Nathan L.; Lee, Anna; Hovhannisyan, Karen; Warenits, Alexandra-Maria; Arrich, Jasmin; Herkner, Harald (2018-05-15). “Airway physical examination tests for detection of difficult airway management in apparently normal adult patients” . The Cochrane Database of Systematic Reviews 5 (5): CD008874. doi :10.1002/14651858.CD008874.pub2 . ISSN 1469-493X . PMC 6404686 . PMID 29761867 . https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6404686/ .
関連項目
外部リンク