この項目では、本田技研工業が2002年から2015年にかけて製造販売したスクーターについて説明しています。
トゥデイ (Today )は、本田技研工業 が2002年から2015年にかけて製造販売していたスクーター である。
概要
1997年 に本田技研工業は、同社が製造販売するオートバイの搭載するガソリンエンジン を2002年 までにすべて4ストローク 化することを発表[ 1] 。これにより、2ストロークエンジン を搭載する原動機付自転車 クラススクーター タイプではタクト ・リード ・ジョルノ ・ブロード ・キャビーナ などは廃モデルとなったが[ 注 1] 、これらに対して「気軽に乗れる」「手軽に買える」「親しみやすい」をコンセプト に開発し[ 2] 、新設計となる内径×行程:37.8x44.0(mm)・排気量 49ccの強制空冷 4ストロークSOHC 単気筒エンジン [ 1] をアンダーボーンフレーム に搭載したステップスルースクーターが本モデルである。
2002年から2007年 にかけて製造販売された初代モデルで平成10年自動車排出ガス規制 ならびに騒音規制に適応させたBA-AF61型 [ 2] 、2007年から2015年 にかけて製造販売された2代目モデルで平成18年自動車排出ガス規制に適応させたJBH-AF67型 [ 3] に分類されるが、両モデルとも上述したフレーム・エンジン以外で以下の共通点がある[ 2] [ 3] 。
両モデルの差異については以下で解説を行うほか、同時期に製造されていたBA-AF62型/JBH-AF68型ディオ ならびにJBH-AF70型ジョルノ は共に一部コンポーネンツを共有する姉妹車 で本モデルと同じく新大洲本田摩托有限公司で製造された。
BA-AF61型
AF61型トゥデイ 初代モデル
2002年7月22日発表、同年8月8日発売[ 2] 。
10種類のカラーバリエーション[ 2] ・消費税 抜94,800円の安価な希望小売価格[ 注 4] ・販売目標100,000台/年[ 2] とされ、2003年 6月には目標達成しヒット商品となったモデルである[ 5] 。
燃料供給はVK0DA型キャブレター で行い、排出ガス規制に対応させるためエアインジェクション を装備する[ 2] 。
2004年 2月12日発表 同月14日発売で以下のマイナーチェンジを実施[ 6] 。
全10色中3色を新色へ変更
パールクエンチイエローのスペシャルカラーを限定3,000台で追加
車体のロゴマーク をポップスタイルへ変更
2006年 2月1日発表で以下のマイナーチェンジを実施[ 7] 。
ツートンカラーや専用装備を採用したトゥデイ・デラックス を消費税抜希望小売価格100,000円で同月24日発売
従来からのモデルは消費税抜希望小売価格を95,800円に改定し同年3月10日に発売
車体色は標準車8・デラックス2の計10種類に変更
販売目標を95,000台/年へ変更
2007年2月14日発表 同月15日発売で以下のマイナーチェンジを実施[ 8] 。
デラックスのカラーバリエーションを変更
販売目標を60,000台/年へ変更
JBH-AF67型
AF67型トゥデイ 2代目モデル
2007年8月22日発表、同月31日発売のフルモデルチェンジ 車である[ 3] 。
平成18年自動車排出ガス規制適応に対応させたため燃料供給はPGM-FI電子式燃料噴射装置 とし、キャタライザー 内蔵マフラー に変更したほか、車体デザインはキープコンセプトであるものの全体的に丸味が強調され、燃料計 追加・メインスタンド形状変更・外装の質感向上などが行われた結果、消費税抜希望小売価格は128,000円に改訂され、販売目標が80,000台/年、車体色も8種類となった[ 3] 。
2008年 2月7日発表、同月8日発売で以下の特別装備を施したトウディ・スペシャル を3,000台限定で追加[ 9] 。
2種類の専用車体色
ツートンカラーシート
消費税抜希望小売価格131,000円
2008年3月5日発表、同月15日発売で以下の仕様変更を施したトウディ・F [ 注 5] を追加[ 10] 。
4種類の専用車体色を設定
レッグシールドをブラッシュグレーに塗装
ブラッシュグレーとブラックのツートンカラーシート
前後ホイールを黒に塗装
メーター部文字盤をカーボン調に変更しスピードメーター内はブルーのグラデーショ化
ハンドルグリップを茶色に変更
消費税抜希望小売価格133,000円
標準車は車体色を変更し全6種類となったが、消費税抜希望小売価格は据置。販売目標は60,000台/年とされた。
2009年 1月19日発表、同月19日発売で特別塗装を施したトウディ・Fスペシャル を台数限定で追加[ 11]
キャンディーブレイズオレンジ:600台
ペルセウスブラウンメタリック:900台
消費税抜希望小売価格133,000円
2009年4月3日発表、同月10日発売で価格据置のまま標準車・F共に以下の仕様変更を実施[ 12] 。
車体色を一部変更
ウインカースイッチをプッシュキャンセル化
オドメーターを6桁化
販売目標はシリーズ合計で46,000台/年に変更
2010年 1月28日発表、同年2月10日発売で価格据置のまま標準車・F共に以下の仕様変更を実施[ 13] 。
車体色を一部追加廃止し標準車5種/F3種の計8種へ変更
ロゴマークを変更
販売目標をシリーズ合計で43,000台/年に変更
2011年 2月18日発表、同月25日発売で以下のマイナーチェンジを実施[ 14] 。
特性見直しから搭載エンジンをAF70E型へ変更
標準車の車体色を2種変更
パールツインクルブラックを施したトウディ・Fスペシャルを1,500台限定で追加
販売目標をシリーズ合計で35,000台/年に変更
2012年 1月17日発表、同月27日発売で以下のカラーバリエーション変更を実施[ 15] 。
標準車は2種新設1種廃止で計4種に縮小
Fは3種とも新色へ変更
販売目標をシリーズ合計で33,000台/年に変更
2015年1月に事実上の後継モデルとしてタクトが復活したことから[ 16] 、同年8月に製造終了[ 注 6] 。本田技研工業も2016年 に正式に公表した[ 注 7] 。
主要諸元
車名
トゥデイ
型式
BA-AF61
JBH-AF67
モデルイヤー
2002[ 2]
2007[ 3]
2011[ 14]
適合排ガス規制
平成10年
平成18年
全長(m)
1.695
全幅(m)
0.630
0.650
全高(m)
1.030
最低地上高 (m)
0.110
ホイールベース (m)
1.180
最低回転半径(m)
1.8
シート高(m)
0.695
車両重量(kg)
75
79
エンジン型式
AF61E
AF67E
AF70E
構造
強制空冷4ストロークSOHC単気筒
排気量
49㏄
内径x行程(mm)
37.8x44.0
圧縮比
10.1
燃料供給
キャブレター
電子式燃料噴射
供給装置
VK0DA
PGM-FI
最高出力
3.8ps(2.2KW) /8,000rpm
4.1ps(3.1KW) /8,250rpm
3.8ps(2.2KW) /8,250rpm
最大トルク
0.37kg-m[3.6Nm] /6,500rpm
0.38kg-m[3.7Nm] /7,500rpm
0.38kg-m[3.7Nm] /7,000rpm
点火装置
CDI バッテリー
フルトランジスタバッテリー
始動方式
キック・セル併用
潤滑方式
ウエットサンプ 圧送飛沫併用
30㎞/h定地走行燃費
65km/L
73km/L
クラッチ 形式
乾式多板シュー
変速機
Vベルト式無段変速式(Vマチック)
変速比
2.850 - 0.860
1次/2次減速比
3.600/3.769
サスペンション
テレスコピック(前)/ユニットスイング(後)
キャスター/トレール
26°30′/71mm
ブレーキ
機械式リーディングトレーリング(前後)
タイヤサイズ
80/100-10 46J(前後)
消費税抜希望小売価格
94,800円
128,000円
製造事業社
新大洲本田摩托有限公司上海工場
輸入・販売事業社
本田技研工業株式会社
評価
標準的な同クラススクーターが130,000円前後だった2002年当時に100,000円を切る価格によりわずか10ヶ月で販売目標だった100,000台をクリアするヒット商品であった反面[ 5] 、1モデルとしてはリコール ・改善対策・無償交換が非常に多く以下に示すものが公表されているほか[ 注 8] 、販売店のみに通知された無償修理も存在する[ 注 9] 。
リコール
スピードメーターの不具合[ 18]
ブレーキイコライザーの不具合[ 19]
スピードメーターケーブルの不具合[ 20]
方向指示器スイッチの不具合(AF67型)[ 21]
改善対策
サービスキャンペーン
中国
「トゥデイ(AF61型)[ 注 10] 」の開発は、1999年 末の本田技研工業株式会社 と新大洲控股股份有限公司 (中国語版 ) による合併会社設立合意直後から開始され[ 30] [ 31] [ 32] 、「ディオ (AF34型)[ 注 11] 」をベースに[ 35] 、エンジン は専用設計の新型を搭載するものとし[ 36] [ 37] 、日本 市場での販売価格を既存車の半値とすることが目標とされた[ 32] 。
2002年 6月24日、本田技研工業株式会社の合弁会社である新大洲本田摩托有限公司 (中国語版 ) の天津 工場(中 : 天津工厂 )でラインオフ式が行われ、同年7月14日から日本にへの出荷が始まった[ 38] 。
製造開始から間もない2002年12月には、1か月間で10,000台以上を日本へ出荷し、当時の対日自動二輪車輸出月間最高台数を記録した[ 38] 。その後も輸出台数は好調に推移し、日本への累計輸出台数は、2003年 6月29日に10万台、2006年 2月19日に50万台を突破 [ 38] 。総累計輸出台数は、後継の「トゥデイ(AF67型)」も含め150万台を超え、中国 から輸出された単一車種として過去最高記録を樹立した[ 39] 。
当初は日本向け輸出専用モデルとして開発されたが[ 40] 、2004年 06月24日には中国国内でも「自由Today(SDH50QT-41型)」の呼称で販売が開始され[ 41] 、欧州統一型形式認証(英 : European Communities Whole Vehicle Type Approval )も取得、輸出先もオーストラリア [ 42] 、メキシコ 、スペイン 、トルコ [ 43] など13か国に拡大された[ 38] [ 41] [ 44] 。
2007年 5月31日に、電子制御燃料噴射装置 (PGM-FI)を搭載するなど全面改良 された「トゥデイ(AF67型)」が、新大洲本田摩托有限公司の上海 工場(中 : 上海工厂 )でラインオフされ、同年6月13日から日本へ出荷された[ 45] 。同車も、2013年 4月末から中国国内で「自由Today」の呼称で販売された[ 46] 。
「トゥデイ(AF61型)」はREN50シリーズ(中 : REN50系列 )と呼ばれる製品群の初代製品で[ 38] 、その姉妹車 として、2002年8月末から中国国内で販売された「天涯丽人(SDH50QT-40型)」[ 37] 、2003年10月26日から日本への出荷された「ディオ(AF62型)」及び2004年6月9日から日本への出荷された「ディオ チェスタ(AF66型)」並びに「トゥデイ(AF67型)」をベースとし2010年12月から製造が開始された「ジョルノ (AF70型)」があり、多くの部品を供用する[ 38] 。
脚注
注釈
^ 一方で搭載エンジンを4ストローク化するモデルチェンジを実施し、商標 が継続使用されたジャイロ ・ディオ などのケースもあるほか、廃モデルとなった商標の一部も後年になって再使用されるケースもある。
^ 2007年3月に生産部門を台湾本田汽車股份有限公司 (Honda Taiwan Motor Co., Ltd. )に分社化。なお同社は2020年 現在ではオートバイならびに部品製造は行っていない。
^ 新大洲本田摩托有限公司上海工場は最終組立を担当するが、エンジン本体は同社海南工場が担当するほか、部品は以下に示すアジア 諸国の現地法人で製造された上で上海工場へ持ち込まれた。
タイ王国 :エー・ピー・ホンダ・カンパニー・リミテッド (A.P. Honda Co., Ltd. )
インドネシア :ピー・ティー・アストラ・ホンダ・モーター (P.T. Astra Honda Motor )
インド :ホンダ・モーターサイクル・アンド・スクーター・インディア・プライベート・リミテッド (Honda Motorcycle And Scooter India Pvt. Ltd. )
台湾 (中華民国 ):台灣本田股份有限公司 (Honda Taiwan Co., Ltd. )[ 注 2]
また設計開発を担当した本田技研工業でも一部部品の製造を行っており、これについて同社はHondaグローバルネットワーク の活用と公表した[ 4] 。
^ 沖縄 ・一部地域を除く[ 2] 。
^ 車名のF はFashionable の頭文字を意味する[ 10] 。
^ 販売店には同年6月29日で受注終了、同年8月で製造終了の通知がされた。
^ 同年の同社公式HPバイクラインナップで公表されたが、2017年 に項目削除。なお2020年 の時点でも本モデルのHPは情報は2019年 9月30日以前のただし書きを記載した上で引き続き存続する。
^ 同様に新大洲本田摩托有限公司が2012年 - 2017年 に製造したAA04型スーパーカブ・JA10型スーパーカブ110 もリコール等が多く、平成28年自動車排出ガス規制に適合させた現行モデルから熊本県 菊池郡 大津町 平川に所在する本田技研工業熊本製作所での製造に変更された[ 17] 。
^ 初期一部バリエーションの塗装劣化、レブリミッター 動作による点火カットの不具合からカーボン蓄積が発生し始動不良になるトラブルが対象となる。
^ 本田技研工業はAF61型について、報道資料だけでも「トゥデイ」と「Today」とで表記の揺れが見られるが[ 28] 、「通称名」として片仮名で「トゥデイ」と明記されている資料があることから[ 29] 、本章では「トゥデイ」と表記する。
^ 本田技研工業はAF34型について、報道資料だけでも「ディオ」と「Dio」とで表記の揺れが見られるが[ 33]
、「通称名」として片仮名で「ディオ」と明記されている資料があることから[ 34] 、本章では「ディオ」と表記する。
出典
関連項目
外部リンク
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