パレネは、カッシーニが撮影した画像の中から、カッシーニの画像解析に携わるチームによって2004年6月1日に発見された[8][9]。メトネの発見と合わせて、同年8月16日に国際天文学連合のサーキュラーで公表され、S/2004 S 2 という仮符号が与えられた[9]。その後2005年1月21日に、ギリシア神話の巨人「ギガース」の一人、アルキオネウスの7人の娘の一人パレネ(英語版)に因んで命名され、Saturn XXXIII という確定番号が与えられた[10]。
2004年の発見以降に、この衛星がボイジャー2号によって1981年8月23日に撮影されていたことが明らかになった。ボイジャー2号が土星に接近して観測した際にこの天体の写真が1枚だけ撮影されており、このときは S/1981 S 14 という仮符号が与えられていた[11]。土星からおよそ 200,000 km 離れた位置に発見されたものの、その他の画像には写っていなかったため、その段階では軌道を決定することができなかった。2004年の発見報告の段階では、メトネと S/1981 S 14 が同一の天体である可能性に言及されていたが[9]、後の軌道の比較ではパレネと同一の天体であることが示されている[2]。
軌道
パレネは、ミマスとエンケラドゥスの間の軌道を公転している。パレネは、エンケラドゥスによる摂動的な平均経度の共鳴によって軌道に影響を受けている。ただし、これはミマスによってメトネに与えられる摂動ほどは大きくない。この共鳴によってパレネの接触軌道要素[注 1]は変動しており、軌道長半径は 4 km 程度、近土点経度は 0.02° (距離に直すと 75 km に相当する) の変動をしている[2]。軌道離心率も複数の時間スケールで 0.002 から 0.006 の間を変動し、また軌道傾斜角も 0.174° から 0.184° の間を変動している[2]。
2006年にカッシーニによって、パレネと同じ軌道にある薄いダストの環が発見され、R/2006 S 2 という仮符号が与えられた[12]。環を構成するダストの前方散乱光を観測することによって検出されている。この環は半径方向におよそ 2,500 km の広がりを持っており、パレネ環と呼ばれている。パレネの表面衝突した微小隕石によって放出された物質で構成されていると考えられている[13]。
^Porco, C. C. (2005). “Cassini Imaging Science: Initial Results on Saturn's Rings and Small Satellites”. Science307 (5713): 1226–1236. doi:10.1126/science.1108056. ISSN0036-8075.