ダフニスの軌道傾斜角と軌道離心率は非常に小さいが、0ではない値を持つ。両方とも、特に軌道傾斜角に関しては、同じ羊飼い衛星でエンケの間隙内に存在するパンよりも著しく大きな値を持つ。軌道離心率があることにより軌道を一周する間に土星との距離はおよそ 9 km 変化し、また軌道傾斜角により 17 km ほど上下することになる。
土星の環への影響
ダフニスは土星の環にキーラーの空隙を形成しており、その幅はおよそ 42 km である。ダフニスが通過する度に空隙の縁は重力の影響を受けてさざなみが立ったような特徴を示す[7]。空隙の両縁では公転速度が異なるため、空隙の内側で立った波はダフニスの公転に先行する方向に進み、逆に外側で立った波は公転から遅れる方向に進む。これが上や右の写真で見られる左右方向に延びた波の成因である。
ダフニスがわずかに軌道傾斜角を持っている影響で、空隙の両縁に立つ波は環の平面に対して垂直成分を持つ。これは環の平面から 1500 m ほどの高さに到達する[9][10]。
^ abcdJacobson, R. A.; Spitale, J.; Porco, C. C.; Beurle, K.; Cooper, N. J.; Evans, M. W.; Murray, C. D. (2008). “REVISED ORBITS OF SATURN'S SMALL INNER SATELLITES”. The Astronomical Journal135 (1): 261–263. doi:10.1088/0004-6256/135/1/261. ISSN0004-6256.
^ abcdThomas, P.C. (2010). “Sizes, shapes, and derived properties of the saturnian satellites after the Cassini nominal mission”. Icarus208 (1): 395–401. doi:10.1016/j.icarus.2010.01.025. ISSN00191035.
^ abPorco, C. C. (2005). “Cassini Imaging Science: Initial Results on Saturn's Rings and Small Satellites”. Science307 (5713): 1226–1236. doi:10.1126/science.1108056. ISSN0036-8075.