バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2
『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』(Back to the Future Part II)は1989年のアメリカ映画[4]で、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の続編。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ3部作の2番目にあたる。SF映画。監督はロバート・ゼメキス。 シリーズの2作目と3作目は同時に製作され、6か月間の間を空けて公開された。 あらすじマーティ・マクフライが1955年11月12日から1985年に帰還した翌朝、マーティとガールフレンドのジェニファーの前に突然エメット・ブラウン博士(通称:ドク)がデロリアンで現れた。未来においてマーティの息子がトラブルを起こし、それを機に未来のマクフライ家が破滅することが判明したという。それを回避するため、マーティとドクはジェニファーや愛犬のアインシュタイン共々、30年後の2015年10月21日にタイムトラベルする。デロリアンは空中を飛行するが、炎の軌跡を残して消える瞬間を、ビフ・タネンが目撃していた。 2015年10月21日に着いたマーティは、将来的にジェニファーと結婚することと、彼女と自分の息子であるマーティ・マクフライJr.がひ弱でだらしない性格で、ビフ・タネンの孫であるグリフの言いなりになった挙句に窃盗容疑で逮捕され懲役20年の刑に処されること、連鎖して娘が犯罪を犯し、マクフライ家の家族崩壊を引き起こしてしまうことを知る。ドクの作戦でマーティは息子本人になりすまし、レトロ喫茶「Cafe 80's」でグリフからの命令を断った。しかし腰抜けと言われたことで怒ったため店内で喧嘩になり、ホバー・ボードによる追跡劇に発展するが何とか逃げ切る。逆に、追跡劇で裁判所を破壊してしまったグリフが逮捕され、息子が起こすはずだったトラブルをどうにか未然に防ぐことができた。未来からの帰りがけに、マーティは骨董品屋で1950年〜2000年の主要スポーツの試合結果が書かれた年鑑を買い、スポーツ賭博で小遣い稼ぎをしようとする。しかしドクに見つかり「お金儲けのためにタイムマシンを発明したわけじゃないんだ」と叱られてゴミ箱に投棄される。一連の流れを見ていた2015年のビフ老人は、デロリアンがタイムマシンであることを知り、ゴミ箱から年鑑を回収していた。 そうこうしている内に、眠らせて路地裏に置いていたジェニファーが2015年の本人と勘違いされ、警官に護送されてしまい、マーティとドクは未来のマクフライ家へジェニファーを助けに向かう羽目になる。目覚めたジェニファーは未来の暗雲たる自身の家庭と夫婦生活を知り、更に未来の自身と遭遇してしまったジェニファーはまたも気絶、どうにかドクによって回収された。その頃、ドクとマーティがマクフライ家へ向かっている間にビフがデロリアンを盗み、どこかへタイムトラベルしてデロリアンを元の位置に戻す。体調が悪化するビフは、弾みで杖の持ち手を折り、苦しみながらデロリアンから立ち去ると、過去の歴史を改変した影響によって存在そのものが消滅してしまった[5]。 トラブルを解決したマーティたちはデロリアンで1985年の夜に戻ったが、マーティの家には別の家族が住んでおり、窓から家へ入ると不審者扱いされて叩き出されてしまう。ヒルバレーも様変わりしており、ビフは娯楽施設「ビフのカジノ・パレス」を擁する一大資産家に、そしてマーティの母ロレインはビフと再婚させられ、マーティは義理の息子となっていた。そればかりでなく、マーティの父ジョージは1973年にビフに殺されていたのだ。ジョージの墓の前で悲哀にくれるマーティの所へ、ドクがやって来てタイムパラドックスが起きた事を説明する。ドク自身も、1983年に精神異常者として精神病院に入院させられることになっていた。デロリアンの中で老人のビフが所持していた杖の持ち手を見つけ、過去のビフの写真にあの年鑑が映っているのを見つけたドクは、2015年のビフが年鑑を入手し、過去のビフに渡したと推測する。全ての原因があの年鑑にあると気づいたマーティは、ビフの部屋で年鑑を手に入れた経緯を聞き出す。ビフは、時計台に落雷があった1955年11月12日に、遠い親戚と名乗る老人からスポーツ年鑑を貰ったことや、年鑑を使ってスポーツ賭博で大金持ちになったことを話す。そしていつの日か、イかれた科学者と一人の小僧が年鑑の事を聞きに来たら何も言わずに殺すよう言われたと、マーティを射殺しようとする。マーティを屋上に追い詰めたビフは、ジョージが殺された時も、警察は自分の言いなりだったと、引き金を引こうとする。しかしマーティはドクが操縦するデロリアンに飛び乗り、何とか危機を脱する。ドクとマーティは、元の未来を取り戻すため1955年11月12日へと旅立つ。 1955年11月12日に戻ったマーティは若き日のビフが2015年のビフと接触するのを目撃する。マーティとドクは別行動をとり、マーティは年鑑をとり戻すためビフの車に乗り込んだが、ビフのガレージに閉じ込められてしまう。ビフ老人から年鑑を受け取った若き日のビフは車でダンスパーティーに向かい、マーティは年鑑を取り戻そうとするが、邪魔が入って思うようにはいかない。ビフはパーティー会場でも年鑑を肌身離さず持ち歩いていたが、教師に見つかり、取り上げられてしまう。マーティは教師の部屋に忍び込み年鑑を手に入れるが、それはカバーを替えた別の雑誌だった。マーティはビフがジョージに殴られて気絶した場所に戻り、遂に年鑑を手に入れるが、ビフの仲間に見付かりパーティー会場に逃げ込む。ビフの仲間たちはステージで演奏する過去のマーティを見つけ叩き出そうとするが、現在のマーティに阻止される。 マーティは屋上で待機するドクの元に向かおうとした矢先、最悪のタイミングでビフに見つかり、挑発に乗ってしまった為に襲われ、年鑑を奪われてしまう。会場を後にしたビフを追うため、マーティはドクと合流してデロリアンでビフを追跡する。マーティはホバー・ボードに乗り換えてビフの車に接近して年鑑を今度こそ奪い返す事に成功する。それでも諦めず、怒り狂ったビフは悪魔の様な高笑いをしながら、マーティを車で轢き殺そうとするが、失敗して馬糞を積んだトラックに衝突し、またもや車と共に馬糞まみれになってしまった。その後、マーティはバケツの中で年鑑を焼却する。年鑑が消えたことにより、新聞の見出しが変わって未来が元に戻った事を確認したマーティとドクは、1985年に戻ろうとする。だが、激しい嵐でマーティはデロリアンに乗れず、目の前で雷が落ちたデロリアンがドクを乗せたまま消えてしまう。途方に暮れるマーティの元に、電報会社(ウエスタンユニオン)の男が現れ手紙を渡す。それは、落雷の影響で1885年に飛ばされていたドクが、マーティ宛てに書いた70年を経た手紙であった。マーティは1985年に戻るため、1955年のドクに会いに行く。(前作・PART1で)ついさっき1985年へと帰っていったばかりのマーティが再び現れたことに驚愕し、1955年のドクは気絶してしまうのだった。 キャスト→詳細は「バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズの登場人物」を参照
吹き替えは、いずれも本編ノーカットで制作。テレビ朝日版は、2008年発売の「思い出の復刻版」DVDに初収録され、以降のソフトにも収録(BDはマスタリングの問題から、実際の放送・DVDと音質が異なる)。BSジャパン版は、2020年発売の「35th アニバーサリー・エディション 4K Ultra HD+ブルーレイ」に収録。 スタッフ
日本語版
テレビ放映履歴
作品解説パート2とパート3は元々1本の映画として企画され、当初は「パラドックス」という3時間半の大作になる予定だったが、上映時間の都合のため配給会社側から短くカットするよう要求された。しかし制作側は、上映時間短縮のためだけにアイディアを削ることはできないとし、結局2本の映画に分けた経緯がある。撮影時の仮タイトルはパート2は「PARADOX」、パート3は「THREE」であった。パート2は話が途中で終わってしまう物語であったため、一部の観客からは不満の声も上がったが、ロバート・ゼメキスはこのことについて「ハン・ソロが解凍されるまで3年かかったことに比べたら、6か月なんて大したことないよ」と述べていた。 この映画はラストのパート3の予告編までが本編である。ただし、予告編の映像にはパート3に使用されなかったカットがいくつか存在している。ビデオ版、テレビ朝日版には吹き替え音声も存在しているが[注 10]、思い出の復刻版disc2ではテレビ版はカットされている。テレビ初放送時は「来年をお楽しみに」というテロップが付けられ、翌年パート3が放送された。日本で最初に発売されたビデオ・LD版にも「PART3 1990年の夏をお楽しみに!」という字幕が付いていたが、以降に発売されたビデオ・DVDではカットされている。BDはすべて搭載済みである様子。 パート2のプロローグ(冒頭のシーン)は、パート1のラストシーンをそのまま流用したように見えるが、ジェニファー役がクローディア・ウェルズからエリザベス・シューに交代したため、ジェニファーが映っているカットのみ新たに撮り直されている。その他のカットはパート1の流用である。 1987年から1988年にかけてパート2を撮影した際に、ユニバーサル・スタジオ内の時計台広場を2015年のシーンのセットとして使用したが、時計台広場がユニバーサル・スタジオ内見学ツアーのトラムのコース上にあったことや、ティーザー効果を狙うこともあり、セットを見学ツアーのトラムに乗った観客に隠すことはしなかった。 配役パート1でジョージ・マクフライ役を演じたクリスピン・グローヴァーは、本作では「他の役に挑戦したい」という理由から「役を引き受けるつもりはない」と断った。しかし、ボブ・ゲイルのインタビューでは「出演料の折り合いが付かなかったために降板した」と語られた[注 11]。そこで、パート2では時空の歪みが生んだもう1つの1985年、通称「1985年A(Alternate 1985)」において、ジョージは死亡しているという設定になった。パート2と3では、背格好が酷似したジェフリー・ウェイスマンが演じており、老人となった2015年のジョージ以外は顔が目立たないように撮影されている。グローヴァーに似せるために、偽の鼻や頬骨の特殊メイクを行い、結果彼のイメージを侵害することになった。 さらにパート2の冒頭のロレインと一緒に、マーティとジェニファーをドア越しに見るシーンと、1955年のシーン(ジョージの顔がはっきり写っているシーン)はパート1の映像を利用し、新聞の顔写真にもグローヴァーの写真を用いている。これら2点に関してグローヴァーは自身の許可を一切取っていなかったとして、ゼメキスとゲイルを相手取って訴訟を起こした。結局、示談の末グローヴァー側の要求が全面的に認められることとなり、俳優組合にも新しい協約が設けられることとなった。 パート1でジェニファー役を演じていたクローディア・ウェルズは、母親が癌と診断されたことで、看病のため女優業を一時休業したため、本作以降はエリザベス・シューが代役を務めた。ウェルズはその後、1996年の映画『Still Waters Burn』で活動を再開した[注 12]。 当初、2015年のマーティの息子マーティJr.はパート1でジョージを演じたグローヴァーが、娘マーリーンはロレインを演じたリー・トンプソンが演じる予定だった。しかし前述の通りグローヴァーは降板したため、マイケルがマーティと息子と娘の三役を演じることになった(シリーズを通じては、パート3に出てくる先祖を含めて四役となった)。 特撮当時、最新合成技術であったリアルタイムのモーション・コントロール・カメラ『ビスタ・グライド・システム』が使用されている。モーションコントロール・カメラでカメラの動きを完全制御し、小道具はすべてセットに固定し、同じ俳優を別位置で撮影し、フィルムの境界をぼかしながらつなげる技術である。このビスタ・グライド・カメラのお陰で従来のカメラを固定したままという制約から解放されている。合成の制約上、合成相手に触れたり、物を受け渡したり、フィルムAからフィルムBに移動することはできない。 2015年から1985年Aに戻ってきたデロリアンが空から降下しながらタイヤを変形させ、着地してそのまま道路を走るシーンは、空中のシーンから画面手前の街灯を通るまでは模型の、街灯を通り過ぎてからは実車のデロリアンで撮影されており、模型と実車をワンカットで連続して見せることに成功している。 2015年
劇中の2015年
![]()
DVD2002年に初発売された3部作セットのDVD(バック・トゥ・ザ・フューチャー トリロジーBOXセット)およびその再発版も含め、それ以降単品として販売されていたものは、劇場版・LDワイドスクリーン版とは画面に写る範囲(画角)が異なっている(ビデオやテレビ放送をふまえて、画面比4:3のテレビサイズで撮影し、公開時に画面上下をマスキングして横長の画面で上映するという方式をとっているため、撮影されていてもワイド版では見えなくなる部分がある)。そのため劇場版・LD版と比べて上にあがってしまっていたり、拡大されていたりする場面があった。初発売後に指摘・批判がなされ、希望者には郵送でオリジナルの画角のものと交換が行われている[21]。なお、その他のボックスセットおよび現在発売されている単品(品番UNPD-37604)は、既にオリジナルの画角に修正されたものが収録されている。 備考
![]()
脚注注釈
出典
関連項目外部リンク |
Portal di Ensiklopedia Dunia