テルグ語映画(テルグごえいが、Telugu cinema)は、インドの映画のうちテルグ語で製作された映画であり、テランガーナ州に拠点を置く映画産業を指す。「トリウッド(Tollywood)」の通称で知られ、ハイデラバード近郊のフィルムナガルで多くの映画が製作されている。(なお、かつては西ベンガルのトリガンジ(英語版)を拠点として作られた映画をトリウッドと呼んでいたので注意を要する。こちらはベンガル語である。)1909年以降、映画製作者ラグパティ・ヴェンカイアー・ナイドゥは短編映画を製作して興行のためインドやアジア各地を巡業し、1921年には初のテルグ語サイレント映画『Bhishma Pratigna』を製作した。この功績により、ラグパティは「テルグ語映画の父」と称されている[4][5][6]。インドの映画産業としては、ボリウッドに次いで2番目の規模を誇る[7]。2020年から2021年の累積興行収入は、コロナによる映画館閉鎖の影響が地域ごとに異なっていたこともあってボリウッドを上回っている[8]。
概要
1933年に東インド映画会社が『Savitri』を製作した。同作はマイラヴァラム・バーラー・バーラティ・サマジャムの舞台劇を原作としており、「テルグ語演劇(英語版)の父」と呼ばれるC・プライヤー(英語版)が監督、ヴェムリ・ガッガイアー(英語版)とダサーリ・ラーマティラカムが主演を務めており、100万ルピーの製作費を投じてカルカッタで撮影された[9]。映画は第2回ヴェネツィア国際映画祭(英語版)で名誉賞を受賞している[10]。
1936年に南インド初の映画スタジオとなるドゥルガ・シネトーンが、ニーダマルティ・スライアーによってラージャムンドリーに設立された[11]。1951年に製作された『Pathala Bhairavi』は、翌1952年にムンバイで開催された第1回インド国際映画祭で上映された唯一の南インド映画となった[12][13][14][15][16]。CNN-IBNが選ぶ「史上最高のインド映画100」には、テルグ語映画から『Patala Bhairavi』『Malliswari』『Devadasu』『幻想市場』『Nartanasala』『Maro Charitra』『Maa Bhoomi』『Sankarabharanam』『Sagara Sangamam』『Siva』がランクインしている[17]。2005年、2006年、2008年、2014年はボリウッドを超えてインド最大の映画製作本数を記録した[18][19]。
テルグ語映画産業のラモジ・フィルムシティは、世界最大の面積を持つ映画スタジオとしてギネス世界記録に登録されている[20]。また、ハイデラバードにあるプラサードIMAXは世界最大の3DIMAXスクリーンを持つ映画館の一つであり、世界で最も注目を集める映画館でもある[21][22][23]。同映画産業は著作権侵害に対抗するため、アメリカ映画協会との間に了解覚書を交わしている[24][25][26]。2015年、2017年にアルカ・メディアワークスが製作した『バーフバリ 伝説誕生』『バーフバリ 王の凱旋』はインド最大の興行収入を記録した多言語映画であり、合計興行収入は200億ルピーを超えている[27][28][29][30]。『バーフバリ 王の凱旋』は、インド映画として初めてサターン国際映画賞を受賞している[31]。
テルグ語映画の誕生
黎明期
テルグ語映画の歴史は1912年のサイレント映画から始まり、1921年に最初のテルグ語サイレント映画『Bhishma Pratigna』が製作された[32]。同作は「テルグ語映画の父」ラグパティ・ヴェンカイアー・ナイドゥとラグパティ・スーリヤ・プラカーシュ・ナイドゥ父子によって製作された[33]。また、スーリヤ・プラカーシュはヤーラグーディパティ・ヴァラーダ・ラオ(英語版)と共に『Nandanar』『Gajendra Moksham』『Matsyavatar』を製作し、宗教的人物・寓話・倫理をテーマとするテルグ語映画製作の流れを確立した[34]。1935年にゴットゥムカーラ・ジャガナーダ・ラージュがヴィシャーカパトナムにアーンドラ・シネ・トーンを設立し、同年『Jagadamba』を製作してデジタルシアター・サウンドを披露した[35]。
トーキー映画の登場
「テルグ語映画の父」ラグパティ・ヴェンカイアー・ナイドゥ
テルグ語映画初の全編トーキー映画『Bhakta Prahlada』のポスター
[36]
テルグ語映画初の全編トーキー映画『Bhakta Prahlada』は、南インド映画初のトーキー映画『Kalidas』の監督H・M・レッディ(英語版)によって製作され、同作が完成した1931年9月15日は「テルグ語映画の日(Telugu Film Day)」として認知されるようになった[37][38][39][40]。トーキー映画は大衆の人気を集め、1934年公開の『Lava kusa』で初めて南インド映画は興行的な成功を収めた。C・プライヤーが監督、スリランジャニ(英語版)が主演を務めた同作は記録的な観客動員数となり、勃興したばかりの映画産業を主流文化へと成長させた[41]。1936年ごろまでに観客は映画が宗教的・神話的テーマから離れることを許容するようになり[41]、同年にクリティヴェンティ・ナゲシュワラ・ラオが製作した『Prema Vijayam』では社会問題がテーマに取り上げられ、同作の成功は数多くの社会派映画の登場を促した。1939年公開の『Vande Mataram』では嫁荷が取り上げられるなど人々の慣習に焦点を当てるようになり、1937年から1947年の間に製作された96作品中29作品が社会問題をテーマとした映画となっている[42]。
1938年にグーダヴァーリ・ラーマブラーフマン(英語版)が製作した『Mala Pilla』では、インド独立以前の不可触民改革運動が取り上げられた[43][44]。彼は翌1939年にべラリー・ラガヴァ(英語版)主演の『Raithu Bidda』を製作しており、同作では農民の台頭を通してイギリス領インド帝国のザミーンダーリー制度を批判したため、英印政府によって上映禁止処分を受けた[45]。1940年にはヤーラグーディパティ・ヴァラーダ・ラオが監督、チットゥール・V・ナガイアーが主演を務めた『Viswa Mohini』が公開され、同作はインド映画界を描いた最初の映画となった[46]。1951年公開の『Malliswari』はアジア太平洋映画祭で上映された他、1953年3月14日に中華人民共和国で中国語字幕付きで公開され、アメリカ合衆国では16mmフィルム版が公開された[12][47]。同作は後にダーダーサーヘブ・パールケー賞受賞者となるボンミレッディ・ナラシンハ・レッディ(英語版)が監督している[47]。
第二次世界大戦の勃発とそれに伴う物資不足により、英印政府は1943年に映画のフィルムストリップ(英語版)の使用限度を1万1000フィートまでと定め[48]、それ以前の平均使用量2万フィートを大きく下回ることになった[49]。その結果、大戦中に製作された映画の本数は大戦勃発以前よりも減少したが、この直前にインド映画界に大きな変化が起きていた。それは独立スタジオの形成、スタジオと俳優の専属出演契約、社会派映画の衰退と神話映画の再興という三つの変化である[50]。1944年にガンタサラ・バーララーマイアー(英語版)が製作した神話映画『Seeta Rama Jananam』が公開され、後にテルグ語映画のスター俳優となるアッキネーニ・ナゲシュワラ・ラオがテルグ語映画デビューを果たした[51]。
産業構造
1948年にムーラ・ナーラーヤナ・スワーミ(英語版)とボーミレッディ・ナラシンハ・レッディは、マドラス(現チェンナイ)にヴィジャヤ・ヴォーヒニ・スタジオ(英語版)を設立した[52]。また、1956年にはインド映画界の重鎮L・V・プラサードが同地にプラサード・スタジオ(英語版)を設立している[53]。その後、永らく産業拠点はマドラスに置かれていたが、1960年代にアッキネーニ・ナゲシュワラ・ラオがハイデラバードへの拠点移行を始め[54]、俳優から政治家に転身したN・T・ラーマ・ラオがアーンドラ・プラデーシュ州首相(英語版)を務めていた1980年代後半から1990年代初頭にかけて、D・V・S・ラージュ(英語版)の尽力により産業拠点は完全にハイデラバードに移行した[55]。ハイデラバードに拠点を移したアッキネーニは、同地にアンナプルナ・スタジオ(英語版)を設立している。テルグ語映画はインド3大映画産業の一つに挙げられ、2006年には245本のテルグ語映画が製作された。また、ダッグバーティ・ラーマナイドゥとラーモージ・ラーウ(英語版)が整備したハイデラバードの映画スタジオは、テルグ語映画界に豊富な製作環境と雇用を生み出した[19]。インド映画は言語ごとに産業が細分化されており、興行的な成功を収めたテルグ語映画の多くがボリウッド、西ベンガル映画でリメイクされている[56]。
デジタルシネマ・ネットワークを手掛けるUFOムービーズ(英語版)は、テルグ語映画配給地域にある複数の映画館をデジタイズした[57][58]。テルグ語映画界には映画製作者や俳優を養成するためテランガーナ州映画テレビ研究所、アーンドラ・プラデーシュ州映画テレビ研究所、ラーマナイドゥ映画学校、アンナプルナ・インターナショナル・スクール・オブ・フィルム&メディア(英語版)などの映画学校が存在する[59][60]。テルグ語圏には約2800の劇場が存在しており、これはインド各州の中でも最大規模を誇る数である[61]。テルグ語映画界で最も権威のある映画賞として、映画、舞台、ドラマを表彰するナンディ賞があり、アーンドラ・プラデーシュ州政府(英語版)の管轄下にある映画・テレビジョン・シアター開発公社が主催している[62][63]。
ヒット作
テルグ語映画は商業スタンスの一貫した映画産業として知られており[64]、そのスタンスはインドの商業映画に多大な影響を与えた[65]。テルグ語映画は莫大な収益を生み出す産業であり、その割合はテルグ語圏の国内総生産の1%を占めている[64][66][67]。1992年にK・ラーガヴェンドラ・ラーウが製作した『ならず者の婿殿』は、テルグ語映画として初めて1億ルピーの興行収入を記録した[68]。
2006年公開の『Bommarillu』は72枚のコピーフィルムが各国で上映され、好評を得た同作のフィルムは最終的に100巻作成された[69]。同作は公開初週に5000万ルピーの興行成績を収め[69]、アメリカでは6大都市で上映され、公開4日以内に7万3200ドルの興行収入を記録している[69]。アメリカでは在米インド人6万5000人が同作を鑑賞し、3000万ルピーの収益を上げている[70]。同作の累計興行収入は2億5000万ルピー(海外興行収入は3500万ルピー)を記録し、当時のテルグ語映画で最高額の興行収入となった。この成功を受け、同作はタミル語、ベンガル語、オリヤー語、ヒンディー語でリメイクされている[71]。同年公開の『Pokiri』も興行的な成功を収め、その後2年間の間にヒンディー語、タミル語、カンナダ語でリメイクされ、国際インド映画アカデミー賞で上映されている[72]。
2009年公開の『マガディーラ 勇者転生』は批評家から高く評価され、海外興行収入7億8100万ルピーを記録するなど最も成功したテルグ語映画の一つに挙げられている。2011年公開の『Dookudu』はアメリカでは79スクリーンで上映され、ロサンゼルス・タイムズは「前代未聞の最大のヒット」と批評した[74][75][76]。同作はインド北部、東部、西部地域の21都市でも上映された[77]。最終的な興行収入は10億ルピーを記録している[77][78]。同年公開の『Anaganaga O Dheerudu』はウォルト・ディズニー・ピクチャーズとの共同製作作品となり、同社が南インド映画に初めて参入した[79][80]。
2012年公開の『マッキー』は、吹替版も含めて12億5000万ルピーの興行収入を記録した[78][81][82][83]。2013年公開の『Attarintiki Daredi』は公開3週間の海外興行収入7億9800万ルピーを記録し、当時のテルグ語映画最大の海外興行収入となった[84][85]。2014年公開の『1: Nenokkadine』『Aagadu』は、同年公開のボリウッド映画『クリッシュ(英語版)』『Kick』と並び、アメリカでの公開初週末の興行記録を樹立した[86][87]。デジタル技術や特殊効果などの技術発展に伴い、テルグ語映画の技術水準は格段に向上し、これらの特殊効果を多用した『マガディーラ 勇者転生』『Arundhati』『マッキー』『Damarukam』などのブロックバスター作品を生み出した[88]。
2015年公開の『バーフバリ 伝説誕生』は特殊効果、プロダクションデザイン、叙事詩的内容、背景音楽が批評家から高く評価された[89][90][91][92]。同作は当時最も成功したインド映画となり[93]、累計興行収入65億ルピーを記録して南インド映画最大のヒット作となり、ヒンディー語吹替版が製作された非ヒンディー語映画として初めて10億ルピーの興行収入を記録し、さらに当時最大の興行収入を記録したテルグ語映画となった[94]。また、サターンファンタジー映画賞にもノミネートされている[95]。
評価
テルグ語圏出身の著名な映画批評家としてヴァシラージュ・プラカーサム(英語版)、K・N・T・サストリー(英語版)が挙げられる[96][97]。テルグ語映画は民話やファンタジー、神話、メロドラマを製作する最大の映画産業の一つであり[98][99][100]、これらのジャンルのパイオニアとしてカディル・ヴェンカータ・レッディ(英語版)、B・ヴィッタラチャールヤ(英語版)、コーディー・ラーマクリシュナ(英語版)が挙げられる[13][98][101]。1950年代に開催されたインド国際映画祭では、『幻想市場』『Pathala Bhairavi』が批評家から高く評価された[14][102]。1956年公開の『Tenali Ramakrishna』は国家映画賞の全インド褒状(英語版)を受賞しており、IBN Liveは2013年に同作を「歴代最高のインド映画」に挙げている[103]。
1963年公開の『Nartanasala』はアフロ・アジア映画祭で最優秀美術監督賞を受賞しており[104]、カディル・ヴェンカータ・レッディが製作した『Donga Ramudu』はインド映画テレビ研究所にアーカイブされている[13]。『Nammina Bantu』はサン・セバスティアン国際映画祭で批評家から高く評価され[105][106]、1967年公開の『Ummadi Kutumbam』はインド映画連盟によってモスクワ国際映画祭へのエントリー作品の一つに選ばれた[107][108]。1968年公開のカルト映画『Sudigundalu』はタシュケント・モスクワ映画祭で上映されている[109]。
1980年公開の『Sankarabharanam』は、翌1981年にブサンソン映画祭で観客賞を受賞しており[110]、2002年公開の『Thilaadanam』は第7回釜山国際映画祭でニューカレンツ賞を受賞している[111]。1980年公開の『Maa Bhoomi』はカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭とシドニー映画祭で上映され、監督のB・ナルシング・ラオ(英語版)はモスクワ国際映画祭で映画賞を受賞した『Daasi』『Matti Manushulu』も監督しており、『Maa Ooru』はハンガリー国際ビジュアルアート祭でメディア・ウェーブ・アワードを受賞した[112]。また、彼は第56回カンヌ国際映画祭の批評家週間部門にノミネートされた『Hari Villu』も監督している[113][114][115]。1988年にM・V・ラグー(英語版)は『Kallu』を製作してインド30州で映画賞を受賞し、中央映画認証委員会からも特別賞を授与されている[116]。チャンドラ・シッダールタ(英語版)が製作した『Nirantharam』は、ロカルノ国際映画祭で特別賞を受賞している[117]。
バープ(英語版)が製作した『Sakshi』は、1968年にタシュケント国際映画祭に出品された[118]。彼が1976年に製作した『Sita Kalyanam』はロンドン映画祭、シカゴ国際映画祭で批評家から絶賛され、同作は英国映画協会のカリキュラムの一つとなった[119][120]。1986年公開の『Swati Mutyam』は、テルグ語映画として唯一アカデミー外国語映画賞のインド代表作品に選ばれており[121][122]、『Sagara Sangamam』と共にアジア太平洋映画祭で批評家から高い評価を得た[123][124]。1977年公開の『Oka Oori Katha』はカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭、カルタゴ映画祭で特別賞を受賞した[125]。2006年公開の『Vanaja』はシカゴ国際児童映画祭(英語版)で複数の賞を受賞している[126]。2012年公開の『Dream』はカナダ国際映画祭でロイヤル・リール賞を受賞している[127][128][129]。
2012年公開の『マッキー』は、トロント・アフター・ダーク映画祭(英語版)で9つの賞を受賞している[130]。2013年公開の『Naa Bangaaru Talli』はデトロイトのトリニティ国際映画祭で最優秀作品賞、インドネシア国際映画祭で4つの賞を受賞している[131][132][133]。2014年公開の『Minugurulu』は、バンガロールの第9回インド国際児童映画祭で最優秀インド映画賞を受賞した[134]。『O Friend, This Waiting!』はインド・アメリカ美術評議会(英語版)から特別賞を授与されており[135]、『Parampara』は国際インドネシア映画賞の最優秀長編映画賞を受賞している[136]。
テルグ語映画の人材
映画製作者・俳優
チットゥール・V・ナガイアーは、最も影響力のある南インド映画の俳優とされている[137]。テルグ語映画黄金時代のスター俳優としてヴェムリ・ガッガイヤー(英語版)、カリヤーナム・ラーグラーマイアー(英語版)、ラージャナラ・ナゲシュワラ・ラオ(英語版)、C・S・R・アンジャネユル、ヤーダヴァリ・スーリヤナーラーヤナ(英語版)、C・H・ナーラーヤナ・ラオ(英語版)、ムーディゴンダ・リンガムルティ(英語版)などが挙げられる。S・V・ランガ・ラオ(英語版)は、『Nartanasala』の演技でインドネシア映画祭(英語版)の主演男優賞を受賞した最初の南インド俳優となった[104][138]。黄金時代に最も成功した俳優にはアッキネーニ・ナゲシュワラ・ラオとN・T・ラーマ・ラオが挙げられており[139]、K・N・T・サストリー(英語版)とパッタビラーマ・レッディ・チカヴァラプ(英語版)はパラレル映画におけるパイオニア俳優として知られている[140][141]。アードゥルティ・スッバ・ラオ(英語版)はドラマ映画におけるパイオニア俳優として、国家映画賞で7つの賞を受賞しており[142]、アッキネーニ・クトゥンバ・ラオ(英語版)は『Patha Nagaramlo Pasivadu』を製作してカイロ国際映画祭の作品賞を受賞した[143][144]。
ダサリ・ナーラーヤナ・ラーオは最も多くのテルグ語映画を監督した人物であり、『Meghasandesam』はカンヌ国際映画祭とモスクワ国際映画祭で高い評価を得ている[145]。B・S・ナーラーヤナ(英語版)は1974年のタシュケント映画祭と1975年のモスクワ国際映画祭のインド代表団の一員を務め[146]、V・N・レッディ(英語版)、K・S・プラサード、ジャヤー・クリシュナ・グンマーディ(英語版)はテルグ語映画における撮影監督のパイオニアであり、複数の言語のインド映画での活動が知られている[147][148][149]。ダサリ・ナーラーヤナ・ラーオが製作した『Tandra Paparayudu』は第11回インド国際映画祭で上映されている[150][151]。クリシュナはテルグ語映画初のシネマスコープ映画(『Alluri Seetarama Raju』)、70mmフィルム映画(『Simhasanam』)、DTS映画(『Telugu Veera Levara』)で主演・監督を務めるなどテルグ語映画の技術革新に関わり、また西部劇や『007シリーズ』のスタイルをテルグ語映画に取り入れたことで知られている[152]。
リーランギ・ヴェンカータ・ラーマイヤー(英語版)とラーマーナ・レッディ(英語版)は黄金時代の2大喜劇俳優として知られている[153]。1980年代にジャンディヤーラ(英語版)が監督として台頭すると、テルグ語映画におけるコメディ映画のジャンルが著しい成長を見せた[154]。その後、シンギータム・シュリニヴァサ・ラオ(英語版)とラーム・ゴーパール・ヴァルマ(英語版)は新しいジャンルを開拓して国際的に認められるようになった[155][156]。この他にシェーカル・カンムラ(英語版)、チャンドラ・シェーカル・イェレティ(英語版)、モーハン・クリシュナ・インドラガンティ(英語版)、デーヴァ・カッタ(英語版)、ニーラカンタ(英語版)、ナラシンハ・ナイドゥなどの若手映画製作者がインド国際映画祭パノラマ部門で評価を得ている[157][158][159][160][161]。編集技師のA・シュリーカル・プラサードは1980年代から複数の言語のインド映画で活動しており、映画編集の第一人者として知られている[162]。
S・V・ランガ・ラオ、N・T・ラーマ・ラオ、ジャッガイヤー(英語版)、カンタ・ラオ(英語版)、バーヌマティ(英語版)、スーリヤカンタム(英語版)、グンマディ・ヴェンカテーシュワラ・ラオ(英語版)、サヴィトリ、クリシュナ・G、クリシュナム・ラージュ(英語版)、ショーバン・バーブは主演俳優としての活動が評価されラシュトラパティ賞を授与されている[163][164]。グンマディ・ヴェンカテーシュワラ・ラオは1978年と1982年のタシュケント映画祭ではインド代表団の一員を務め[165]、第28回国家映画賞(英語版)、第33回国家映画賞(英語版)、第39回国家映画賞(英語版)では選考委員を務めた[166][167][168]。スリ・スリ(英語版)はサヒティヤ・アカデミー賞(英語版)や国家映画賞 作詞賞(英語版)、ソビエト・ランド・ネルー賞(英語版)を受賞するなど、最も影響力のある作詞家の一人だった[169]。
シャラダ(英語版)、アルチャナ(英語版)、ヴィジャヤシャンティ(英語版)、ローヒニ(英語版)、アッキネーニ・ナーガールジュナ、P・L・ナーラーヤナは演技を評価されて国家映画賞を受賞している。「メガスター」として知られるチランジーヴィは、IBN-liveの「The men who changed the face of the Indian Cinema」の一人に選ばれており[170]、ブラフマーナンダムは最も多くの映画に出演した俳優としてギネス世界記録に登録されている[171][172]。特殊効果を手掛ける第一人者としてはピート・ドレイパー、P・C・サナス、チャクリ・トレティ(英語版)、V・スリニヴァス・モハンが知られている[88][173]。
作曲家・歌手
スサラ・ダクシナムルティ(英語版)、パルパリ・ラーマクリシュナイアー、オギラーラ・ラーマチャンドラ・ラオ(英語版)、ピサプラーム・ナゲシュワラ・ラオ(英語版)、スーリヤクマリ(英語版)、M・バーラムラーリクリシュナ(英語版)は、南インド映画において影響力のある作曲家として知られている[174][175][176]。ペンディヤーラ・ナゲシュワラ・ラオ(英語版)、R・スダルシャナム、R・ゴヴァルダナムは民話映画や神話映画の作曲を多く手掛けている[177][178]。
マーダヴァペッディ・サティヤム(英語版)、P・アディナーラーヤナ・ラオ(英語版)、ガーリ・ペンチャラ・ナラシンハ・ラオ(英語版)、チェラピッラ・サティヤム(英語版)、P・B・スリーニヴァス(英語版)、S・P・コーダンダパニ(英語版)、G・K・ヴェンカテーシュ(英語版)、S・ハヌマンサ・ラオ(英語版)は社会派映画で多く活躍している[179]。S・P・バーラスブラマニアムはプレイバックシンガーとして4つの言語で国家映画賞を受賞しており、ナンディ賞も受賞している[180]。S・ナジェシュワラ・ラオ(英語版)はテルグ語映画に軽音楽を取り入れた人物であり、ジェミニ・スタジオ(英語版)で10年間活動した[181]。ガンタサーラ(英語版)はアメリカやイギリス、ドイツで活動し、その才能を賞賛されている[182][183]。P・スシーラ(英語版)はインドの言語で最も多くの歌を歌った歌手としてギネス世界記録やアジアブック・オブ・レコード(英語版)に登録されており[184]、国家映画賞 女性プレイバックシンガー賞(英語版)を5回受賞している[185]。この他にS・ジャーナキ(英語版)、M・M・キーラヴァーニ、パスプレティ・ラメーシュ・ナイドゥ(英語版)が知られている。ラージ=コーティ(英語版)は10年以上にわたり活動し、現代音楽を再定義したことで高く評価されている[186][187]。R・P・パトナイク(英語版)はテルグ語映画音楽協会の会長を務めている[188]。
配給
2012年時点で配給記録を保持していたのは、世界1600スクリーン(ハイデラバード71スクリーン含む[189])で公開された『Dookudu』だった[190]。同作はボツワナで公開された最初のテルグ語映画であり、アメリカでは79劇場で公開され「前代未聞の最大のヒット」と批評された[74]。また、オランダ、ドイツ、南アフリカ共和国、ドバイ、フィンランド、シンガポール、マレーシア、イギリスでも公開されており[191]、著作権侵害を防ぐためインドの高等裁判所にジョン・ドゥー法令を申請している[192]。同作は累計興行収入10億ルピーを記録している[77][193][194]。『バーフバリ 伝説誕生』海外配給版は中国、日本、大韓民国、台湾、インドネシア、タイ王国、ベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマー、東ティモールなどのアジア諸国の他、ヨーロッパやラテンアメリカでも公開された[195]。
テルグ語映画の収益の50%以上がニザーム地域に集中していると配給会社は分析している[196]。海外市場からの収益の大半はアメリカが占めている[197]。
配給地域
受賞記録
ギネス世界記録
国家映画賞長編映画賞
国家映画賞テルグ語長編映画賞
ダーダーサーヘブ・パールケー賞
主な映画賞
出典
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