サイキック5
『サイキック5』(サイキックファイブ、英:PSYCHIC5)は、日本マイコン開発が開発し[2]、ジャレコより1987年1月に発売されたアーケードゲーム。ジャンルはアクションゲーム[3]。 ゲーム内容5人のサイキック戦士から一人を選んで操り、ステージの一番奥にいる大魔王サタンを目指すサイドビュー型のアクションゲーム[4]。5人のエスパー達はジャンプ力、パワー、攻撃力、移動速度などに差があり、それぞれの能力に応じて使い分ける必要がある[4]。 1レバーと2ボタン(ハンマーによる攻撃、ジャンプ)で自機を操作。ジャンプは押す長さにより高度を変え、ジャンプ中にレバーを上に入力するとゆっくりと下降する事ができ、レバーを下に入力すると速く下降する。 ステージ中の「壺」を壊すと中から食べ物アイテムが出現し、その食べ物アイテムを6つ取る毎に画面右上の5つ枠があるアイテムアイコンにアイテムがストックされる。アイテムアイコンのカーソルは常に動いており、このカーソルがストックされているアイテムの位置に重なった時にステージ中の「クエスチョンボックス」(?マークの書かれている箱)などを壊すと、中からそのアイテムが出現、取得する事ができる[5]。なお、アイテムアイコンのカーソルがアイテムのない空白の時にクエスチョンボックスを壊すと、そのクエスチョンボックスに本来入っているアイテムが出現する。また、アイテムアイコンにストックしているアイテムは次のステージに持ち越す事ができる[5]。 ステージ中には時計、傘、椅子、ティーポット、トースターなど様々な姿をした敵キャラクター(モンスター)がおり、更にそれらの敵キャラクターはそれぞれ固有の小型敵キャラクター(ミニモンスター)を放ち自機を攻撃してくる。モンスターはハンマーで攻撃すると気絶させる事ができ、その間は自機が触れてもミスにはならない。モンスターを数回ハンマーで攻撃すると倒す事ができ、1体につき1,000点が入る。ミニモンスターは倒すと1体につき100点だが、ミニモンスターを放ったモンスターを倒した場合、そのモンスターの放ったミニモンスターが消滅し、消えたミニモンスター×500点がスコアとして入る[6]。 ステージ中には魔女が飛び回っており、これをハンマーで倒すと箒を奪って一定時間乗る事ができる。箒に乗っている間は自由に空中移動でき、また制限時間のカウントが止まり、更にモンスターの動きが止まり一撃で倒せるようになり、その他ステージ中にある重い扉(ヘビードア)をすぐ開けられるようになる[7]。 ステージの最奥にはボスであるサタンがおり、これを倒すとステージクリア、SCENE1からSCENE8までの全8ステージとなっている。 敵やサタンの放つ弾に当たる、ステージ中の火に触れる、ステージ中の移動するブロックに挟まれる、制限時間をオーバーするなどすると1ミス、残機が全て無くなるとゲームオーバー。クレジットを投入する事でコンティニューする事ができる。 アイテム本作に登場するアイテムを記述する[8]。
アイテムアイコンのカーソルがストックされているアイテムの位置に重なった時にステージ中のクエスチョンボックスなどを壊すと出現、取ると効果を発揮する。
ほとんどのアイテムはステージ中のクエスチョンボックスの中に入っている。ただし、アイテムアイコンのカーソルがアイテムの位置に重なっている時にクエスチョンボックスを壊すと、クエスチョンボックスに本来入っているアイテムではなくアイテムアイコンにストックされていたアイテムが出現する。
ステージ中の仕掛けステージ中に存在する仕掛けについて記述する[10]。
登場キャラクター使用キャラクターはステージ開始時に選べるほか、ステージ内にある電話ボックスにて任意に切り替える事が可能。最初はナオキとアキコしか使えないが、1ステージにつき必ず1つあるガラス瓶を壊すと、囚われていた仲間のエスパーを救出する事ができる。
音楽ゲーム中の音楽は当時NMKに所属していた坂本慎一が担当[1]。坂本はインタビューで『サイキック5』の曲について聞かれ、当時は周辺にバンドをやっている友人もいたが、彼らにゲーム音楽が特殊な音楽だと思われる事が悔しく、ゲーム基板のチップでもポップスは作れると証明したかった、それでイントロ~Aメロ~Bメロという普通の曲のような構成にしたと語っている[11]。 また坂本はほかに、ゲームの場合は長い曲を作っても途中で死んで最後まで聴けないという事が多いが、それでも敢えて長くしてプレイヤーに「最後まで聴きたいので頑張ってプレイしよう」と思わせる事はできないだろうか、とも考えたと語っている[11]。 その他坂本はそれぞれ個別の曲について、「アキコのテーマ」はアキコのキャラに合う活発な感じの、それでいてちょっと不思議な曲を作りたかった、「ブンタのテーマ」のロックな感じはテーカン時代の同僚であったメタルユーキ(斎藤幹雄)の影響が大きいかもしれない、「マコトのテーマ」はジャズを意識し、当時NMKで企画のアルバイトをしており後に『ぶたさん』の音楽を担当した吉田晄浩によく相談していた、など当時を振り返っている[11]。 なお、本作は『アーガス』や『バルトリック』では2曲だったネームエントリーの曲が1曲になっているが、これについて坂本は実はスランプが原因であると語り、『サイキック5』を作っている時に全てを出し切ったような感じになってしまい、半ば出社拒否のような状態になってしまった、と当時を振り返っている[11]。 スタッフ
評価ゲーム文化保存研究所のこうべみせは、難しいゲームの多いアーケードゲームの中で、本作は難易度は高いながらもプレイヤーが上達を実感でき、エンディングを目指す気になれるゲームデザインをしたゲームの一つだったとしている[12]。 クリアするにはトラップやギミックの場所を覚えパターンを作り上げるのが重要だったとし、時間切れや操作ミスでの火の床への接触で残機を減らす事が多かったが、敵キャラクターがミスの直接の原因となる事は少なく、それまでのジャレコのゲームで見られた上級者でも対応困難な無茶とも言える敵の攻撃など「理不尽な難しさ」を感じさせない内容が今でも名作と言われる所以ではないかと述べている[12]。 そして本作を、高難易度が目立つジャレコゲームの中では難易度的にベストバランスの佳作と言っていいとし、クリアするごとに違った目標を立てられ、飽きずにくり返し遊べる、自身の考える「出来の良いゲーム」の条件を満たした作品であると評価している[12]。 サイキック5 エターナル
『サイキック5 エターナル』 (サイキックファイブ エターナル、英:PSYCHIC5 ETERNAL) は、シティコネクションより2023年7月27日に発売されたNintendo Switch用アクションゲーム。 ゲーム内容Nintendo Switchにて発売された上記『サイキック5』(以下、原作)のリメイク作品[13][14][15]。2022年9月12日に発表され[16]、2023年7月27日に発売された[14]。リメイクに際し、原作は縦画面のゲームであったが、本作はワイド画面に対応し、更にワイド画面とオリジナルの縦画面をZLボタンで、リメイクグラフィック&アレンジBGMとオリジナルグラフィック&オリジナルBGMとをLボタンで、それぞれボタン1つで切り替える事ができるようになっている(プレイするステージやゲームモードによってはワイド画面またはリメイクグラフィック&アレンジBGM固定となる)[13][17]。 ゲーム内容では、原作と同様のSCENE1から8の8ステージのほか、新たに韓国出身の「第2エスパー団」を操作し進んでいくSCENE9から17の計9ステージが追加されている。新たなステージは地獄が舞台となっており、ベルゼブブ、ベルフェゴール、アマイモン、バフォメット、そして悪魔の親玉であるルシファーといった新たなボス敵が登場する。その他、新たなゲームモードや新規アイテムも追加されている[13][14]。 原作はライフ無しの一撃死のゲームであったが、本作では難易度EASY及びNORMALではライフを持ってスタートし、ある程度敵の攻撃に耐えられるようになっている(ただし移動するブロックに挟まれた場合や制限時間をオーバーした場合は原作通り一撃死する。また、難易度HARDは原作と同様のライフ無しの一撃死制となる)。他に原作は1人プレイのゲームであったのに対し、本作は2人同時プレイに対応している。 設定面において原作には無かった設定やストーリーが新たに追加されている。また、時間追加アイテムがアイテムアイコンにストックされる、ミスしてもパワーアップの効果が無くならないなど、原作との変更点、相違点がいくつか存在する。 ゲームモード
追加アイテム本作に登場する追加アイテムを記述する[8]。
追加キャラクター第2エスパー団SCENE9以降から使用する第2のエスパー団。全員韓国出身で、最初から全員使える。独自のスキルとして攻撃ボタンを押しっぱなしにして離すとハンマーを投げて遠距離攻撃する「ハンマー投げ」を使う事ができる。メンバーは開発元のCRT GAMESの開発スタッフをモデルとしている[18]。
隠しキャラクター特定の条件を満たすと使用する事のできる隠しキャラクター達。全体的に高い能力を持つ。
開発開発は韓国・CRT GAMESが担当。CRT GAMESの代表であるイムはAUTOMATONでのインタビューにて、開発するにあたって基板で『サイキック5』をプレイしながらそのデザインをそのまま移す作業、いわゆる「目コピ」を行ったとしている[18]。「目コピ」をしたのはグラフィックだけでなく、ジャンプはどれくらいするか、どこからどこまで動くかというアクションも同様だったとし、絵を目コピするのと同じように動きも動画で録画して、それを比較しながらゲームに反映したと述べている[18]。 また、現存している元のソースというのはゼロで、CRT GAMESが前に手掛けた『スノーブラザーズスペシャル』と同様にゼロからゲームを作ったとイムは制作について述べている[18]。 ほかに、今回のリメイクの件についてはCRT GAMESが『サイキック5 エターナル』を作りたいと考え、シティコネクションに提案、コンタクトしたとイムは述べ、また『サイキック5』をリメイクしようとしたきっかけについて聞かれイムは、『サイキック5』は自身が小学生6年の時に初めてプレイし、それが衝撃的かつ斬新だったとし、その思い出もあって『サイキック5』を選択した、なおかつ『サイキック5』のBGMを作曲したのが自身の尊敬する坂本慎一で、その面白いゲームシステムと良いBGMを今のユーザーにも知らせたかったと理由を挙げている[18]。 また、『サイキック5 エターナル』はシティコネクションの監修を受けているが、そっくり作ったのでシティコネクションから指摘を受ける事は少なかった、むしろ1987年の作品をそっくり再現しているため、今のユーザーには少し不親切だという意見がシティコネクションから出た、例えばゲーム内の扉(ヘビードア)について、力の弱いキャラクターだと長時間押さないと扉は開かず、原作を知っているユーザーならいつか扉が開くことを知っているから先に進められるが、『サイキック5 エターナル』で初めてプレイするユーザーは「これは開かないものだ」と諦めてプレイを続けられなくなる、という意見がシティコネクションから出て、ヘビードアを押す時に上にゲージが出るといった風に改善した、このように新しいユーザーには不親切な部分を改善するいいアイデアをシティコネクションから貰ってゲームに反映した、とイムは語っている[18]。 その他、苦労した点について聞かれ、イムはそこまでとても苦労したものはなかったと前置きしたうえで、2人同時プレイに対応した事を苦労した点として挙げ、元々1人プレイ用専用の『サイキック5』を2人同時プレイできるようにした事によって、優先順位として開発すべきもの、対応すべきものの選択に苦労したと述べている[18]。 またイムは2人同時プレイをなぜ採用したかについて聞かれ、自分は1人プレイよりも2人プレイで遊ぶ方がゲームは面白くなると感じており、自身がファミコンで遊んでいた時代、2人以上でプレイできるかどうかという点はゲームソフトを買う基準となる大事な要素だった、その思い出からこれからも2人以上でプレイできるものを開発していきたいと語っている[18]。 他に、画面サイズをアーケード基準の縦長のものから横長の16:9に切り替えができるようになった事について、難易度が変化する可能性があるが、今の時代は横長のワイドサイズが一般的なものでそれに逆らうべきではないと考えたからだとイムは述べ、目に見えるものが増えたことによりヒントは多くなるが、そのことによる短所よりも長所の方が多くなったと考えていると語った[18]。 なお、後述する『エスパ冒険隊 魔王の砦』を『サイキック5 エターナル』に入れると面白い、ユーザーにいい反応を貰えると思っていたが、『エスパ冒険隊』はゲーム性が大きく『サイキック5』と異なり、今回せっかく『サイキック5』をリメイクしたのに同じように遊べない別作品をそのまま入れるのはコンセプトがずれるのではないか、というのが本作のプロジェクトに参加した人たちの結論として出て、入れるのを見送ったとイムは述べた[18]。 またインタビューに同席したシティコネクション広報スタッフも、開発初期段階では『サイキック5 エターナル』の中で『エスパ冒険隊』を遊べるようになる案があったが、開発が進むにつれ、新たに追加された遊びの要素が面白かった事もあり、このまま『エスパ冒険隊』を遊べるようにしても文脈が複雑化するだけで、新作部分とのシナジーを生み出しにくいと考え、コストやスケジュールの面から優先度を考えていった結果、入れるのを見送ったと語っている[18]。 エスパ冒険隊 魔王の砦
『エスパ冒険隊 魔王の砦』(エスパぼうけんたい まおうのとりで)は、日本マイコン開発が開発し[22]、ジャレコより1987年10月13日(1987年10月9日とする資料もあり[21])に発売されたファミリーコンピュータ用アクションRPG。 ゲーム内容上記『サイキック5』(以下、原作)のアレンジ移植[19][20][21]。移植に際しRPG要素を追加し、敵を倒してのレベルアップやNPCとの会話など大幅にアレンジしてある[21]。またステージも『メトロイド』などのように広大なステージを探索しながら目的を果たす探索型アクション(所謂「メトロイドヴァニア」)となっている。 操作はAボタンでジャンプ、Bボタンでハンマーによる攻撃、十字キーの上下でジャンプを制御するといった事は原作と同様で、その他セレクトボタンで現在ステータスやマップを表示するマップモードに切り替える。マップモードではプレイヤーキャラクターの切り替えのほか、「すとーむ.ぼうる」という炎の玉を自機の周りにとばして身を守る超能力を、ESPポイントを消費して使うかどうかを選択できる。 ステージ中には原作と同様に時計、傘、椅子、ティーポット、トースターなど様々な姿をしたNPCがおり、その全てにスタートボタンで話しかける事ができる。NPCはこちらに対し友好的なもの、敵対的で攻撃を仕掛けてくるもの、話しかけると襲ってくるもの、こちらが攻撃を加えると襲ってくるものなど、様々な種類のものがおり、彼らと会話し情報やアイテムを入手する事がゲームを進める上で重要になってくる。またNPCにはベット、冷蔵庫、バスタブといったものがおり、彼らに話しかけるとお金を払ってライフとESPポイントを回復させる事ができる[23][24](ベットは「泊まる」ではなく「休憩」を選ばなければ回復しない)。その他、ステージ中には「みみずくの像」が点在しており、これからも「謎の声」による情報を聞く事ができる[25][26]。 こちらに敵対的なNPCを倒すと経験値を入手(こちらに友好的なNPCを倒しても経験値は手に入らない[23])、そして経験値を一定以上溜めるとキャラクターがレベルアップし各ステータスが上がる。なお、レベルは一定以上経験値を溜めた状態で、更にセレクトボタンを押してマップモードに切り替えないと上がらない。ステージ中で隣接する部屋に移動するには扉の近くにある像に触れなければならず、更にレベルを上げて「ぷっしゅぱわー」というステータスを上げなければ開かない扉もあるため、ゲームを進める上でレベル上げは必須となっている[21]。 ステージ中にある宝箱をハンマーで叩くとお金を入手できる[25][26]。お金は前述のようにライフ、ESPポイントを回復させるのに使うほか、特定のNPCから情報やアイテムを入手する際に使用する事がある。 ダメージを受けるなどしてライフが無くなるとゲームオーバー、所持金が半分になった上でゲームが再開する。ゲームの進行状況はパスワードで保存可能。ベットに話しかけ、「泊まる」を選択するとパスワードを入手できる。 マップを探索し魔王を見つけ出し、これを倒して「謎の人物」を救出するとゲームクリア、エンディングとなる。なお、魔王のいる部屋は全部で3つあるが、そこに魔王がいるかどうかはランダムであり、魔王のいない部屋に入っても部屋を追い出され魔王と戦う事はできない。 キャラクターのステータスキャラクターのステータスについて記述する[27][28]。各ステータスは一部を除きキャラクターにより異なり、レベルアップする事により上昇する。
アイテム
登場キャラクターキャラクターはマップモードにて任意に切り替える事ができる。最初はアキオしかおらず、他のキャラクターはステージのどこかに囚われているのでそれを助け出す必要がある。
移植版
このほか、2016年にJNNEXから発売されたレトロビット『ジェネレーション』にも本作が収録されている。 スタッフ
評価
ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では合計23点(満40点)[32]となっている。 脚注
参考文献
外部リンク |