有限会社グランド牧場(グランドぼくじょう)とは、北海道日高郡新ひだか町に本場を置くサラブレッド競走馬の生産・育成牧場である[1]。勝負服色は「赤、白山型二本輪、紫袖」[1]。牧場名義で生産馬の所有も行うオーナーブリーダー(馬主兼生産者)。
歴史
1927年開場。創業地は古川公園野球場のすぐ近くで、その野球場のすぐ近くに敷地があったことから「グラウンド牧場」と呼ばれるようになり、いつしか「グランド牧場」を正式名称とするようになった。創業者の伊藤幸太郎は貴族院議員であった伊藤繁太郎の甥で、元は繁太郎のもとで競走馬生産を行っていた。創業以来長らく散発的に重賞勝利馬を出す程度の中小牧場であったが、1985年に父から経営を継いだ3代目・伊藤佳幸から急速な拡大路線が採用され、繁殖用支場と育成施設が各地に整備された。これに伴い従来15頭前後であった繋養繁殖牝馬は約100頭まで増加。ダートグレード競走を中心に活躍したプリエミネンスやスマートボーイ、アメリカで重賞勝利を挙げたフェスティバルなど、安定して活躍馬を輩出する有力な牧場となった。2002年には生産馬の獲得賞金総額で第4位を記録している。
2005年、スズカマンボが天皇賞(春)を制し、開場78年目でGI競走初制覇を果たす。2015年、同牧場生産馬同士の配合であるサンビスタがチャンピオンズカップを制覇し、牝馬として史上初めてJRAのダートGIを制覇した。
地方競馬においてもホッカイドウ競馬や南関東競馬を中心に生産馬を多数出走させており、2009年には笠松所属のラブミーチャンが全日本2歳優駿を制し、2歳馬として史上初めてNARグランプリ年度代表馬に選出され、2017年には船橋所属(当時)のヒガシウィルウィンが東京ダービー、ジャパンダートダービーの南関東牡馬クラシック2冠を制し、同じくNARグランプリ年度代表馬に選出された。
海外からの繁殖牝馬導入にも積極的で、2018年の米ファシグティプトン・ノベンバーセールでは前年のエクリプス賞最優秀2歳牝馬カレドニアロードを230万ドル(当時のレートで約2億6,450万円)で落札している[2]。
2020年、4代目社長に伊藤佳洋、前社長の伊藤佳幸は会長に就任する。
2023年、会長の伊藤佳幸が逝去。
馬主としての活動は2021年からはホッカイドウ競馬や南関東競馬を主軸に移しており、中央競馬においては2021年8月28日の新潟競馬第4レースでの出走(ビリーヴインミー、4着)が牧場名義としては最後となっており、JRA所属競走馬の多くは競走馬登録抹消、もしくは地方競馬への転籍の措置が執られ、数頭が会長である伊藤佳幸の個人名義[3]に移管されたのち、2022年からは中央競馬においてはマーケットブリーダーとしての活動に移行した。
日本中央競馬会調教師(美浦TC所属)である伊藤圭三は、3代目社長・伊藤佳幸の実弟。また、元JRA調教師の角居勝彦、沖芳夫が牧場に勤務していた。
所有施設
繁殖
育成
主な生産馬
2005年天皇賞(春)優勝馬スズカマンボ[4]、2009年度NARグランプリ年度代表馬・ラブミーチャン[5]、2015年チャンピオンズカップ優勝馬サンビスタ[4]などを生産している。
※括弧内は生産馬の優勝重賞競走。地方競馬限定格付けのものは含まない。競走名強調はGI級競走、馬名強調は生産所有馬。
出典
参考文献
- 『優駿』2005年8月号(日本中央競馬会)阿部珠樹「優駿たちの故郷を訪ねて - グランド牧場」
- 『週刊競馬ブック』2016年1月17日号(競馬ブック)村本浩平「グランド牧場を訪ねて」
関連項目
外部リンク