グラディウスIII -伝説から神話へ-
『グラディウスIII -伝説から神話へ-』(グラディウススリー でんせつからしんわへ、GRADIUS III)は、1989年12月11日に稼働したコナミのアーケード用横スクロール型シューティングゲーム。 グラディウスシリーズのメインストリーム3作目にあたる。なお、スーパーファミコン版に関してはグラディウスIII (スーパーファミコン)を参照。 後にPlayStation 2用ソフト『グラディウスIII&IV -復活の神話-』(2000年)に『グラディウスIV -復活-』(1999年)とのカップリングで収録された他、PlayStation Portable用ソフト『グラディウス ポータブル』(2006年)にも収録、2020年12月24日にはアーケードアーカイブスとして配信された。 ゲーム誌『ゲーメスト』の「第4回ゲーメスト大賞」では大賞3位、ベストシューティング賞3位、ベストグラフィック賞4位、ベストVGM賞1位を獲得、ゲーメストムック『ザ・ベストゲーム』では第20位を獲得した。 概要大ヒットした『グラディウスII -GOFERの野望-』の続編。発売前にアーケードゲーム誌『ゲーメスト』(新声社)誌上でアイディア募集が行われ、発売に先駆けてAMショーで披露された美麗なグラフィックと重厚なサウンドはアーケードゲームの最先端を感じさせ、ユーザーの期待は非常に高かった[2]。ただし、このショーで披露された版(以下:AMショー版)は、正式稼働した版とは内容が大幅に異なる[3]。なお、このAMショー版は2025年8月7日に発売予定の『グラディウス オリジンコレクション』に収録されている[3]。 当初は、シリーズ完結編として制作されていた。そのため、『グラディウス』(1985年)のストーリーで紹介された「バクテリアン」が最終ボスとして登場したり、ストーリーに「最後の攻撃」と入っていたりする。 ゲームシステムとしては前作『II』のパワーメーターセレクト(セットになっている装備の内容は前作『II』とはAタイプ以外異なる)に、新たに複数のパワーアップから組み合わせて自分だけのパワーメーターを作成する「エディットモード」が追加された。ステージはシリーズ最多の全10面とシリーズ最大のボリュームを誇る。 前作まで(『グラディウス』、『沙羅曼蛇』、『II』)と同様に本作にはコンティニュー機能は存在しない。エクステンドについては、工場出荷時設定で初回がスコア20,000点、2回目以降が70,000点となっている。 ストーリー謎の破壊神バクテリアンの最後の反撃であるダーク・フォースは、人々の想像を越えた強大なエネルギーで全宇宙を包み込み、破壊と殺戮の限りを尽くす。侵略の影はグラディウス周辺の惑星を次々と飲み込み、グラディウス本星にも魔の手を伸ばしつつあった。 グラディウス連邦政府は脅威に対抗すべく全軍を挙げての総攻撃に挑んだ。しかし、ダーク・フォースを前に歯が立たず、必死の防衛も破られようとしている。そして再び、全宇宙の命運を賭けて、超時空ファイター、ビックバイパーが発進する[4]。 ゲーム内容以下は、原則として正式稼働したバージョンに関する記述である。 システム8方向レバーと3ボタン(パワーアップ、対空ショット、対地ミサイル)で自機(ビックバイパー)を操作し、全10ステージの変化に富む世界を舞台に戦う。2周目以降も永久に続き難易度が上昇する。 ミスした場合のリトライ方法は前作同様、全ての装備を失った上での戻り復活を採用している。 パワーアップシステムは前作と同様パワーアップカプセルを取得しパワーアップゲージを点灯させプレイヤーが任意のパワーアップを装備していく方式であるが、パワーアップゲージの項目が従来の6つから1つ増え、7つあるのが特徴。7つ目の項目はバリアを表す "?" の後ろに "!" マークで表示される。 前作までとは異なり、パワーアップカプセルを同時に2個取っても1個しか取得していないことになるほか、青カプセル(画面上の敵全滅効果)は一切出現しない。ただし青カプセルについては、パワーアップゲージ7番目の "!" に割り当てられる「メガクラッシュ」が同様の効果を担っている(後述する「エディットモード」を選択した場合は別の機能になる)。 ゲーム開始時にパワーメーターを4種類のセットの中から選択する従来の「タイプセレクト」方式の他に、パワーメーターの各項目を個別に選択して構成する「エディットモード」が追加された。なおPS2、PSP版では隠し要素としてSFC版の新装備も含めた装備(但しミサイルのホークウインドや!のフルバリアなど一部の装備は選択不可)を選択可能な特殊モード "EXTRA EDIT" が存在する。 ゲームスタート時にノーマル(テクニカル)モードとビギナーモードからプレイするモードを選択することができ、ビギナーモードでは敵の攻撃の易化やカプセルの増加、ミス時に一部装備のみ剥奪などのシステム変更がされているが、1周目3面をクリアした時点でゲームオーバーとなる。 前作から追加されたオプションを奪っていく「オプションハンター」は種類が3種類(バスター、ゲス、カーン)となり、オプションを1つでも装備していると出現する可能性がある。オプションハンターはそれぞれ移動方法が異なり、バスターとゲスは直進するがカーンは蛇行する。また、本作ではオプションハンターを一定条件で破壊できるようになっており、オプションを奪い返すことができる(バスターとカーンは「メガクラッシュ」で、ゲスは通常ショットなどで撃破できる)。 フルパワーアップ時にはショットとミサイルを発射するだけで処理落ちが発生し、プレイ中は始終処理落ちに見舞われるが、その処理落ちを利用して敵弾を回避するテクニックも存在する。開発者は「ソフト側から処理落ちを起こしている」と話している。 パワーアップ一覧パワーアップゲージは4種類のセット中から1つを選択する「タイプセレクト」と、各項目を個別に組み合わせる「エディットモード」の2種類があり、プレイヤーが選択できる。どちらか片方でしか使えない装備もある。 タイプセレクト選択できる4種類のパワーアップゲージは以下の通り。?(バリア)は4つの装備を選択後に別途選択する。
? は、以下の3種類から選択する。
エディットモードエディットモードでは以下の装備より選択する。1ゲージ目は「スピードアップ」固定。
以降は、それぞれのパワーアップについて解説する。アーケード版ではウェポンセレクト画面での「SHILED」「REPPLE LASER」「NOMAL」や、インストラクションカードでの「FLEE WAY」といった本来の英語と比較してのスペルミスが多数記載されているが、本来の名称をここには記載する。 スピードアップ 自機のスピードが1段階上昇する。今作では、やられる以外にも後述するスピードダウンによってスピードを落とすことができる。 ミサイル基本的に2WAYとCONTROL以外は2連射可能。また、1発ずつの破壊力は前2作より弱くなっており、スプレッド系以外でも標的に当たると小さい爆風のアニメーションが表示されるようになった。
ダブル各方向に撃った弾が両方(または三方)とも消滅しないと再発射できない。従来作品と同様にレーザー系装備とは排他選択であり併用はできない。
レーザーNORMAL・CYCLONE以外は2連射可能。ダブル系装備とは排他選択であり併用はできない。
オプション自機と共にショットとミサイルによる攻撃を行う。ただし、パワーアップ時はOPTIONではなくMULTIPLEと発声する。
?(バリア)どれも地形および地形判定を持つ障害物に対しては防御能力を持たない。シールド系は個々のシールドについて当たり判定が独立している。タイプセレクト・エディットモードに関係なく、デフォルトはフォースフィールドである。
!(エクストラ)
高難易度について本作では一部の敵の当たり判定が大きく、時には敵の周りにある空間に体当たりをしてミスをするといった現象が発生することもある。これはほぼ全ての敵の当たり判定が、形状(円形その他)に関係なく単純な四角形で設定されているという仕様のためである。このことはPS2版によって確認できる。 それ以外に当たり判定に関しては2面バブルアイの中に謎の当たり判定が発生する、3面ビッグコアMkIII以降ボスが撃つショートレーザーの当たり判定が前後に0.5キャラ分長い、5面中ボスであるドガスの当たり判定がずれる、10面シャドーギアで当たり判定とグラフィックが大幅にずれる、ステージクリア時画面中央やや上に謎の当たり判定が出るなど奇妙な仕様が多かった。 また、地上ハッチも破壊されるか画面外に消えるまで最大3回に分けて必ずザコの列を吐き出すため、後逸するとプレイヤーの攻撃できない位置からそのザコの弾が大量に飛んで来る。後ろから出現するザコも従来より多い。 他のシリーズ作品に比べて出現するカプセルが少なく、フル装備状態となるのは最も早い場合でも3面序盤の空中戦であり、事実上2面ボスまではバリアなしで進むこととなる。さらにミス後のリトライではカプセルを持った敵の出現がごく少数である。そのため、苛烈な攻撃の中を1速ないし0速で進行することを余儀なくされる復活ポイントが多い。2面ではリトライ時や1面での復活後ある程度装備が貧弱であれば、4つ分のカプセルになるオレンジ色の中サイズ泡が出現するという救済策があるが、道中の攻撃が激しいためあまり用をなさない。 フォースフィールドは仕様変更で耐久が6発になったが、地形に触れると耐久力にかかわらずミスとなるため、地形抜けのテクニックは使えない。同様にモアイのイオンリングや火山弾もフォースフィールドなどバリアを貫通する(正確には両者が接触するとFFなどの耐久力は減り続ける一方でリングや火山弾は無傷)。 6面の復活細胞は連射状態で破壊すると細胞が復活するタイミングが変わり、壊した瞬間に復活しミスとなることがある。10面の要塞後半の回転レーザーも連射をして通過すると回転のタイミングが変わり、通過できない形でレーザーが回転するバグが存在する。この2箇所は連射をせずに通過する必要がある。 本作ではそれまでのシリーズよりも各得点が低く設定されているため(1周ノーミスクリアで概ね57万点前後)、1000万点をゲームセンターで達成するには事実上、開店から閉店までプレイする必要がある。ランクが最高となる4周目以降まで、任意の個所で復活は困難だが可能であることが確認されている。 マイコンBASICマガジン1990年7月号の開発者インタビューにて、当ゲームの開発チームの中で、1周クリアーを達成したものは2名だけだったということが明らかになっている[要出典]。 バグ・永久パターン本作では自機が敵の攻撃を受けてもミスしなくなるバグが発見されている。これによって『ゲーメスト』のハイスコア集計は打ち切られた。また店舗によっては無敵技の使用を禁止と明示しており、明示はされていなくてもマナーを考慮する必要がある。一部のゲームセンター向けにはこれらのバグを削除したバージョンが配布され、新バージョンはコインを入れた後の画面表示が異なることで判別できる(残機増殖バグ、無敵バグ、ラスボスの弾に当たることによって突入するグラディウス面と沙羅曼蛇面は各一回ずつしか入れず、その後はラスボスが弾を出さなくなる)。後に移植されたPS2、PSP版では基本的に新バージョンを元に移植されているために削除されている。 ゲーム雑誌での集計発売後1か月に永久パターンが発見されたため、スコアではなく到達面数によって集計が続けられていたが、無敵技が発覚した1990年8月号にて『ゲーメスト』、『マイコンBASICマガジン』両誌とも集計を打ち切った。無敵技が使用できないビギナーモードでのハイスコア集計は継続したが申請者は非常に少なかった。さらにはビギナーモードで永久パターンが可能な機体が発見され、集計は終わった。 無敵技発覚前(1990年7月号)に全国1位のプレイヤーが到達した最高記録は3-5であった。 海外版本作より海外版シリーズも "NEMESIS" から "GRADIUS" に統合されたが、海外では "GRADIUS" と "GRADIUS II" は存在していないため、いきなり "III" からカウントされることになっている。サブタイトル部分はなく、またオープニングデモでは、<1985・GRADIUS>、<1986・SALAMANDER>、<1988・GRADIUS II>のイメージグラフィックがカットされ、いきなり<1989・GRADIUS III>のそれが表示されるようになっている。また日本版に存在した「ビギナーモード」はなくなり、ノーマル(テクニカル)モードのみとなるが、ミス後に復活した自機は全てのパワーアップが失われるわけではなく、ビギナーモード同様ミス毎に上位のパワーアップから順次失われる仕様になっていたり、序盤である1面でより多くカプセルが取得できる、2面で最大の泡が出現しないなど難易度の低下があったりする。 後述のアーケードアーカイブスに収録されているアジア版で、この仕様がプレイできる。
ステージ構成
クリア後は装備が受け継がれたまま2周目がスタート(本作以外のシリーズでは初期状態に戻る)し、一部ステージで地形が変更・敵から撃ち返し弾が発射されるなど、難易度がさらに上昇する。また2周目クリア以降はエンディングがカットされ、すぐに次の周回に入る。 開発1989年の秋にAMショーで出展されたのち、内容を大幅に変更したうえで正式稼働にいたった[3]。 このバージョンは後でゲームバランスを調整することを前提として作られており、前半はテンポよく進むものの、後半は正式稼働版よりも高い難易度だった[6][3]。同席していたエムツー代表の堀井直樹によると、製品版では一部のアニメーションが削除されたという[3]。一方、堀井は別のメディアとのインタビューの中で、AMショーの初日と2日目でバージョンが異なるという説を紹介しており、考えられる可能性として、初日に発覚した不具合を急遽改善したことを挙げている[7]。また、『グラディウス オリジンコレクション』のプロデューサーを務めたコナミの上野亮作は同じインタビューの中で、AMショー前にもロケーションテストが行われており、このバージョンはAMショー版とも異なる可能性があったとも説明している[7]。 『グラディウス オリジンコレクション』へのAMショー版の収録制作に際し、エムツーの東海斗がAMショー版を入れようと提言し、ROMの解析も彼が行った[3][注釈 1][7]。 さらに、開発資料に含まれていたバージョンの管理表や、『グラディウスIII&IV 復活の神話』の開発資料から出ていたオリジナルソースなどもあわせて照合し、これがAMショー版だと断言できるところまで復元した[7]。 移植版本作は複数の機種に移植されており、一部機種では条件を満たすと登場する全装備から自機の装備を選択することができる「エクストラエディット」が追加されている。
スーパーファミコン版→詳細は「グラディウスIII (スーパーファミコン)」を参照
1990年12月21日にコナミのスーパーファミコン用ソフトの第1弾として発売された。アーケード版から一部のステージの差し替え、兵装や敵キャラクターのバランス調整などが行われている。2007年9月25日よりWiiのバーチャルコンソールでも配信されている。 PlayStation 2・PlayStation Portable版2000年にPlayStation 2で『グラディウスIII&IV -復活の神話-』として『グラディウスIV -復活-』とのカップリングが発売された。一部のバグを修正しつつ、ステージ構成、BGM、グラフィック、当たり判定、処理落ち(ポーズ画面で三段階から有無を選択可)など、いずれもAC版のほぼ忠実な移植となった[12]。難易度を調整したモードや、SFC版の装備を再現したモード、コナミコマンド、ステージセレクトなど、様々な追加要素も用意されている。 その後、2006年にPlayStation PortableでグラディウスI、II、III、IV、外伝のシリーズ5作品を収録した『グラディウス ポータブル』が発売されている。PS2版の追加要素に加え、アナログスティックでの独特な操作方法の追加、自機の当たり判定サイズの設定やゲーム中のセーブ機能などが追加されている。当たり判定は難易度にかかわらずPS2版のEASY相当に統一され、オリジナルより見た目通りである一方でシャドーギアの足抜けなどは不可能になっている。 アーケードアーカイブス版2020年12月24日にアーケードアーカイブスの1タイトルとして配信。日本版(旧バージョン)、日本版(新バージョン)、アジア版を収録。基本的にアーケード版の移植となるが、アーケードアーカイブスの200週連続配信を記念した特別仕様となっており、好きなステージからゲームを開始できる「CUSTOM MODE」が追加された。また「こだわり設定」では、オリジナルで存在した各種バグの再現、処理落ちの掛かり具合、当たり判定の表示と調整といった様々な設定の変更が可能になっている。 音楽グラディウスII -GOFERの野望-から引き続きモノラル音源(基板自体がステレオ未対応)。 本作の音楽や効果音は、プロフェット深見(深見誠一)、J_KANE(兼田潤一郎)、ラ・ナカムール(中村康三)に加え、初代『グラディウス』『沙羅曼蛇』を担当したMIKI-CHANG(東野美紀)が担当した (東野は初代グラディウス・沙羅曼蛇を担当した後、一旦コナミを離れていたが、正式にコナミ復帰後の担当作第一弾がグラディウスIIIとなった)。 1990年2月に発売された本作のサウンドトラック『グラディウスIII』はその年のオリコンでゲームミュージックCDとしては初めてランクイン(最高順位26位)し、前述のゲーメスト大賞でもベストVGM賞1位やベストアルバム賞2位を受賞するなど、音楽面での評価が高かった。
スタッフ
評価
発売後は難易度が前作と比較して極端に高くなっていたこと(一部の敵の当たり判定が大きいことや、エディットモードの武装に使いづらいものが多いこと、序盤3面までのカプセルの数が少ないことなどが当時のゲーム雑誌で挙げられている)や、各種バグが発見されたこと、総じてプレイ時間が長いことなどから、前作ほどの人気は獲得できなかった[15]。 とはいえ、難しいが故に挑戦を続けるプレイヤーもまた存在するなど、マニアの間では「魅力を見出されている」タイトルでもある[16]。なお、レベルの高いプレイヤーの間では「後半のステージ構成」は高く評価され、『ゲーメスト』誌上で行われた「第4回ゲーメスト大賞」では大賞3位、ベストインカム賞10位、プレイヤー人気4位、ベストシューティング賞3位、ベストグラフィック賞4位、ベストVGM賞1位を受賞した。また、年間ヒットゲームでは6位にランクインした。なお、発売から1周クリアする人が出るまでに1か月ほどかかったという[15]。 また、1991年にそれまで発売されていたアーケードゲーム全てを対象に行われた『ゲーメスト』読者の人気投票によるゲーメストムック『ザ・ベストゲーム』では20位を獲得した[15]。 脚注注釈出典
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