グディニャ・トロリーバス
グディニャ・トロリーバス(ポーランド語: Trolejbusy w Gdyni)は、ポーランドの都市・グディニャと近隣のソポトに路線網を有するトロリーバス。ポーランドに3箇所現存するトロリーバス路線の1つで、2022年現在はグディニャ市交通局(Zarząd Komunikacji Miejskiej w Gdyni、ZKM)が施設・車両を所有し、グディニャトロリーバス公共事業会社、通称「PKTグディニャ」(Przedsiębiorstwo Komunikacji Trolejbusowej Sp. z o.o. w Gdyni、PKT Sp. z.o.o. w Gdyni)が運営を行っている[1][2][4]。 歴史グディニャ市内にトロリーバスが開通したのは、第二次世界大戦中のナチス・ドイツ占領下の時代、1943年9月18日であった。当時、都市内では公共交通機関の輸送需要が高まっていたが、当時の公共交通機関の主力であった路線バスの燃料事情は悪化しており、当時の運営組織によりトロリーバスの導入が決定された経緯を持つ。最初に開通した路線である201号線は鉄道駅と市役所を結ぶ路線で、開通に合わせてドイツ・ヘンシェル製の車両が導入されたほか、ナチス・ドイツが占領した各都市の車両も随時導入された[注釈 1]。だが、戦闘の激化により1945年3月に運行は休止され、車両や施設がバリケードとして使われるなどした結果、ポーランド解放後は路線バスと共に荒廃した状態となった[3][5][6]。 営業運転を再開したのは終戦の翌年、1946年3月19日となり、路線網はその直後から延伸が進められた。特に1947年には車両数の増加や変電所の整備に伴い近隣都市のソポト市内への路線の延長が実現した。その後も拡張が続き、1964年時点で当時のポーランド最大のトロリーバス路線網が築かれた一方、道路工事の影響による深夜系統の運行停止や区間変更も行われている。車両についても戦時中の車両の整備に加え、他都市からの譲渡やフランス製の新型車両の導入が実施され、旧型車両が置き換えられた。また1958年からはチェコスロバキア(現:チェコ)のシュコダ製の車両の導入が実施された[7][8]。 1970年代以降、ポーランド各地でトロリーバスを路線バスに置き換える動きが相次ぎ、グディニャ市内のトロリーバスも多くの区間が廃止され、一時は3系統を残すのみとなった。また、国策によりシュコダからの新型車両の導入も停止され、1976年には当時の運営組織であったグダニスク州運営会社(Wojewódzkie Przedsiębiorstwo Komunikacyjne w Gdańsku、WPK)によりトロリーバスの全面廃止の意向が示された。だが、石油危機に伴うエネルギー情勢の変化や環境問題の観点からその計画は実現しなかった。一方、老朽化と輸送力不足が課題となっていた車両については、当初路線バス用車両の車体にトロリーバスの機器を組み合わせた新型車両の導入が検討されていたが、国の意向によりソビエト連邦(ソ連)製の車両を導入する事となった。しかし、車両導入の計画に遅れが生じ、更に既存のシュコダ製車両の予備部品の供給もままならない状況に陥った事から、1980年以降路線バス車両を改造する形でのトロリーバス車両の製造がグディニャの車両基地で実施されている[9][10]。 これらの車両増備の結果、グディニャやソポト市内のトロリーバス路線は1979年以降順次復活を始め、1980年代以降は新規路線の増設も進められた。車両についても、早期に老朽化が進んだソ連製車両に代わる形で、ハンガリー・イカルス製の連節バスが導入された[11]。 その後、1989年にグダニスク州運営会社は地方自治体ごとに分割され、グディニャ市内の公共交通機関はグディニャ地方交通会社(Miejskie Przedsiębiorstwo Komunikacyjne、MPK)が運営を担当する事となり、翌1990年には国営企業から市営企業(Miejski Zakład Komunikacyjny、MZK)と移管された。だが、ビロード革命に端を発する経済の変革により運営組織は財政難に見舞われ、その解決策として企業の再編が実施されることとなった。その結果、1998年以降グディニャおよびソポトのトロリーバスの運営はPKTグディニャが行う形となっている[2][11][12]。 それ以降、PKTグディニャは施設の改修、路線網の延伸などを実施していたが、それらの動きが本格的となったのはポーランドの欧州連合加盟後、助成金を用いたグディニャ市主導のトロリーバスの近代化・拡張プロジェクトが始動した2004年以降となった。これに伴い多数の新規系統が開通したほか、新規の車庫の建設、そして後述するノンステップバスの増備といった近代化が積極的に進められている[13][14]。 車両については、バリアフリーの意識の高まりに合わせて1999年に試作ノンステップバスが製造された後、2001年以降はソラリス製のノンステップトロリーバスであるトロリーノの導入が進められている[注釈 2]。その一方、後述の通りディーゼルバスを改造したノンステップバスも増備されている[15][16]。 系統2022年の時点でグディニャおよびソポト市内で運行しているトロリーバスの系統は以下の通りである[1]。
車両営業用車両2022年時点でグディニャ・トロリーバスに在籍する営業用車両の形式は以下の通り。全車両ともノンステップバスに統一されており、新造車両と並行して導入費用を削減するため路線バス(ディーゼルバス)を改造した車両も導入されている[38][39][16][40]。
動態保存車両2022年現在、グディニャ・トロリーバスには以下の4両の動態保存車両が在籍しており、日曜日及び祝日に326号線で営業運転を行っている[9][39][50][51]。
過去の車両脚注出典
参考資料
外部リンク
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