カキノキ属
カキノキ属(カキノキぞく、学名: Diospyros)は、カキノキ科の属の一つである。落葉広葉高木樹、常緑広葉高木樹、低木樹、草本となる種があり、その種の数は700種以上にもなる。大半の種は熱帯地方を原産地とするが、温帯地帯を生育地とするものもある。カキノキ属の樹木には、硬く重量がある黒色の木材(黒檀)として、または、果樹として(カキノキなど)利用されるものがある。一部は観賞植物として利用されている。 分類Diospyros の名は、古代ギリシャの言葉「Dios」(διός) と「pyros」(πυρος) に由来する。文字通りの意味は、「ゼウスの小麦」であるが、「聖なる果実」または「神聖な食品」も意味する[2][3]。Diospyrosの名前は、マメガキ(Diospyros lotus)に対して命名された。 カキノキ属は大きな属であり、推定された種の数は資料によりさまざまである。キューガーデンのリストには、シノニムなどを含めて1000種以上が含まれているが、実際は700種以上であると考えられている[4]。 花の形態雌雄異株または雌雄同株であり、新枝の葉腋に単生する。雄花は集散花序をつくることがある。がくは3 - 7裂し、毛があり、雌花では花後やや大きくなって離脱せずに残る。花冠は先が3 - 7裂し、裂片は包旋状に並ぶ。雄花の雄ずいは通常8 - 16個で花序筒の基部につく。花糸は葯より短い。雌花の雄ずいは退化している。子房は、円錐形または球形であり、花柱は1 - 4個で下部で合生する。子房の室は、花柱の倍数で胚珠が各室に1個ずつか、花柱と同数で胚珠が各室に2個である[5]。 生態系カキノキ属の樹木は、ハワイのマウイ・ヌイの低地の乾燥した森林地帯[6]、 カスピ海のヒルカニアン混成林、Kathiarbar-Girの乾燥した落葉林、ルイジアード諸島の熱帯雨林、マダガスカルの低地林 、ニューギニアのマングローブ林、インドのナルマダ谷の乾燥した落葉広葉樹林、西ガーツ山脈南部にある熱帯雨林などの生態系において重要な樹木である。未熟の果実には、豊富なタンニンを含み、これによりほとんどの草食動物が食べられる事を防いでいるが、熟したときは、アダースダイカー(Cephalophus adersi)などの多くの動物によって食べられる。 病害虫カキノキ属の葉は以下に示すようなチョウ目の幼虫の食料となっている。
Diospyros hispida、カキ (Diospyros kaki)、マメガキ (Diospyros lotus)、Diospyros texana、ボンベイコクタン(Diospyros melanoxylon)などの多くのカキノキ属に感染するsac fungus、 Pseudocercospora kaki は、褐斑病の原因菌であり、経済的な被害を及ぼす。 利用カキノキ属には、食用の果実(カキ)またはその木材(黒檀)として商業的に重要な種が数種類ある。木材としては、本黒檀(Diospyros ebenumなど)、縞黒檀(striped ebony)、カラマンダー材(Calamander wood)(Diospyros celebica、 Diospyros munなど)がある。 ボンベイコクタンの葉は、南アジアのビーディーとよばれるタバコの包み紙に使用される。いくつかの種は医薬品の原料として使用され、Diospyros leucomelasは、汎用性の高い医療化合物であるベツリン酸が得られる。ハチは、花粉を媒介する昆虫として中心的な役割ではないが、プランテーションでは、カキノキ属の植物は、蜜の源となる植物であることもある。 マクルア(Diospyros mollis)はベトナムのタンチャウ(Tân Châu / 新洲)にて、有名な黒色の絹織物(lãnh Mỹ A)の染料に使われる。 カキノキ属の木は、紋章としても多く使用されている。インドネシアでは、Diospyros celebicaは、中部スラウェシ州の、Diospyros macrophyllaは、西ヌサ・トゥンガラ州の木である。ヤエヤマコクタン(Diospyros ferrea)は、沖縄県石垣市の花である。タイ王国では、カバイロクロガキ(Diospyros decandra)は、チャンタブリー県とナコーンパトム県の木である。インドガキ(Diospyros malabarica)は、アーントーン県の花である。 カキノキ属の植物の抽出物は、新しい抗ウイルス治療として提案されている[7]。 ケガキ(Diospyros discolor)の葉には、イソアルボリノールメチルエーテル(シリンドリン) および脂肪酸エステルであるα- およびβ-アミリンが含まれている[8]。イソアルボリノールメチルエーテルとアミリン混合物は、大腸菌(Escherichia coli)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、カンジダ菌(Candida albicans)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、白癬菌(Trichophyton mentagrophytes)に対する抗菌活性を示した[8]。抗炎症と鎮痛作用の特性は、アミリン混合物を分離することで示されている[8]。 主な種A
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画像
脚注
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