オジョケラトプス
オジョケラトプス (Ojoceratops) は、ニューメキシコ州サンフアンの中生界上部白亜系マーストリヒチアン階の中のより古い地層から発見されたケラトプス類に分類される恐竜で、角張った鱗状骨によって特徴づけられる。断片的な化石のみで知られるが、推定全長は9mと最大の角竜として有名なトリケラトプスに匹敵する。オホケラトプス とも呼ばれる。 現在のところ唯一のオホアラモ累層産のケラトプス類である。エオトリケラトプスやトリケラトプス、ネドケラトプス、トロサウルス・ラトゥスよりも古く、トロサウルス・ユタエンシスと同時代に生息した。[1] オジョケラトプスはトリケラトプスと極めて近縁だが、より四角形に近いフリルによって区別される[2]。 しかしトリケラトプスにおいてもそのようなフリルをもつ個体はいたとし、オジョケラトプスはトリケラトプスのシノニムであるとする説(ロングリッチ,2010)[3]や、エオトリケラトプスのシノニムでありトリケラトプスの祖先にあたるとする説もある(ホルツ,2010)[4]。 発見と種約100年前、バーナム・ブラウンはニューメキシコ州サンフアンの白亜紀後期の地層からとしては初のケラトプス類の化石を簡潔に報告した。その標本は収集されなかった深い血管溝のある薄い鱗状骨や小さく滑らかな上眼窩角を含んでいたと述べられている。この標本は、カートランド層の上部(伝統的には上部頁岩と呼ばれる)とオホアラモ層(旧オホアラモ砂岩)の両方の堆積物を含むことが知られているサイトから出土したものであるが、正確な層序は不明である。 上眼窩角の骨芯(AMNH 5798)が薄茶褐色を示していることから、この標本は層序的に上位のデナジン部層(カートランド層上部)やその上のオホアラモ層ではなく、カートランド層下部かフルーツランド層上部から産出したものであることが示唆される。 ギルモアはその後、同じ地域のケラトプス類の化石を報告している。 その中には、オホアラモ層産の4種類の標本が含まれていた。1つはフリル断片、2つ目は深い放射状の血管印象を持つフリル断片、3つ目は類似した断片、4つ目は単離歯であった。リチャード・スワン・ルル は後にこれらの標本(および他の2つの標本)をスミソニアンの国立自然史博物館コレクションの未カタログ化標本として引用しているが、この未カタログ化標本はいずれも現在スミソニアンに所蔵されておらず、その所在は不明である。 これらの標本はすべてオホアラモ層の基部にある下部礫岩の上部層から発掘されたと報告されているが、3番目の標本を除いて層序的な位置が明確ではない。 その後の論文では、ギルモアがオホアラモ層のケラトプス類の断片的な化石(ダーモスープラオッシピタル)を指摘している。 彼はこれをトリケラトプス、ケラトプス、モノクロニウスと比較して、「断片的なフリルで、開口部が上記のいずれの属よりも明らかに小さい」と解釈した。 おそらくこれは未記載の属である」と論じている。 残念ながら、この標本の行方も不明である。その後50年以上にわたって、オホアラモ層からは新たなケラトプス類は採集されなかった。 2010年になって、オホアラモ累層ナーショイビト部層からほぼ完全な鱗状骨、歯骨、肩甲骨などを含むケラトプスの頭骨化石がサリヴァンとルーカスによって報告され、鱗状骨SMP VP-1865をホロタイプとしてオジョケラトプス・フォウレリと命名された。属名は「オホアラモの角の顔」を意味し、種小名はデンヴァー・ファウラー Denver Fowler への献名である。 オジョケラトプスの固有派生形質とされている特徴は角張った鱗状骨である。化石はいずれも断片的であるが、これまでに発見されたオジョケラトプスの標本はほぼオジョケラトプス・フォウレリに属するものと結論づけられた。 オジョケラトプスのような角張った鱗状骨を有するケラトプス類は非常に珍しいが、他の地域から発見されたトリケラトプス・ホリドゥスと同定されている鱗状骨でも同様の特徴がみられるため、ロングリッチ(2014)は本種をトリケラトプス・ホリドゥスのジュニアシノニム、あるいは本属をトリケラトプスのジュニアシノニムと見做されると指摘している[3]。 他の特徴はトリケラトプスより基盤的とされているが、ホロタイプが鱗状骨のみであり、オジョケラトプスであると確定できない標本がほとんどである。 ナーショイビト部層から報告されたケラトプス類の鱗状骨の中にはトロサウルス・ユタヘンシスとされたもの(NMMNH P-22884)が存在する。ルーカスらはこれもオジョケラトプスに含めたが、オジョケラトプス・フォウレリのホロタイプよりもむしろトロサウルス・ユタヘンシスに近い形質であり、ロングリッチ(2014)はオジョケラトプスのホロタイプと同形の鱗状骨を含まないものについてオジョケラトプスと同定することは困難であるとしている[3]。 動物相ナーショイビト部層の地質年代はランシアンよりやや古いものと思われる。オジョケラトプスはティタノサウルス類のアラモサウルス、未命名のティラノサウルス科、オジョラプトルサウルス、グリプトドントペルタ、ジアペルタ、ナーショイビトサウルスなどと共存していた[5]。 分類スコット・サンプソンらによる系統解析(2010)で、オジョケラトプスはエオトリケラトプス、トロサウルス、トリケラトプスとともにトリケラトプス族を構成するとされた。ロングリッチによる2014年の系統解析ではトリケラトプス・ホリドゥスとトリケラトプス・プロルススの中間に位置する姉妹群とされた。オジョケラトプスは初期のトリケラトプス、あるいはトリケラトプス・ホリドゥスの祖先である可能性がある。またトリケラトプスの南方起源説を強化するものでもある。 以下のクラドグラムは2015年のカレブ・ブラウンとドナルド・アンダーソンに基づく[6][7]。 系統
脚注
参考文献
関連項目 |
Portal di Ensiklopedia Dunia