イーピメデイアイーピメデイア(古希: Ἰφιμέδεια, Īphimedeia)あるいはイーピメデー(古希: Ἰφιμέδη, Īphimedē[1])は、ギリシア神話の女性である。長音を省略してイピメデイア、イピメデとも表記される。 トリオプスの娘で[2]、アローエウスと結婚し、アローアダイとして知られる双子の巨人オートスとエピアルテース[2][3][4][5][6][7]、娘パンクラティスの母となった[8]。ただしホメーロスの叙事詩『オデュッセイアー』をはじめ多くの文献は、アローアダイをイーピメデイアとポセイドーンの子としている[2][3][4][6]。 神話アポロドーロスによると、イーピメデイアはポセイドーンに恋をしたと伝えられている。彼女は毎日のように海に通い、海水をすくっては身体に注いだ。そこでポセイドーンはイーピメディアと交わり、オートス、エピアルテースが生まれた[2]。 生まれた子供たちは驚くべき速さで成長し、9歳の頃には肩幅4.2メートル、身の丈16メートルまで成長した[2][3]。その姿はオーリーオーンには劣るものの、それ以外では人間のうちで最も大きく美しかった[3]。またアローアダイは恐るべき怪力の持主だったが、成人にならないうちにオリュムポスの神々に戦いを挑んだために破滅した[2][3][6]。 シケリアのディオドーロスによると、イーピメデイアはパンクラティスとともにナクソス島のトラーキア人に攫われた。そしてパンクラティスはナクソス島の王アガッサメノスと[8]、イーピメデイアは王の友人と結婚させられた[9]。アローエウスの命で母と妹を捜索していた息子たちは2人をナクソス島で発見し、武力でトラーキア人を降伏させたが[7]、パンクラティスは命を落とした。最終的に彼らは島に留まってトラーキア人を支配したが、やがて息子たちは対立し、戦争で戦って相討ちとなった[10]。 なお、ホメーロスは『オデュッセイアー』の中で名高い女たちの1人として、テューロー、アンティオペー、アルクメーネー、メガラー、エピカステー、クローリス、レーダー、パンドーラー、プロクリス、アリアドネー、マイラ、クリュメネー、エリピューレーとともに、イーピメデイアの名前を挙げている[3]。彼女たちは死後、オデュッセウスが冥府を訪れた際に、ペルセポネーに促されて現れた女性たちであった[11]。 系図
脚注
参考文献 |