ピンクの品種。インド・プネー で撮影
インドソケイ (インド素馨 、Plumeria rubra )はインドソケイ属 に属する落葉樹 である[ 2] 。属名からプルメリア とも呼ばれる。原産地は中米であるが、亜熱帯・熱帯で広く栽培 されている。樹高・樹幅ともに7–8 m程度になり、夏から秋にかけて白い芳香のある花をつける。
分類
1753年、カール・フォン・リンネ によりSpecies Plantarum の中で記載 された。種小名は、ラテン語で"赤"を意味する"ruber"に由来する。acuminata ・acutifolia ・lutea という種小名も使われるが、現在では無効とされる。
名称
オーストラリアでは 'frangipani' と呼ばれるが、米国では属名の 'plumeria' が用いられる。'red frangipani', 'common frangipani', 'temple tree' という別称もある。ハワイでは melia と呼ばれる[ 3] 。'frangipani' は、この花の香りのする香水を発明した、16世紀のイタリア の侯爵 に由来する。インド南部・西部では champa ・chaaphaa ・champige などと呼ばれる。カンボジアでは châmpéi krahâ:m (krahom は "赤"を意味する)・châmpéi slük sruëch 、またはフランス語に由来する frangipanier à fleurs rouges と呼ばれる[ 4] 。
形態
樹高2–8 m、幅も同じくらいに成長する低木である。多肉質 の茎・太く短い枝を持ち、樹皮は灰色。枝はやや脆く、折れた断面からは、皮膚を刺激する白い樹液が滲み出す。葉は長さ30-50 cmに達し、枝の先端に互生し、冬には落葉する。花は夏に咲き、頂生する。花弁は5枚で白、中心はピンクから黄色に染まる。非常に強い芳香がある[ 2] [ 5] 。蕾はらせん状で、花の直径は 5-7.5 cm。ごく稀に、17.5 cm程度の莢に包まれた20-60個の翼果をつける[ 3] 。
分布
メキシコ・中米・南米北部に自然分布する。熱帯域で広く栽培され、インドでは一部が野生化しているとみられる[ 1] 。
栽培
さび病に冒された葉。 Photo by Sam Fraser-Smith
全世界の熱帯・亜熱帯域で栽培される。例えば、オーストラリアではシドニー ・パース や、暖かく霜の降りない北部で広く栽培される[ 6] 。米国では、USDA Hardiness zones[ 7] が10B以上の場所でのみ生育でき、これは本土ではカリフォルニア・フロリダの南端のみである[ 5] 。ハワイでは標高2000 mでも生育する[ 3] 。土壌は特に選ばず、酸性でも塩基性でも、砂質でも粘土質でも生育できる[ 5] 。苗が利用できるほか、冬季に採取し、乾燥させた枝を用いた挿し木によっても殖やすことができる[ 6] 。庭園・街路・公園のほか、寺院や墓地にも植えられる[ 3] 。
Plumeria obtusa との交雑種も栽培される。これは葉が丸みを帯びており、落葉性が低い[ 3] 。ハワイでは、花の中心が黄色い栽培品種、"Singapore" が通年栽培される[ 8] 。ハワイでは重要な花卉であり、2005年には1400万本を超える花がレイ (装飾品の一種)として用いられた[ 9] 。
カンボジアでは他のインドソケイ属 の種とともに、供え物として用いる。葉は傷の治療に用いたり、鎮静効果のある煎じ薬として用いる[ 4] 。
さび病菌 の一種 Coleosporium plumeriae が若葉に感染し、"plumeria rust","frangipani rust" と呼ばれるさび病を引き起こす。これはハワイ・オーストラリアから報告されており、感染した葉には、茶-橙の粉状の斑点・膜が形成される。[ 3] [ 10] 。これは1902年、フランスの菌類学者ナルシス・テオフィル・パトゥイラール (Narcisse Théophile Patouillard)によってグアドループ で発見されたもので、2005年には台湾でも発生している[ 11] 。
脚注
^ a b “Plumeria rubra ”. Germplasm Resources Information Network . United States Department of Agriculture . 2012年10月30日 閲覧。
^ a b "Botanica. The Illustrated AZ of over 10000 garden plants and how to cultivate them", p. 691. Könemann, 2004. ISBN 3-8331-1253-0
^ a b c d e f Criley, Richard A (February 1998). “Ornamentals and Flowers OF-24: Plumeria ”. Cooperative Extension Service, C/T/A/H/R . Department of Horticulture, College of Tropical Agriculture & Human Resources, University of hawaii at Manoa. 31 January 2010 閲覧。
^ a b Dy Phon Pauline, 2000, Plants Used In Cambodia , printed by Imprimerie Olympic, Phnom Penh
^ a b c Gilman, Edward F.; Watson, Dennis G. (October 1994). “Fact Sheet ST-491 Plumeria rubra Frangipani ”. Environmental Horticulture website . Gainesville, FL: University of Florida. 31 January 2010 閲覧。
^ a b Campbell, Colin (June 3, 2006). “Fact Sheet: Frangipani ”. Gardening Australia Website . Australian Broadcasting Corporation. 31 January 2010 閲覧。
^ “USDA plant hardiness zones ”. 2012年10月31日 閲覧。
^ Scott, Susan (1991). Plants and Animals of Hawaii . Bess Press. p. 65. ISBN 0-935848-93-2 . https://books.google.co.jp/books?id=6MvFZ1P71GQC&pg=PA65&lpg=PA65&dq=Hawaii+plumeria+%22all+year%22&source=bl&ots=uFSO0_0sxD&sig=ir2wQUciu5Py9bKoQ-K9-PeTYYE&hl=en&ei=r2xrS4CUFoT2sQOCpOilAw&sa=X&oi=book_result&ct=result&redir_esc=y#v=onepage&q=Hawaii%20plumeria%20%22all%20year%22&f=false 5 February 2010 閲覧。
^ PLUMERIA RUBRA: AN OLD ORNAMENTAL, A NEW CROP
^ Burke, Don (2001年). “Weeds and Garden Pests: Frangipani Rust ”. Burke's Backyard website . Sydney, Australia: CTC Productions. 4 February 2010 閲覧。
^ “The first report of Plumeria (Frangipani) rust disease caused by Coleosporium plumeriae in Taiwan ”. 2012年11月1日 閲覧。
関連項目
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