アカニ・シンビネ
アカニ・シンビネ(Akani Simbine、1993年9月21日 ‐ )は、南アフリカ・ケンプトン・パーク出身の陸上競技選手。専門は短距離走。100mで9秒82(南アフリカ記録)、200mで19秒95の自己ベストを持つ。2016年リオデジャネイロオリンピック男子100mのファイナリスト(5位)である。 経歴2012年までサッカーと陸上競技の両方に取り組み、サッカーでは右ウイングを務めていた[2]。しかし、2012年12月11日にルサカで開催されたZone VI U20 Gamesの男子100mで10秒19(+1.3)のU20南アフリカ記録(当時)を樹立し[注 1]、これを機に陸上競技に専念することを決めた[4]。 2013年8月のモスクワ世界選手権男子100mでシニアの世界大会デビューを果たしたが、10秒38(-0.3)の組7着で予選敗退に終わった。この時にジャマイカのヨハン・ブレークから「細いから筋肉をつけたほうがいい」とアドバイスを貰ったという[4]。 2014年4月12日にプレトリアで開催された南アフリカ選手権男子100m決勝で10秒02(+1.4)をマーク。この記録は従来の南アフリカ記録(当時10秒06)を上回るタイムだったが、このレースでサイモン・マガクウェが南アフリカ人初の9秒台となる9秒98をマークしたため、南アフリカ歴代2位(当時)の記録となった[5]。 2015年7月1日にヴェレニエで開催されたEuropean Athletics Classics Meeting男子100mで9秒99(-0.2)の自己ベスト(当時)をマークし、10秒の壁を突破した史上2人目の南アフリカ人となった[6]。 同月の光州ユニバーシアードに出場すると、男子100mは準決勝で10秒00(+0.3)の大会記録を樹立し、1987年ザグレブ大会でリー・マクレーがマークした10秒07を塗り替えると、決勝では準決勝の記録を更に縮める9秒97(0.0)の南アフリカタイ記録(当時)を樹立して金メダルを獲得した[注 2][7]。学生の世界大会とはいえ、世界チャンピオンに輝いたことは大きな自信になったという[4]。男子4×100mリレーではアンカーを務め、39秒68をマークしての銅メダル獲得に貢献した。 8月の北京世界選手権に出場すると、2013年モスクワ大会に続いて出場した男子100mは予選を10秒09(-0.1)で突破し、シニアの世界大会で初のセミファイナリストになったが、準決勝は10秒02(+0.9)の組4着(全体11位)で敗退した[8]。男子200mも予選を20秒23(-0.4)の自己ベスト(当時)で突破してセミファイナリストになったが、準決勝は20秒37(+0.4)の組6着で敗退[9]。男子4×100mリレーは予選でアンカーを務めたが、1-2走間でバトンが渡らず途中棄権に終わった[10]。 2016年3月8日にプレトリアで開催された南アフリカ陸上競技連盟Night Series Meeting男子100mで9秒96(+0.4)の南アフリカ記録(当時)を樹立。ヘンリコ・ブルンジースと保持していた従来の記録(9秒97)を塗り替え、単独での南アフリカ記録保持者となった[11]。 6月には苦手なスタートを改善するためにジャマイカでのトレーニングキャンプに参加し、ウサイン・ボルトのコーチであるグレン・ミルズからアドバイスを受けた[4]。 7月18日にセーケシュフェヘールヴァールで開催されたジュライ・イシュトヴァーン記念(Gyulai István Memorial)に出場すると、男子100mでアフリカ歴代3位タイの記録となる9秒89(+1.9)をマーク[注 3]。自身の持つ南アフリカ記録を0秒07更新し、公認記録で9秒8台をマークした史上初の南アフリカ人となった[注 4]。男子100mから約1時間30分後に行われた男子200mでも自己ベストを0秒07更新する20秒16(+0.7)をマークし、両種目で優勝を果たした[12]。 8月のリオデジャネイロオリンピック男子100mに出場すると、13日の予選を10秒14(-1.3)、14日の準決勝は9秒98(+0.2)で突破し、この種目での南アフリカ人としては、1932年ロサンゼルスオリンピックで5位に入ったDanie Joubert以来、82年ぶりにファイナリストとなった。準決勝から約1時間30分後に行われた決勝では、準決勝のタイムを更に縮める9秒94(+0.2)をマークして5位に入った[13][14]。 2017年3月4日にプレトリアで開催されたGauteng North league meeting男子100mで9秒93(+2.0)をマークすると、その2時間後に行われた男子200mでは南アフリカ歴代3位(当時)の記録となる19秒95(+1.7)をマーク[注 5][15][16]。20秒の壁を破った史上3人目の南アフリカ人[注 6]、10秒の壁と20秒の壁を破った史上2人目の南アフリカ人となった[注 7][17]。 8月のロンドン世界選手権男子100m予選には今季世界ランク3位(9秒92)で臨んだが[18]、着順で予選を突破できる組3着以内には入れず、タイムで拾われての突破となった。しかし、準決勝では10秒05(-0.5)で組1着(全体5位)に入り、予選の10秒15(0.0)からタイムを縮めて決勝に進出。この種目では南アフリカ勢初のファイナリスト(女子も含め)となった決勝では[19]、更にタイムを縮める10秒01(-0.8)をマークしたが5位に終わった[20]。今季世界ランク5位(19秒95・出場選手の中では3位)で臨んだ男子200mは[21]、腰を痛めての出場ながら予選を突破したものの[22]、準決勝は20秒62(+2.1)の組7着で敗退した[23]。 2018年4月の英連邦競技大会(コモンウェルスゲームズ)では男子100m決勝を10秒03(+0.8)で制し、この種目で南アフリカ人初となる優勝(女子も含め)を成し遂げた[24]。アンカーを務めた4×100mリレーは優勝したイングランドに0秒11及ばなかったものの順位を4位から2位に押し上げ[25]、38秒24の南アフリカ新記録を樹立しての銀メダル獲得に貢献した[26]。 2021年2021年7月6日、ハンガリーセーケシュフェヘールヴァールで行われた競技会でアフリカ新記録(当時)となる9.84(+1.2)をマークし、自己ベストを更新した。(この記録はケニアのファーディナンド・オムルワによって破られた。) 人物ヒーローはジャマイカ人スプリンターのアサファ・パウエル[27]。 自己ベスト記録欄の( )内の数字は風速(m/s)で、+は追い風、-は向かい風を意味する。
主要大会成績備考欄の記録は当時のもの
ダイヤモンドリーグダイヤモンドリーグの総合成績を記載。獲得ポイント欄の( )内は出場したポイント対象レースの数を意味する。
優勝したダイヤモンドリーグの大会を記載(個人種目のみ)。金色の背景はポイント対象レースを意味する。
脚注注釈
出典
外部リンク
|
Portal di Ensiklopedia Dunia