Windows Presentation FoundationWindows Presentation Foundation (WPF) はマイクロソフトが開発した、.NET Framework 3.0以降に含まれるユーザインタフェースサブシステムである。開発時のコードネームはAvalonであった[1][2]。 概要WPFは、ユーザインタフェースとロジックを明確に区別する一貫したプログラミングモデルを提供する。 WPFアプリケーションはデスクトップで実行するだけでなくウェブブラウザ上で配置・実行することもできる(ただし類似技術のSilverlightとは違い、Windowsのみがターゲット環境となる)。 WPFによって、ユーザインタフェース、2Dおよび3Dオブジェクトの描画、ベクトルグラフィックス、ラスターグラフィックス、アニメーション、音声および動画の再生などといった表現手法を統一的に利用することができる。WPF以前のWindowsアプリケーション開発では、それらを実現するためにはGDI/GDI+、DirectX Graphics (Direct3D他)、DirectX Audio (DirectSound他)[3][4]、WindowsマルチメディアAPI、DirectShowといった個別のWindows APIを使って実装しなければならなかった。 .NET Framework 3.0はWindows Vistaにプリインストールされており、Windows XP SP2およびWindows Server 2003でも利用できる。また、Windows 7には.NET Framework 3.5 SP1がプリインストールされている。WPFのバージョン番号は、それが含まれる.NET Frameworkのバージョンと同列に扱われることが多い。例えば.NET 3.0上で動作するものはWPF 3.0、.NET 3.5/3.5 SP1で機能拡張されたものはWPF 3.5、そして.NET 4で機能拡張されたものはWPF 4といった具合である。 なお、Windows 8には.NET 4.5が、Windows 8.1には.NET 4.5.1が、Windows 10には.NET 4.6が、そしてWindows 11には.NET 4.8がプリインストールされており、WPF 4.5以降を標準的に利用できるが、逆に.NET 3.5以前のコンポーネントは標準で有効になっていないため、WPF 3.0/3.5アプリケーションを動作させるためには明示的なインストールが必要である[5]。 特徴次に示すのはWPFの特徴の一部である。 グラフィックス全てのグラフィックスはDirect3Dを介して描画される。 また、可能であればGPUによるハードウェアアクセラレーションが使用される。 これにより、高速かつ高度なグラフィックを統一されたインタフェースで実現・利用することができる。
Rendering TierWPFではグラフィックスハードウェア(グラフィックスカード/グラフィックスチップ)のDirectX (Direct3D) 対応レベルに応じて、GPUアクセラレーションの有無が決定される。 WPF 3.5までは下記のようになっている[9]。
一方、WPF 4以降は下記のように変更されている[10]。
印刷WPFは標準でXPSフォーマット (XPS API) をサポートし、画面に表示されている 配置WPFは通常のスタンドアローンアプリケーションだけでなく、XAMLブラウザアプリケーション (XBAP) として配置することもできる。
相互運用性
なお、WPFのUI上に配置されたWin32あるいはWindows FormsによるレガシーなUIコントロールの描画に対しては、GPUアクセラレーションが効かない(GDI/GDI+によって描画される)ので注意が必要である。 マルチメディア
データバインディングWPFは次に示す3種類のデータバインディングをサポートする。
ユーザインタフェース (UI)WPFのUIはXAMLと呼ばれるXMLベースのマークアップ言語で記述され、対応するイベントハンドラなどをC#あるいはVB.NETなどの.NET系言語で記述することになる(コードビハインド)。これはWPFの強力な利点のひとつであり、ロジックとインターフェイスを完全に切り離すことができる。
なお、XAMLを使わずにC#、VB.NET、C++/CLIなどの.NET言語を使い、UIをコードベースで組み立てていくことも可能ではあるが、IDE搭載のXAMLエディターおよびXAMLデザイナーを利用してXAMLベースでUIを記述するほうが直感かつ効率的に階層構造を構築できる。 入力WPFはマウスおよびキーボード入力をサポートするほか、 類似技術XAMLファミリーとして、いくつかのWPF類似技術がマイクロソフトによって開発されている。 SilverlightSilverlightはマイクロソフトによってAdobe Flashの競合技術として開発された。Silverlightは主にブラウザ上での実行を想定しているのに対し、WPFはよりクライアントPC環境に密着したスタンドアローン向け技術である。また、Silverlightで使用される.NET Frameworkは基本的に.NET Compact Frameworkのような機能制限付きサブセットであるが、WPFで使用される.NET FrameworkはWindows PC環境向けのフルセットである点も異なる。 WindowsストアアプリWindows 8/Windows RTにおいて導入されたWindowsストアアプリ(WinRTアプリ、Modern UIアプリケーション)はWPF同様XAMLによってユーザインタフェース要素を記述し、WPFに類似したプログラミングモデルを提供する。C#やVB.NETといったマネージ言語だけでなく、ネイティブ言語(C++)からも利用できることが特徴である。Windows 10においてWindowsストアアプリの後継として導入された、ユニバーサルWindowsプラットフォーム (Universal Windows Platform, UWP) アプリケーションも基本は同様である。 関連項目
脚注
外部リンク |
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