N-MycN-Mycは、ヒトではMYCN遺伝子にコードされるタンパク質である。bHLHe37(class E basic helix-loop-helix protein 37)としても知られる。 機能MYCN遺伝子はMYCファミリーの一員であり、塩基性ヘリックスループヘリックス(bHLH)ドメインを持つ転写因子をコードする。このタンパク質は細胞核に位置し、DNAへの結合には他のbHLHタンパク質との二量体化が必要である[5]。N-Mycは胎児の脳で高度に発現しており、脳の正常な発生に重要である[6]。 MYCN遺伝子領域にはN-cymまたはMYCNOSと呼ばれるアンチセンスRNAがコードされており、相補鎖から転写され、翻訳によってタンパク質産物が形成される[7]。N-MycとMYCNOSは、正常な発生過程においても腫瘍細胞においても共に調節されており、この2つの転写産物には機能的関連性がある可能性がある[8]。このアンチセンスRNAはNCYMと呼ばれるタンパク質をコードしており、ヒトとチンパンジーに特異的で、de novoに発生したものである。NCYMタンパク質はGSK3bを阻害し、MYCNの分解を防ぐ。ヒトのMYCN/NCYM対を持つトランスジェニックマウスは遠隔転移を伴う神経芽腫を示すことが多いが、こうした症状は正常なマウスでは一般的ではない。そのためNCYMは、分子的機能を獲得し、また発がんに大きな役割を果たす、de novo遺伝子として稀な例となっている[9]。 臨床的意義N-Mycの増幅や過剰発現は腫瘍形成をもたらす場合がある。N-Mycの過剰な存在はさまざまな腫瘍と関係している。最も特筆すべきものは神経芽腫であり、MYCN遺伝子の増幅を伴う患者は予後が悪い傾向にある[10][11][12]。 相互作用N-MycはMAXと相互作用することが示されている[13][14]。 N-MycはオーロラAによっても安定化され、分解から保護される[15]。この相互作用を標的とした薬剤が開発中であり、オーロラAのコンフォメーションを変化させるよう設計されている。オーロラAのコンフォメーション変化はN-Mycの遊離をもたらし、ユビキチン依存的な分解が引き起こされる[16]。 MYCNはp53標的遺伝子の転写を変化させる。p53標的遺伝子はアポトーシス応答や細胞周期中のDNA損傷修復を調節している。このMYCN-p53相互作用は、MYCNが四量体型p53のC末端ドメインに排他的に結合することで行われている。四量体型p53のC末端ドメインへのMYCNの結合は、p53のプロモーター選択性に影響を与え、またこの領域に結合する他のコファクターに干渉する[17]。 出典
関連文献
関連項目外部リンク
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