金沢市図書館(かなざわしとしょかん、英: Libraries of Kanazawa City)は、石川県金沢市が設置運営する公立図書館の総称。
金沢市が管理する図書館には、玉川図書館、玉川こども図書館、泉野図書館、金沢海みらい図書館、玉川図書館城北分館(wikidata)、玉川図書館近世史料館(wikidata)がある。全館の蔵書数は1,720,498冊で、年間貸出数は1,880,894冊である(2023年度統計)。
歴史
(出典:[7])
1930年(昭和5年)7月10日に金沢市殿町(現・大手町)金沢医学館跡地に大礼記念金沢市立図書館[注釈 1]が開館し、1948年(昭和23年)8月2日に金沢市立図書館に改称された。その後1956年(昭和31年)に金沢市立図書館設置条例が制定され(同年10月1日公布)、1979年(昭和54年)には全文改正のうえ、金沢市図書館条例が制定された(同年3月26日公布)[1]。
1995年(平成7年)4月2日には新たに金沢市立泉野図書館が開館し、金沢市立図書館は金沢市立玉川図書館に改称された。
年表
図書館一覧
(出典:[43])
かつてあった図書館一覧
(注記)
- 「金沢市立図書館」(現・金沢市立玉川図書館)の創立の前に、「金沢市立城西図書館」があった[注釈 3]。
- 一覧のほかに、1.の城西図書館と同様に金沢市に編入した旧町村から移管した、いずれも小学校に付設の金沢市立図書館が次のとおりあった(括弧内の表記は小坂館をのぞいて出典のまま)。前の6館は1935年(昭和10年)に編入した新市域にあり、後の3館は1936年(昭和11年)に編入した新市域にあった。これらが廃止された経緯は詳らかでないが[注釈 17]、戦後においても1947年(昭和22年)3月31日時点の「全国図書館名簿」[56]や1950年(昭和25年)3月31日時点の「公共図書館一覧」[57]に富樫・戸板・三馬・大野町・金石町・潟津・米丸の7館の名称がある(その後の一覧には全くない[58])。
- 2.に記載の1947年および1950年当時の「戸板」「金石町」の2館は、1943年(昭和18年)に編入した新市域に所在していたことから、1935年・1936年の金沢市編入に伴い移管した9館の後、さらに加わったこととなる。
サービス
図書館の入館や利用は誰でも可能であるが、館外貸出には図書館カードの発行が必要である[60]。また、金沢市図書館は近隣の自治体図書館と貸出協定を結んでおり、金沢市在住・在勤・在学者のほかに、白山市・野々市市・かほく市・内灘町・津幡町在住者も図書館カードを作成し、館外貸出ができる[61]。図書館カードを作成するとMyライブラリという個人向けサービスを利用することができ、インターネット上から貸し出しの延長や利用状況の確認、資料の予約ができる[62]。
館外貸出
(出典:[63])
- 1人10点まで(うちCDは3点まで)、2週間借りることができる。
開館時間
(出典:[43])
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開館時間
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休館日
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金沢市立玉川図書館
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平日:10:00 - 19:00
休日[注釈 18]:10:00 - 17:00
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月曜(祝日[注釈 19]の場合は開館)
特別整理期間[注釈 20]、年末年始[注釈 21]
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金沢市立玉川図書館近世史料館
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金沢市立玉川こども図書館
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平日:10:00 - 17:00
休日:10:00 - 17:00
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金沢市立泉野図書館
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平日:10:00 - 19:00
休日:10:00 - 17:00
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火曜(祝日の場合は開館)
特別整理期間、年末年始
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金沢市国連寄託図書館
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金沢市立金沢海みらい図書館
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平日:10:00 - 19:00
休日:10:00 - 17:00
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水曜(祝日の場合は開館)
特別整理期間、年末年始
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金沢市立玉川図書館城北分館
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平日:9:30 - 18:00
休日:9:30 - 18:00
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月曜・祝日(ただし5月5日は開館)
特別整理期間、年末年始
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玉川図書館
金沢市立玉川図書館は、 金沢市玉川町2番20号にある金沢市図書館のひとつである。
1930年(昭和5年)に開館し、1979年(昭和54年)に玉川町に移転した[64]。蔵書数550,821冊、年間貸出数212,572冊で、金沢市図書館の中で最も多い蔵書数となっている(令和5年度統計)。
泉野図書館
金沢市立泉野図書館は、 金沢市泉野町4丁目22番22号にある金沢市図書館のひとつである。
1995年(平成7年)に2館目の市立図書館として金沢市南部地区に開館した[65]。蔵書数360,191冊、年間貸出数706,480冊で、金沢市図書館の中で年間貸出数が最も多い(令和5年度統計)。
また、1996年(平成8年)には、金沢市立泉野図書館が国連寄託図書館に認定され、「金沢市国連寄託図書館」が国内第14番目の寄託図書館として設置された[66]。蔵書数は52,987冊である(令和5年度統計)。
玉川こども図書館
金沢市立玉川こども図書館は、金沢市玉川町2番2号にある金沢市図書館のひとつである。
2008年(平成20年)に日本たばこ産業株式会社金沢支店の建物を改修して開館し、2022年(令和4年)にリニューアルオープンした[67][68][注釈 10]。蔵書数144,025冊、年間貸出数131,544冊となっている(令和5年度統計)。
金沢海みらい図書館
金沢市立金沢海みらい図書館は、金沢市寺中町イ1番地1にある金沢市図書館のひとつである。
2011年(平成23年)に4館目の市立図書館として金沢市西部地区に開館した[70]。蔵書数355,558冊、年間貸出数609,895冊であり、年間貸出数では泉野図書館に次ぎ、2番目である(令和5年度統計)。
玉川図書館城北分館
金沢市立玉川図書館城北分館は、金沢市小坂町西8番地11(金沢市立城北児童会館1階)にある金沢市立玉川図書館の分館である。
1981年(昭和56年)に金沢市立図書館(現・金沢市立玉川図書館)の分館として、城北児童会館内に開館した[71][注釈 22]。児童会館に併設の施設であることから、児童書の割合が多いのも特徴である。蔵書数35,507冊、年間貸出数144,758冊となっている(令和5年度統計)。
玉川図書館近世史料館
金沢市立玉川図書館近世史料館は、金沢市玉川町2番20号にある金沢市図書館のひとつである。
1979年(昭和54年)に金沢市立図書館(現・金沢市立玉川図書館)が玉川町の旧日本専売公社金沢工場跡に移転した際、同跡地の赤レンガ旧工場を金沢市立図書館の別館として活用していたもの[32]を、改修のうえ1999年(平成11年)に近世史料館として開館した[73]。蔵書数156,465冊となっている(令和5年度統計)。
脚注
注釈
- ^ a b 館名に冠されている「大礼記念」とは、昭和天皇の即位大礼への祝意を表したものである[8]。当時の文部省が全国の各府県市町村に「御大礼記念図書館」の設立を奨励した。
- ^ ただし、必ずしも特別に独立した図書館専有建物を必要とせず、小学校等の空きスペースを利用した程度のものでも認められた[8]。
- ^ a b 金沢市立城南図書館は、1930年(昭和5年)3月末をもって金沢市立図書館(当時は開館前)への蔵書移動により閉鎖、廃止された[10]。『金沢市立図書館六十年誌』では、金沢市立城南図書館が設けられていた1925年(大正14年)5月1日(※4月1日の誤植か不明)から1930年(昭和5年)3月までの5年間の歴史は「金沢市立図書館前史として銘記されるもの」(太字強調は引用者)と記されている。
- ^ 当初、臨時休館は1週間程度の予定であったが、金沢市役所から軍事課・戸籍課および教学課の一部(就学事務)が図書館に移転してきたために長期化した。さいわい、金沢市は戦時中の空襲を免れたが[20]、図書館の屋上には(対空)機関銃が据え付けられていた。
- ^ a b c 『金沢市史 現代編 下巻』などで「金沢市児童図書館」「金沢市平和町児童図書館」「金沢市長町児童図書館」と表記してあり、当時の正式名称はいずれも「金沢市立」でなく「金沢市」を冠した名称であったと考えられる[27][28]。その後、1955年刊行の『金沢市統計書』では、児童図書館、平和町児童図書館、長町児童図書館の3館に「金沢市立」を冠した用例が見受けられる[29]。
- ^ a b 『金沢市立図書館六十年誌』では、開館は同年10月9日のこと。金沢市立児童図書館は日本で最初の「こども図書館」であった。
- ^ a b 『金沢市立図書館六十年誌』は、金沢市立児童図書館があった場所に北陸電力の中央変電所が設置されることになったため、1954年6月に児童図書館は閉館し取り壊された(同年7月に児童図書館を廃止、本館1階に児童室を設置)と記述している。しかし、同じ金沢市が刊行した『金沢市史 現代編 下巻』や『金沢市統計書』などの記述内容は異なっている。
- 『金沢市史 現代編 下巻』では、児童図書館は改築のために市立図書館本館に「仮移転」したことになっている。
- 『金沢市統計書』の場合、1972年発刊の昭和47年版までは「金沢市立児童図書館」を記載し[46]、1973年発刊の昭和48年版で「金沢市立図書館児童室」に変更しており[47]、表記の変化からは、1972年から1973年にかけてのいずれかの時点で金沢市立児童図書館が金沢市立図書館児童室に改組(吸収合併含む)されたかのように推測させるものになっている(なお、児童室のその後については、金沢市立図書館が玉川町に移転する前の1978年11月末に閉館した時点まであったが〈昭和54年版344頁に「児童室・館」と記載〉、玉川町移転後については翌年度版から同統計書掲載の表区分が変わったこともあり不明)。
- 1960年の『文芸年鑑』の全国主要図書館一覧に「金沢市立児童図書館」が載っている[48]。
これらを総合すると、1954年6月の時点では、将来の新築での再建を予定しつつ、立ち退きのために閉館して市立図書館本館に仮移転したが、後になって再建が断念された(あるいは明確に再建の断念を外部に示さずに自然消滅させた)ことがあり得る。『金沢市立図書館六十年誌』は本文記述にもかかわらず、209頁に1956年(昭和31年)12月3日付けの北国新聞記事の写真を載せていて、記事は金沢市がすぐに再建すると子どもたちに約束しながら児童図書館を閉じてから2年(同記事では「3年」と記載)経っても新築再建が実現していないことを伝えている。ただ、『六十年誌』の本文記述は1954年の時点で既に児童図書館が組織として無くなったように扱っており、後から過去の時点にさかのぼって歴史を"修正"した向きがある。
- ^ かつて1954年(昭和29年)7月以降、金沢市立図書館に間借りしていた児童図書館(のち金沢市立図書館児童室)については、建物構造的には、本館1階に児童閲覧室が設けられた。
- ^ 玉川公園において金沢市立中央小学校とともに一体的に建設整備された[40]。
- ^ a b 元・日本たばこ産業株式会社金沢支店を改修した旧の玉川こども図書館建物は2019年7月に解体されており[69]、残存していない。「リニューアル」とは、旧建物を改修したという意味ではない。
- ^ 図書館条例の附則にある条例改正の施行日からみて、設置日は同年4月1日であると考えられる。
- ^ 玉川図書館を自動車文庫巡回の本拠地とする。
- ^ a b 1960年当時[48]。金沢市立児童図書館については、仮移転先の金沢市立図書館の位置にあたる。
- ^ 廃止日は同年9月(1日であるかは不明)。
- ^ 建物新築後の開館日は1973年(昭和48年)5月23日。同日に完成式が挙行された。
- ^ 廃止日は同年4月1日[51]。
- ^ 少なくとも「金沢市職員録」の上では1940年(昭和15年)10月発刊の分まで小学校付設図書館の職員の氏名が記載されている。
- ^ 土曜・日曜・祝日をさす。他の館についても同じ。
- ^ ここでの祝日は「国民の祝日に関する法律第3条に規定する休日」(金沢市図書館規則第3条)であって、国民の祝日だけでなく、振替休日・国民の休日も含まれる。他の館についても同じ。
- ^ 1年のうち、6月1日以後の最初の月曜日に当たる日からその日の翌々日までの間と、11月24日以後の最初の月曜日に当たる日からその日の属する週の翌週の金曜日に当たる日までの間とが特別整理期間にあたる(金沢市図書館規則第3条)。他の館についても同じ。
- ^ 12月29日から翌年の1月4日までの日が年末年始にあたる(金沢市図書館規則第3条)。他の館についても同じ。
- ^ 城北児童会館は1979年の国際児童年を記念して建設されたもの[72]。
出典
参考文献
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
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