親衛隊名誉長剣は、陸軍型サーベルと比べるとかなりシンプルな形をしており、ワイヤー巻の黒い柄の中央にSSルーン文字の紋章(警察は警察鷲章[2])が入り、銀の護拳や柄頭のキャップが付き、柄の縁は柏葉デザインだった。黒い鞘の口金物は北欧神話に因む「ヴォータンの結び目」と呼ばれるデザインになっており、鞘の一番下はアールデコ様式の石突が付いていた。護拳の鍔の部分に取り付けられる刀緒は銀のアルミニウム製素材で作られていた[5]。将校用の名誉長剣の授与はヒムラー自身によって行われ、授与者に対して「親衛隊名誉長剣を授く。理由なく剣を抜くことなかれ。名誉なく剣を納むることなかれ(Ich verleihe Ihnen den Degen der SS. Ziehen Sie ihn niemals ohne Not! Stecken Sie ihn niemals ein ohne Ehre!)」と述べる授与式が行われていた[6]。将校用の長剣の授与は勲記とともに行われる[7]。将校用の長剣の写真はここやここで見られる。
親衛隊高官や党幹部の誕生日にヒムラーが個人的に贈る誕生日長剣もあった。これはドイツの剣作りの名匠だったパウル・ミュラー(親衛隊ダマスカス刀剣学校校長)が製造したものである。純度認証済みの銀の装飾品に最上級ダマスカス鋼の刃に金メッキでヒムラーの献辞が刻まれていた。たとえば1939年にヒムラーがヨアヒム・フォン・リッベントロップに送った誕生日長剣には刀身には2つのハーケンクロイツに囲まれて「親愛なる友ヨアヒム・フォン・リッベントロップへ 1939年4月30日 親衛隊全国指導者H.ヒムラー(Meinem lieben Joachim von Ribbentrop zum 30.4.39 - H.Himmler, Reichsfuhrer-SS)」という文字が刻まれている[6]。