複合性局所疼痛症候群
複合性局所疼痛症候群(ふくごうせいきょくしょとうつうしょうこうぐん、英:Complex regional pain syndrome,略称CRPS)とは、 軟部組織、骨または神経の損傷後に発生して,当初の組織損傷から予測されるより重度で長期間持続する,慢性の神経障害性疼痛である[1]。かつては、反射性交感神経性ジストロフィー(Reflex sympathetic dystrophy,略称RSD)と呼ばれた[2]。つまり、身体の損傷後に治癒したが痛みは残っている。例えば骨折が治癒して検査ではもう異常は確認されないが痛い[3]。明らかな先行した損傷がなくとも発症することがある[3]。典型的には手足(四肢)に発症する[2]。 体性神経の損傷および骨・筋肉組織損傷、外傷(重症度は関係ない)、内臓疾患、中枢神経系損傷後に発症するとされる。 また、感覚過敏・アロディニア・代謝異常・浮腫・腫脹・皮膚温異常・局所的骨粗鬆症などさまざまな症状が観察されることが多い。最も多発する部位は手であり、その場合は同側肩関節の運動制限を伴うことが多い。難病指定はされていない。 呼称以前から、外傷後に四肢の激しい疼痛が知られており、カウザルギー、反射性交感神経性ジストロフィー (RSD)、肩手症候群(Shoulder hand syndrome,SHS)[2]、外傷後ジストロフィー・ズデック骨萎縮・交感神経性持続疼痛などさまざまな呼称で呼ばれた。 1994年に国際疼痛学会(IASP;International Association of the Study of Pain)は、複合性局所疼痛症候群(CRPS)として統一した[2]。疾患でなく病態の集合体である症候群である[3]。 症状典型的には四肢に発症する[2]。顔や体幹では議論がある[3]。
分類
この分類は治療の際には参考になり重要だが、神経損傷を判定できる生物学的指標もないため分類に否定的な意見もある[3]。 発生機序原因は不明である[2]。しかし、そのメカニズムは交感神経求心性線維または遠心性線維から放出される神経伝達物質によって、侵害受容器を直接刺激することに起因するとされる。疼痛により生じる交感神経活性は、求心性C線維を活性化させることがあり、これは二次痛を増大させる。これはさらに交感神経の活性を亢進させ、痛みの悪循環が形成される。 CRPSは交感神経からだけでは判断できず、脳のモニタリング技術の向上から、記憶や空間認識の機能がかかわっているとも考えられている[5]。 手より足に多い[2]。骨折、手術、捻挫などが原因となりやすいが自然発症することもある[2]。脳卒中や脊髄損傷後ではCRPSとするかに議論がある[3]。 女性が男性の3.4倍[2]。 診断臨床検査として、サーモグラム・神経伝導速度検査・交感神経ブロック・筋電図・X線撮影・CT・MRI・三相性放射核種骨スキャニングなどを用いる。しかし、これらの試験においてCRPS患者は正常な所見を示す場合もある。
判定指標
罹患期間CRPSの罹患期間は多様である。軽症の場合は、数週間後に寛解するが、多くは何年にも渡る。寛解と再発を経験する場合もある。 以前はステージによる病期分類が行われていたが、疾患の進行は患者によりさまざまであり、予期が困難であるため、現在はあまり使用されていない。 出典
参考文献
関連項目
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