眠るアモール (カラヴァッジョ)
『眠るアモール』(ねむるアモール、イタリア語: Amorino dormiente)は、イタリアのバロック期の巨匠カラヴァッジョによる絵画。フィレンツェのピッティ宮殿内にあるパラティーナ美術館に所蔵されている。 カラヴァッジョの多くの作品とは異なり、この作品は正確な制作年代がわかっている。マルタ騎士団の統領であるアロフ・ド・ヴィニャクールからイタリアのフィレンツェ出身の書記かつ騎士であったフラ・フランチェスコ・デランテッラのために委嘱され、絵画の裏面には1608年にマルタで描かれたという古い碑文が記されている。 アモールは、愛の象徴である。弦が折れ、矢が脇に投げ出されているという眠るアモールの主題は、情熱に惑わされることなく理性が働いている状態を表す。言い換えるなら世俗的な喜びの放棄を意味しており、デランテッラは、騎士にふさわしい貞操の誓いを思い起こすために絵画を依頼したのかもしれない。眠るアモールという主題には古代彫刻やミケランジェロの作品などの先例があるが、カラヴァッジョのこの絵画には実際に幼児が寝ているかのような現実感がある[1]。 脚注
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