ダヴィデとゴリアテ (カラヴァッジョ)
『ダヴィデとゴリアテ』(伊: David e Golia、英: David and Goliath)、または『ゴリアテの頭を持つダヴィデ』、または『ゴリアテに勝利したダヴィデ』は、イタリアのバロックの巨匠カラヴァッジョ(1571–1610年)による絵画である。1599年頃に描かれ、マドリードのプラド美術館に所蔵されている[1]。同じテーマの2つの後のバージョンは、現在、ウィーンの美術史美術館とローマのボルゲーゼ美術館で見られる。 概要本作は、カラヴァッジョの芸術家としての初期、フランチェスコ・マリア・デル・モンテ枢機卿の家庭の一員だった時期に描かれた。絵画の来歴は不確かである。イタリアの伝記作者兼画家のベッローリによると、1611年から1615年にイタリアにいたスペインのビリャメディアーナ伯爵がカラヴァッジョの『ダヴィデ』を所有しており、同伯爵によってスペインにもたらされた可能性がある[2]。 絵画は、ペリシテ人の旗頭である巨大なゴリアテの髪を結わえている少年として聖書のダヴィデを表している。光はダヴィデの脚、腕、脇腹、ゴリアテの頭が切断された巨大な肩、そして頭自体に当たっており、それ以外はすべて暗い。ゴリアテの額の傷は、ダヴィデの投石器の石に倒された箇所を示している。 美術史家ミーナ・グレゴーリのX線による研究では、もともとのゴリアテの顔は恐怖で口を開けたまま固定され、舌がねじれ、眼球が眼窩の端に寄せられた状態で表現されていた。その本来のゴリアテの顔は、『メドゥ―サ』(ウフィツィ美術館)の顔および『ホロフェルネスの首を斬るユーディット』(バルベリーニ宮国立古典絵画館)のホロフェルネスの顔に類似している[2]。 完成した絵画では過激なドラマ性は追放されている。ドラマの中心はゴリアテから静かに、効率的にダヴィデに移されている。顔がほとんど影の中に隠れているダヴィデは、ゴリアテの髪に手を入れ、その胴体にひざまずいて作業に専念している。画面にはダヴィデの勝利ではなく、非常に私的な行動が表現されている。 この絵画は制作された直後にスペインに運ばれ、頻繁にコピーされて、スペインの芸術に深い影響を与えた[3]。 参考文献
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