東方 (列車)
東方号(とうほうごう 中国語: 东方号)または、D313/314次列車(中国語: D313/314次列车)とは、中華人民共和国北京市と上海市を結ぶ、中国鉄路総公司上海鉄路局が運行する優等列車である。 概要1949年11月15日に運行を開始し、上海鉄路局上海客運段所属の乗務員が乗務する。運行開始以来、何度も列車番号が変更されており、現行のD313/314次は2009年4月1日から使用されている。そのうち北京発上海行きがD313次(下り)、上海発北京行きはD314次(上り)が使用されている。東方号は中国でも最優秀の旅客列車のひとつと位置づけられており、1978年に中国鉄道部から「紅旗列車」の称号を授与されて以来、電車化される2009年まで30年連続で「紅旗列車」の称号を保持していた。また、1995年以来13年連続で「青年文明号」の称号も保持していた。 歴史1949年7月1日、12年の中断期間を経て北平(北京)と上海を結ぶ旅客列車の運行が再開された。同年8月には上海鉄路局が設立され、11月15日には北京と上海を直通する旅客列車の運行が再開された。直通列車は11/12次直快旅客列車とされ、列車の運行時間は36時間であった。経路は京山線、津浦線、滬寧線であったが、当時は南京長江大橋が未開通であったため、下関と浦口の間は鉄道連絡船を介して長江を越えていた。1956年には列車番号が5/6次に改められ、運行時間は28時間に短縮された。 1959年夏より、列車番号が13/14次に改められ、運行時間は約24時間に短縮された。1968年10月1日に南京長江大橋が完成し、運行時間が更に短縮された。1978年10月14日、13/14次旅客列車は中国鉄道部から「紅旗列車」の称号を授与され、中国で最初に紅旗列車の称号を授与された列車のひとつとなった。その後も数十年に亘り、毛沢東、周恩来、鄧小平、江沢民等の歴代国家指導者が13/14次旅客列車を利用した[2]。 1980年7月15日、13/14次列車は中国の長距離列車で最初に空調装置が採用された。この時使用された22系空調客車は伝統的な緑色ではなく、栗色とクリーム色を配した特殊塗装とされた。1985年4月1日、13/14次列車のスピードアップが行われ、途中停車駅が天津西駅、済南駅、蚌埠駅の3駅のみとなり、北京~上海間の運行時間が約17時間に短縮された。1986年、13/14次列車の牽引機が周恩来号機関車(東風4B型ディーゼル機関車2106号および東風11型ディーゼル機関車1898号)となった。周恩来号機関車による牽引は、その後2004年に東風11G型ディーゼル機関車に置き換えられるまで、20年近く続いた。1992年4月1日、13/14次列車は25A系客車に置き換えられたが、その後すぐに25G系客車に置き換えられた[3]。 1997年4月1日、第一次大提速(ダイヤ改正)が行われた際、列車番号がK13/14次に改められ、天津西駅は通過となった。2000年10月21日には第三次大提速が行われ、列車番号はT13/14次に改められ、運行時間が14時間に短縮されたため、上り下りとも夕方発朝着が実現した。 2001年11月14日、当時の中国共産党中央委員会総書記で国家主席である江沢民がT13/14次列車を視察した。この時T13/14次列車は「東方号」と命名され[4]、2002年4月30日には、江沢民が揮毫した「東方号」のヘッドマークが掛けられた[5]。 2004年4月18日、中国鉄道部は第五次大提速を行い、T13/14次特快列車はZ13/14次直達特快列車に格上げされ、鄭州鉄路局武昌車輛段から転属してきた青島四方ボンバルディア鉄道運輸設備製の25T系客車に置き換えられた。[6]この時の改正で東方号の途中停車駅はすべて通過となり、北京~上海間の運行時間は11時間58分に短縮された。従来使用されていた25K系客車は柳州鉄路局へ転配となり、深圳~桂林間のK950/951・K952/949次列車で使用された後、2011年からは上海南~桂林間のT77/78次列車で使用されている。2007年4月18日、第六次大提速の後北京~上海間の運行時間は11時間28分に短縮された。 2009年4月1日、東方号はCRH2E型電車に置き換えられ、列車番号もD313/314次に改められ、北京~上海間の運行時間は10時間12分に短縮された。従来使用されていた25T系客車は瀋陽北~広州東間のZ12/13・Z14/11次列車で2014年12月10日まで使用された後、2015年5月20日に北京鉄路局天津車輛段へ転属となり、北京西~長沙間のZ206/207・Z208/205次列車で使用されている。 2009年11月5日、東方号の車輛はCRH1E型電車に置き換えられた。同年12月25日には京滬高速鉄道の北京南駅近辺が開通したため、翌2010年1月19日から、東方号を含む5往復の北京~上海間夜行高速列車の始発駅が北京駅から北京南駅に変更された。 2010年8月11日より、東方号を含む5往復の北京~上海間夜行高速列車は滬寧都市間鉄道経由に変更され、上海側の起終点が上海虹橋駅に変更された。この時、無錫、常州、鎮江の3駅が停車駅に加えられたものの、東方号の運行時間は15分短縮され、北京~上海間の運行時間は9時間54分となった[7]。 2011年6月30日、京滬高速鉄道が正式に運行を開始した。それに伴う車輛不足を補うため、東方号を含む北京~上海間で運行されていた寝台電車はすべて運休となった[8]。その後8月には、京滬高速鉄道で使用されているCRH380B型電車のリコール問題が発生し、車輛不足が続いたため運休期間が長引くこととなった[9] 2011年9月1日、東方号は運行を再開した。減速ダイヤ改正の影響で北京~上海間の運行時間は伸びたが、相応の値下げも行われた。同時に東方号の上海側始発駅が上海駅に戻された。2012年7月1日のダイヤ改正では、東方号の発車時間が変更された[10]。 2015年の春運期間中、車輛不足が原因で東方号は運休となった[11]。同年3月20日、CRH1E型電車とCRH2E型電車の配置が調整された。東方号には引き続きCRH1E型電車が使用されたが、CRH1E型電車の大多数は上海~広州・深圳間の寝台電車に充当され、車輛不足が続いた。そのため、東方号に運行日数を減らし、北京南発上海行きは毎週水曜と木曜、上海発北京南行きは毎週火曜と水曜の週2往復の運行となり、繁忙期は運休となった。なお、北京~上海間の寝台電車には東方号以外にもD321/322次列車があり、D321/322次列車は毎日運行されている。 2015年9月25日から10月7日の間には、北京~上海間で東方号のダイヤを利用したZ4013/4014次臨時列車が運行された[12]。 使用車輛の変遷
列車編成2014年12月10日現在。東方号は上海鉄路局上海動車段所属のCRH2E型電車で運行されている。北京南~上海間の切符の値段は、2等座席車が309元、軟臥車(1等寝台車)上段が615元、下段が696元である[1]。
時刻表
脚註
参考文献
関連項目
|
Portal di Ensiklopedia Dunia