東亜紡織楠工場東亜紡織楠工場(とうあぼうしょく くすこうじょう)は、現在のトーア紡マテリアル四日市工場であり三重県四日市市楠町の南川地区に立地している。旧中央毛糸紡績株式会社の紡績工場。東亜紡織四日市工場や東亜紡織楠工場などの工場名もあった。化学繊維を生産している。従業員は2005年の時点で135人[1]であり、1958年(昭和33年)から合織繊維を生産している。1953年(昭和28年)の企業統計では、男性従業員が268人で女性従業員が1941人で臨時工が65人で合計の従業員が2274人の大工場であった。 工場建設計画
歴史
年表
建物1922年(大正11年)創業の中央毛糸紡績株式会社が昭和16年に錦華毛糸紡績株式会社と合併により東亜紡織株式会社となるが、第二工場の候補地として四日市港に近い楠村を選び、昭和7年に四日市工場(戦後楠工場と改称)の建設が決定された。 丁度この時期は、日本の羊毛工業の本格的な発展期を迎えていた。 59299坪の敷地内には、工場本館をメインに事務室・厚生食堂・倉庫棟等が配置されて、かくかくの建築物を渡り廊下で結んでいる。敷地の北側部分の寄宿舎等は、戦後建て替えられているが、南側施設は戦前の創業当時の様子を良く保存している。 設計者は東畑設計事務所、施行者は伊藤工務店株式会社である。[9] 工場本館 鉄筋造平屋建(一部RC造及木造)屋根形状は、工場建築の代表的な金居屋根(波形石綿ストレート葺)であり、内部の採光等を考えて設計されており、また雨仕舞の方法として、桶は金居屋根の窓下に平方向に設置されて、さらに妻方向に流れる処理をしている。 床は機械の据え付け等で後にコンクリート打ちされているが、当初の板張りが一部残って建築士の間で興味深いものとなっている。構造的な特徴はあまりないが、鉄筋造が主要であり、北側出入り口部分のみ木造洋風小屋組で階建のような構成となっているが、この部分は後になって増築したと想定される。 事務所棟 木造平屋建切妻屋根(2棟)で東亜紡織楠工場の事務部門・管理部門の建物である。 主要な室としては事務室・会議室・応接室等で構成されて、現在も使用されている。 外観は、住宅風で玄関車寄せには丸柱を使用するなど戦前の建築物としてはモダンな設計となっている。南側・東側の窓等がアルミサッシに替えられているが、他は大部分は戦前の創業当時の姿を残している。[9] 食堂棟 鉄筋造平屋建隆盛期の紡績産業を代表する大規模な施設であり、採光等を考慮した越屋根形式である。 柱部分・梁部分の部材はラチスで構成されている。工場部分と付属して厨房施設があり、食堂部分と同規模の面積を保有している。戦前の活況がある様子が保存されている建物である。 倉庫棟 木造平屋建小屋組は一部和風小屋組もあるが、大部分は洋風小屋組形式で構成されて、外壁は、モルタル塗の構造となっている。 戦後になって、鉄筋造に一部改修された部分もあるが、5棟程は建築された当時のままで、現在も残っている。他の施設としては、ボイラー室・電気室棟・クラブ(宿泊施設)等が現在も使用されていて、昭和初期の繊維産業の貴重な産業遺産となっている。[10] 南側工場部分
工場施設
東亜紡織株式会社楠工場のデータ
トーア紡マテリアル株式会社
組織図
工場設計案
参考文献
脚注関連項目 |