李琴峰
李 琴峰(り ことみ、Li Qinfeng、1989年12月26日[1] - )は、中華民国(台湾)籍の日本在住の小説家・翻訳者である。母語は中国語であるが、日本語で作家活動を行っている。 「李琴峰」はペンネームであり、「李」は「詞中の三李」から、「琴」は「琴棋書画」から、「峰」は王国維の詞から取っている[2]。 来歴1989年に台湾の田舎で生まれ、15歳から日本語を習い始め、同じころから中国語で小説創作を試みた[3]。 国立台湾大学卒業後、2013年来日、早稲田大学大学院日本語教育研究科修士課程入学、のち修了。 2017年、初めて日本語で書いた小説『独舞』(のち『独り舞』に改題)が第60回群像新人文学賞の優秀作に選ばれ、作家デビュー。同作は、通勤電車の中で浮かび上がった「死ぬ」という一語が創作のきっかけだったという[4]。 2019年、『五つ数えれば三日月が』で第161回芥川龍之介賞候補。同作は後に単行本化し、第41回野間文芸新人賞候補となる。2021年、『ポラリスが降り注ぐ夜』で芸術選奨新人賞を受賞[6]。同年、『彼岸花が咲く島』で第34回三島由紀夫賞候補、第165回芥川龍之介賞受賞[7]。 文筆活動
自身の日本語の作品を中国語に翻訳し、台湾で出版している[8]。 レズビアンであると公表しており[9]、作品には多くのセクシュアル・マイノリティの人たちが登場する。 政治的見解過去にTwitterで日本の立憲民主党の支持者と表明し、当時の日本の首相である安倍晋三や、桃園国際空港を「李登輝空港」とする改名案を提案した在日台湾人団体を批判したことがある[10]。台湾の政治についても民主進歩党やひまわり学生運動の参加者などのリベラル派に概ね好意的であり、保守派・親中派の中国国民党や身分証番号など私権の制限につながるものには批判的である[11]。 誹謗中傷被害芥川賞受賞後、SNSで苛烈な誹謗中傷被害を受け、何人かの加害者に対して提訴した。2023年、台湾で一人が有罪判決を受けた[12]。2024年7月、日本の元SFライターに賠償命令が下りた[13][14]。 アウティング被害2024年11月20日「トランスジェンダー追悼の日」に声明を発表し、台湾や日本のトランスヘイターによる度重なるアウティング被害を受けたため、トランスジェンダーであることをカミングアウトせざるを得ない状況に追い込まれたと表明した[15]。声明では複数の加害者を名指し、「アウティングをされ、爪剥ぎの拷問のように選択肢が目の前から一つひとつ奪い去られ、精神的にも肉体的にもじわじわ追い詰められ、気づけば、カミングアウトという選択肢しか残されていない、そんな状況です」「カミングアウトは私の自由意志ではありません。加害者の憎悪犯罪の結果です」などと綴った[16]。 朝日新聞の取材では、「私は女性でありレズビアン。トランスジェンダーという属性は、私にとって自分の本質ではない。本当は公表などしたくなかったが、アウティングは当事者を死に追いやることもある深刻な人権侵害だと知ってほしい」「性的マイノリティーとして抑圧や差別を受けてきた私が、小説家になるという夢をかなえ、生き延びている。アウティング被害の末のカミングアウトとはいえ、私の存在が誰かの希望になれたら」と語っている[17][18][19]。 作品リスト単行本
単行本未収録作品(小説)
訳書
外国語版
出演
脚注
関連項目外部リンク |
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