日産・スカイラインクロスオーバー
概要2007年に北米市場で発売されたインフィニティ・EX35を、2009年に日本市場に導入したモデルである。インフィニティブランドが展開されない日本では日産ブランドとして、「スカイライン」の名を冠した「スカイラインクロスオーバー」として[1]発売された。 スカイラインセダン・クーペとはEプラットフォームを共有するが、型式はセダン・クーペのV36型とは異なる「J50型」が与えられた。他のスカイラインシリーズと共有する外装部品はターンシグナルレンズのみ[2]で、スカイラインシリーズにおいてはセダンがV37型にフルモデルチェンジするまでの間、唯一丸型4灯テールランプを採用していなかった。 メカニズムエンジンは欧州仕様のEX37や他のスカイラインシリーズと同じく、V型6気筒 3.7L VQ37VHRエンジンを搭載し、ジヤトコ製JR710E/JR711E型マニュアルモード付フルレンジ電子制御7速オートマチックトランスミッションが組み合わせられる。なお、日本発売の時期は7速AT登場を待つことにより他国よりも遅れたという[2]。 プラットフォームには他のスカイラインシリーズと共通のEプラットフォームが採用されたが、ホイールベースは50mm短縮された。これはスタイリングを追求したためであるが、これにより生産コストは増加した[3]。プラットフォームはセンターフロアより前方をV36型セダンと共有しているが、ハッチバック化に伴う捩り剛性低下を10%程度に抑え[4]、セグメントトップの剛性を達成した[5]。 フロントサスペンションはほかのスカイラインシリーズと共通だが、リアには新レイアウトのマルチリンクサスペンションが採用され、デュアルフローパスショックアブソーバーには専用チューンが施された[6]。 ホイールには全車18インチアルミホイールが採用され、タイヤにはダンロップ製の225/55R18 SP SPORT 7000 A/S[7]オールシーズンタイヤが装着されている。 ラインアップ駆動方式は後輪駆動とアテーサE-TSを採用する四輪駆動が用意され、それぞれグレードとして「370GT」、「370GT Type P」(四輪駆動車は「370GT FOUR」、「370GT FOUR Type P」となり、型式がNJ50となる)が用意される。Type Pは上級グレードとなり、アラウンドビューモニターなどが標準装備されるほか、フロント・サイドシル・リアアンダープロテクターがセットとなったエアロパッケージをオプションとして選択することができる。 なお、アラウンドビューモニターの採用は日産ブランド車としてはエルグランド、セレナに次いで3番目であるが、このモデルに採用されたものは前二者よりも機能が向上されたもので、新たに「駐車ガイド機能」、「フロント/リアワイドビュー機能」、「ナビ連動フロントワイドビュー機能」が採用された[8]。 歴史
車名の由来「スカイライン」は同社の伝統的モデル名であるスカイラインシリーズから来ている。このモデルにスカイラインの名称を冠するに際しては、「スカイライン」というブランドに高年齢層向けというイメージが定着している一方、クロスオーバーは逆に若年齢層向けであるため、社内では反対意見もあった。しかし、それでもこの名称としたのは、若い世代にもスカイラインブランドの魅力を伝えるためだという[1]。 サブネームとなる「クロスオーバー」(crossover)には「融合」という意味があり、クーペとSUVの融合を意味する[17]。なお、「クロスオーバー」という呼称が自動車の名称に含まれるのは、このモデルが世界初である[2]。 市場の評価販売されていた当時はプレミアムSUVの先駆けとされるトヨタ・ハリアーが登場して10年以上が経っていたものの、クーペ型SUVは黎明期であった上、若者向けの車にしては価格も高く[18]、また3.7Lの排気量による自動車税が高額化、リーマンショックや東日本大震災等の不況と重なったこと、スカイラインにSUVのイメージがなかったことによって販売は低迷した。しかし、販売終了後にはプレミアム志向のクーペ型SUVが各メーカーから登場し、トヨタ・クラウンクルーガーなどといった伝統車種の名前をとったものも誕生しているため、早すぎた登場とされる。 脚注注釈出典
参考文献
関連項目
外部リンク |
Portal di Ensiklopedia Dunia