新城(しんじょう)は、神奈川県川崎市中原区の地名。現行行政町名としては町丁としての新城1丁目から5丁目と、大字としての新城[5]が併存している。このうち新城一-五丁目は1979年(昭和54年)11月5日に住居表示が実施されている[6]。
なお、「新城」を冠した町(上新城、新城中町、下新城)が新城の近隣にあるが、これらは新城から分離されて設置された(後述)。
地理
中原区の西端に位置し[7]、全体に平地である[8]。武蔵新城駅の南口を中心として商店街が広がり、その周囲は住宅地となっている[5]。
新城は北端で南武線を境界として高津区末長や上新城と、東端で新城中町と、南端で下新城と、西端で高津区の千年新町や新作と接している(特記のない町域は中原区)。
地価
住宅地の地価は、2024年(令和6年)1月1日の公示地価によれば、新城4-11-6の地点で39万4000円/m²となっている[9]。
歴史
中世以前
当地は稲毛本荘中心(宮内 (川崎市))に近く、そこから新田開発が平安末期以降行われた。「稲毛本荘検注目録」にもその様子が残っている[8]。ただし「小田原衆所領役帳」に「稲毛荘木月郷屋けへ方」とあり、この「屋けへ」が当地内の小名に比定されている[8]ように他村の一部であり、新城が1村となるのは江戸時代に入ってからであった[5]。
近世
江戸時代の当初、当地は天領だったが、天正年間には旗本である中川氏に賜われ[8]、同氏の支配が幕末まで続いた[5]。農地としては「水田多くして陸田少」なく[10]、村高は、正保年間の「武蔵田園簿」で200石、「元禄郷帳」や「天保郷帳」、幕末の「旧高旧領取調帳」では300石となっていた[5]。
用水は二ヶ領用水の分流から取ったほか、岩川村(現在の千年)との間に溜池があった[11]。農間には菰蓆作りも行われたほか[5]、全体が平地であり薪の確保が困難なので、野川や千年まで出かけて開墾を行い、切り株をもらって来るようなことも行われていた[10]。また、将軍が近隣で鷹狩をする際に、当地からも人足が徴発されていた[12]。
近現代
明治維新後、当地は神奈川県に属し[5]、新城村→中原村→中原町→川崎市と推移していった。野菜や桃が作られるようになる[13]、不在地主が増える[10]などの現象はあったものの、当地は農地として推移していた。
1927年(昭和2年)に南武鉄道(現在の南武線)が開通して武蔵新城駅が設置され、1942年(昭和17年)には武蔵新城駅南側の、現在の新城に当たる地の水田が、南武線経由や近隣から運ばれた土砂で埋め立てられ、規則正しい道路を持った住宅地へと変貌していった[10]。戦後には1950年頃から南側に商店が進出し始め[13]、武蔵新城駅に南口が開設されたのと前後して、駅南側が完全に商業地と化した[10]。
当地には明治時代から続く7つの小字があったが、地元にはあまり定着しておらず、上・中・下の3分割で呼ばれており、昭和30年代の土地改良後にはその3つに加え、昭和17年に埋め立てられた区域を含む中央の4町会が成立した[10]。1979年(昭和54年)、中原区内で初めて行われた[6]当地の住居表示では、この4町会をほぼそのまま活かす形で、上新城、新城中町、下新城、新城の町が設置された[10]。
地名の由来
平安末期から近隣に存在した「稲毛庄」に対して新しく開かれた地が「新庄」と呼ばれ、のちに文字が転じたものと考えられている[8]。
沿革
世帯数と人口
2024年(令和6年)6月30日現在(川崎市発表)の世帯数と人口は以下の通りである[1]。
大字・丁目 |
世帯数 |
人口
|
新城
|
128世帯
|
178人
|
新城1丁目
|
818世帯
|
1,293人
|
新城2丁目
|
541世帯
|
1,149人
|
新城3丁目
|
455世帯
|
658人
|
新城4丁目
|
222世帯
|
458人
|
新城5丁目
|
627世帯
|
819人
|
計
|
2,791世帯
|
4,555人
|
人口の変遷
国勢調査による人口の推移。
世帯数の変遷
国勢調査による世帯数の推移。
学区
市立小・中学校に通う場合、学区は以下の通りとなる(2022年3月時点)[21][22]。
事業所
2021年(令和3年)現在の経済センサス調査による事業所数と従業員数は以下の通りである[23]。
大字・丁目 |
事業所数 |
従業員数
|
新城
|
25事業所
|
89人
|
新城1丁目
|
138事業所
|
1,341人
|
新城2丁目
|
32事業所
|
146人
|
新城3丁目
|
150事業所
|
1,084人
|
新城4丁目
|
22事業所
|
142人
|
新城5丁目
|
81事業所
|
615人
|
計
|
448事業所
|
3,417人
|
事業者数の変遷
経済センサスによる事業所数の推移。
従業員数の変遷
経済センサスによる従業員数の推移。
交通
鉄道
南武線が当地の北端を通過しており、武蔵新城駅の南口が当地と隣接している。
路線バス
武蔵新城駅を基点として、各方面へのバスが運行されている。
施設
駅周辺には、あいモール・サンモール・マイロードなど商店街が広がっており、大規模な店舗としてはスーパーマーケットのマルエツがある。
金融機関
その他
日本郵便
警察
町内の警察の管轄区域は以下の通りである[26]。
大字・丁目 |
番・番地等 |
警察署 |
交番・駐在所
|
新城 |
全域 |
中原警察署 |
武蔵新城駅前交番
|
新城1丁目 |
全域
|
新城2丁目 |
全域
|
新城3丁目 |
全域
|
新城4丁目 |
全域
|
新城5丁目 |
全域
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関連項目
脚注
参考文献
- 『川崎の町名』日本地名研究所 編、川崎市、1995年。
- 『川崎地名辞典(上)』日本地名研究所 編、川崎市、2004年。
- 『角川日本地名大辞典 14 神奈川県』角川書店、1984年。
- 新中原誌刊行会『川崎 新中原誌』有隣堂、1977年。
外部リンク