宙組 (宝塚歌劇)

宙組(そらぐみ、英称:Cosmos troupe)は、宝塚歌劇団第5番目の組。イメージカラーは紫。組長は松風輝、副組長は秋奈るい

組の特色

1998年1月1日に創設。組名称は公募により決定。老朽化による東京宝塚劇場の建て替えを機に、新劇場では宝塚歌劇の専用劇場として、通年公演を実施することになった。そのため、これに対応するための組の増設が必要になり、既存4組からメンバーを選抜し、同時に団員の大規模な組替えを行って設立された。設立以来長身の男役が多く、コーラス・アンサンブルに対する評価が高い[1][2]

2012年1月、『クラシコ・イタリアーノ -最高の男の仕立て方-』の成果として、宙組が平成23年度(第66回)文化庁芸術祭・演劇部門優秀賞を受賞[3]

不祥事

2023年9月30日、入団7年目の宙組娘役が、宝塚市内の自宅マンション敷地内で倒れているのを発見される[4]。現場の状況から飛び降り自殺を図ったとみられる[4]。これを受け、前日に初日を迎えたばかりの芹香斗亜春乃さくらトップコンビ大劇場お披露目となる「PAGAD/Sky Fantasy!」は、翌日以降の公演が全日程休止となる[5]

自死した生徒の遺族側は、新人公演のまとめ役だった当該生徒に対して、劇団が過剰業務を課し、宙組上級生が執拗に叱責したことがパワーハラスメントに該当すると主張し、劇団側に意見書を提出[6]。謝罪を求めた[6]。劇団側は同年11月に調査報告書を公表し、過重労働など劇団側の過失は認めたが、劇団員によるいじめやパワハラは「確認できなかった」とした[7][8]。また会見で村上浩爾専務理事[注釈 1]が「(いじめがあったと言うなら)証拠を見せていただきたい」と発言し、物議を醸した[7][8]

2024年3月28日、遺族と宝塚歌劇団、親会社の阪急阪神ホールディングス阪急電鉄との間で合意書が締結されたことを発表[9]。遺族側が訴えた15項目のパワハラの内、14項目について認め、阪急阪神HDの角和夫会長が遺族に直接謝罪したことを説明[9]。パワハラには宙組上級生7名、劇団プロデューサー2名、演出担当者1名の少なくとも10名が関わっており、このうち6名が遺族に謝罪文を提出したとした[注釈 2][9]。村上浩爾理事長は「劇団がしっかりとハラスメント教育をしなかったことが原因」とし、宙組上級生については処分しないことを明言した[10]。同日をもって、死亡した生徒の公式プロフィールが劇団ホームページから削除された[11]

同年6月より9か月ぶりに宙組が特別公演「Le Grand Escalier」で再始動[12]。ファンからは「一周忌が終わるまでは休止すべき」との疑問の声や、再開初日に追悼の意を表さなかったことへの批判の声があがった[12]

組の体制

在籍中の宙組生徒一覧

男役

娘役

歴代トップスター

歴代トップ娘役

歴代組長

歴代副組長

  • 出雲綾(1998年1月1日 - 2002年6月23日)
  • 貴柳みどり(2002年6月24日 - 2005年4月3日)
  • 寿つかさ(2005年4月4日 - 2008年5月18日)
  • 鈴奈沙也(2008年5月19日 - 2014年7月27日)
  • 美風舞良(2014年7月28日 - 2021年5月10日)
  • 松風輝(2021年5月11日 - 2023年6月11日)
  • 秋奈るい(2023年6月12日 - )

宙組出身のトップ

宙組出身のトップスター

宙組在籍経験のあるトップスター

  • 湖月わたる(元星組トップスター、2006年退団)※星組出身
  • 朝海ひかる(元雪組トップスター、2006年退団)※花組出身
  • 水夏希(元雪組トップスター、2010年退団)※月組出身
  • 蘭寿とむ(元花組トップスター、2014年退団)※花組出身
  • 北翔海莉(元星組トップスター、2016年退団)※月組出身

宙組出身のトップ娘役

宙組在籍経験のあるトップ娘役

  • ふづき美世(元花組トップ娘役、2005年退団)※花組出身
  • 彩乃かなみ(元月組トップ娘役、2008年退団)※花組出身

宙組出身のスター

宙組出身の男役

宙組在籍経験のある男役

宙組出身の娘役

宙組在籍経験のある娘役

脚注

注釈

  1. ^ 現理事長。
  2. ^ その後、在団生に関しては全員提出したと報告。
  3. ^ 専科へ異動。
  4. ^ 2002年6月23日まで副組長と兼務。

出典

  1. ^ スター”. 宝塚歌劇公式ホームページ. 2017年11月4日閲覧。
  2. ^ 新生宙組、お披露目公演に向けて“エンジン全開!”. チケットぴあ (2015年5月27日). 2017-11-07<!時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月4日閲覧。
  3. ^ 平成23年度(第66回)文化庁芸術祭賞受賞一覧(参加公演)” (PDF). 文化庁. 2013年2月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年1月12日閲覧。
  4. ^ a b 「精神的に崩壊している」“タカラジェンヌ飛び降り事件”有愛きい(25)が死の前日、母に送った“悲痛メッセージ”「9月28日夜にはマンションから…」【宙組では複数の出演者の体調不良が判明】 文春オンライン。
  5. ^ 【宝塚】組替え中止に劇団も「近年では記憶にない」と異例認める ファンも「初めてでは?」 日刊スポーツ。
  6. ^ a b 宝塚歌劇団員死亡 遺族側「主要なパワハラは15ある」 LINEやり取りなど劇団に提出した証拠公表 神戸新聞NEXT。
  7. ^ a b 宝塚が一転〝パワハラ認める〟歌劇団員急死、上級生らが遺族に謝罪へ 演劇関係者「当初は窮地に追い込む〝勇み足〟も」 夕刊フジ公式サイト。
  8. ^ a b 阪急阪神HDの首脳陣謝罪へ 宝塚劇団員急死で遺族側に 産経ニュース。
  9. ^ a b c 宝塚転落死娘役の遺族側弁護士、パワハラ行為10人の内訳明かす「謝罪文提出したのは6人」幹部上級生ら個々に直筆で スポーツ報知。
  10. ^ 宝塚歌劇団「ひとりひとりに責任を負わすのはあまりにも重い」 宙組娘役死去で「劇団の責任」 スポーツ報知。
  11. ^ 宝塚 死亡の宙組劇団員プロフィル ホームページからも削除 合意書締結後 デイリースポーツ。
  12. ^ a b 宝塚歌劇宙組パワハラ上級生の遺族側への謝罪文は「在団生は全員、提出させていただいた」…理事長が説明 スポーツ報知。

外部リンク