大垣市民病院
大垣市民病院(おおがきしみんびょういん)は、岐阜県大垣市にある医療機関。大垣市病院事業の設置等に関する条例(昭和41年12月23日条例第21号)に基づき大垣市が運営する公立の病院である。1933年(昭和8年)に開設された大垣市立診療所を前身とする。 概要大垣市民病院は診療科30科・病床数871床(一般771床、結核40床、感染6床)を有す岐阜県下最大規模の病院であり、自治体の運営する病院としては病床数で全国10位(公立医科大学の附属病院を除けば8位)の規模である[1]。日本医療機能評価機構認定病院。臨床研修指定病院。救急指定病院として岐阜県知事により告示されている。 西濃医療圏において500床以上の病床を持つ唯一の大規模病院であるため大垣市外からの来院者も多く、外来診療や一般病床は常に非常に混雑している[注釈 1]。特に救命救急センターは年間約7,500台の救急搬送・約50,000人の救急外来を受け入れており[2]、東海地方のみならず全国トップクラスの忙しさとなっている。急性期医療において特に患者の多い小児医療に関しては、時間外でも本院の小児科医が日直・当直によって24時間診療を受け持つほか、毎週土曜・木曜の夜間に関しては大垣市の事業として救命救急センター内に小児夜間救急室(一次救急医療)が設置されている。 産科を中心とした出産・新生児医療においては、本院は2008年2月1日より地域周産期母子医療センターに指定されており、岐阜県の周産期医療体制のなかでハイリスク出産を引き受ける三次医療機関としての役割を担っている[3]。また日本でも先駆けて導入されたNICU(新生児特定集中治療室)での新生児心臓病治療や小児循環器医療・新生児医療を中心領域とする第二小児科の設置など先進的な取り組みがなされており、新生児心臓病の外科治療においては東海地方屈指の治療実績を有している[4]。しかしその一方で、西濃地域唯一のNICUを持ち、滋賀県北部など他県からの搬送も受け入れる[5]など近隣地域のハイリスク出産が本院に集中する状況(年間分娩取り扱い500~600件、うち150~200件が救急搬送による分娩[6])になっているが、NICUの数に比してNCU(新生児治療室)の数が少なく受け入れ態勢が万全であるとは必ずしもいえない。 また、2020年より小児外科常勤医師が不在となり、非常勤務医による診療となっているため、予定手術は現在も行っているが、緊急手術や新生児外科手術は手術ができる施設に搬送している。現在県内で小児外科常勤医師が勤務し、手術に対応しているのは岐阜県総合医療センター1名、長良医療センター2名、岐阜大学病院2名のみである。 そのほか診療面の特徴として、本院は病院の規模が大きく手術数が全科的に非常に多くなっている。脳神経外科においては近隣に常時手術を行える病院がないため、緊急の場合には西濃地域のみならず三重県北部や滋賀県北・東部から搬送されてくることも少なくない[7]。循環器科に関しては虚血性心臓病の症例数が非常に多く名古屋大学関連病院としては最多、全国でも有数の症例数となっている[8]。形成外科に関しては本科自体の設置病院数が少ないことと常勤医3名という充実した診療体制もあり、診療圏は滋賀県東部から岐阜・中濃地域、愛知県西部にまで至っている[9]。また癌診療においては地域がん診療連携拠点病院に指定されており胃がん・直腸がん・結腸がんなど消化器系の癌においては、いずれも全国でも最多クラスの症例数となっている[10]。内科分野に関しては、血液内科において無菌室が7室備えられているほか、化学療法や造血幹細胞移植など高度な診療水準となっている。また呼吸器科に関しては、1996年より近隣の医療機関と協力して西濃喘息研究会を立ち上げ、西濃地域における喘息での死亡者数を0に近づける努力が行なわれている。そのほか放射線照射に関しても日本でもトップレベルの実施数となっている[11]。そのほか地域災害医療センター・小児救急医療拠点病院・第二種感染症指定医療機関・西濃地域リハビリテーション広域支援センターなどの指定を受けており、西濃地域の基幹病院としての重責を負っている。 設備面においてはMRIやSPECT、マンモグラフィなど多数の高度医療機器を備えている。施設面においては、1982年から順次進めてきた管理棟・病棟の改築が3病棟の竣工をもって完成しており、この際にがん化学療法を外来で行う「通院治療センター」(全国最大規模)や東海地方最大級の輸血センターなどの高度な医療設備、災害医療・救命救急対策としてヘリポートの整備などが行われた。ICUやNICUなどの各集中治療室はいずれも岐阜県で最大規模の病床数を有しており、救急医療・高度医療に対応している。外来患者が多いことに対応して、周辺には大小かなりの数(第55駐車場まで、欠番が多いので実際には28ヶ所)の駐車場が整備されている。また2007年1月から外来診療において、同年2月からは病棟においても電子カルテが導入されておりIT化が進められている。そのほか敷地内には職員向けに院内保育園も設置されている。また、岐阜県結核予防計画に基づく結核病床を有する病院である。他に県内では長良医療センター、羽島市民病院、岐阜県立多治見病院、白鳥病院など当院を含めて9病院が指定されている。 そのほかの特徴としては、医療ソーシャルワーカーの配置されたよろず相談センターが設置されており、医療相談や福祉相談を受け付けているほか、地域医療の担い手として同センター内に地域連携部門を設けるなど病診連携にも積極的である。また小児病棟には大垣市立南小学校・南中学校の分校として院内学級「こぶし学級」が設置されており、長期入院患者の学習環境をフォローしている。なお本院は敷地内は全面禁煙となっている。 経営面の特徴として、全国的に自治体経営病院が赤字に苦しむなかで、大垣市民病院においては純利益約10億円・利益剰余金約67億円・医業収支比率約107%(平成17年度決算値)と全国有数の優良経営病院となっている[12]。その反面で前述の通り混雑が常態化しており、市民の中には混雑解消への対策を望む声もある。しかしその一方で本院でも救急外来などを中心に安易な受診が散見されるなど、限られた医療資源の中で利用する側にも慎重になるべき点があるといえる。 沿革
組織概要診療部
救急・集中医療部
健康管理部
薬剤部
医療技術部
看護部
事務局
診療科専門外来
小児夜間救急室大垣市における小児一次救急医療の充実のために2004年(平成16年)に開設された施設。大垣市民病院1階に併設されており、大垣市医師会に所属する小児科医師もしくは小児科標榜医が持ち回りで当番をして診察にあたっている。本救急室では一次救急医療を担っており、二次救急医療を必要とされるような症状や救急搬送などの症例の場合には大垣市民病院の小児科医が診療にあたっている。大垣市の事業ではあるが、大垣市周辺の市町村からの受診者も多くなっている。従来は土曜日のみの診療であったが、2007年(平成19年)の4月より大垣市外の医師も加わり木曜日の診療も開始した。 所在地
受付時間
沿革交通アクセス最寄りのバス停
大垣駅からのアクセス
脚注注釈
出典
参考文献
外部リンク |