壁のなかの時計
『壁のなかの時計』(かべのなかのとけい)または『ルイスと不思議の時計』(ルイスとふしぎのとけい、原題:The House with a Clock in Its Walls)は、アメリカ合衆国の作家ジョン・ベレアーズによる児童向けのゴシックホラー・ファンタジー小説。本国では1973年に出版され、挿絵を絵本作家・イラストレーターのエドワード・ゴーリーが手掛けている[1]。 ルイス・バーナヴェルトを主人公とするシリーズの第1作目であり、世界を破滅させる力を持った時計をめぐって主人公が魔法使いと戦うさまを描いている。 後の評価という感じではあるが「ハリーポッターシリーズ」の作者J・K・ローリングスはこの作品を原点として作ったともいわれている[3]。 あらすじ舞台は1948年。両親を亡くし孤児となった少年ルイスは、ミシガン州にあるニューゼベディー(New Zebedee、架空の町)に住む叔父のジョナサンに引き取られ、彼の屋敷で暮らすことになる。 ルイスは自分を迎え入れてくれたジョナサンを気に入り、間もなく隣人のツィマーマンとも知り合うが、二人はルイスに自分たちが魔法使いであることを明かす。 彼らは前の持ち主が屋敷のどこかに隠した世界を終わらせる力を持つ時計を見つけ、破壊するという使命を負っていたのだった[4]。 ある日ルイスは転校先の学校で仲良くなった少年タービーの気を引くために、ジョナサンの魔術書に書かれていた死人を蘇らせる呪文を唱えたことにより、図らずも魔女セレーナを蘇らせてしまう。 彼女はかつて屋敷の前の持ち主であった魔法使いアイザック・イザードの妻であり、イザードは世界を終わらせる時計を生み出した邪悪な魔法使いだったのである。 死から蘇ったセレーナが夫の代わりに時計を動かして世界の破滅をもたらそうとしていることを知ったルイスは、ジョナサンとツィマーマンの二人と協力して彼女を倒し、時計を破壊。 かくして世界の破滅は無事免れたものの、この一連の出来事によってルイスはタービーから絶交されてしまう[4]。 やがてルイスは新しく隣人となった少女ローズと仲良くなり、またジョナサンとの生活に戻るのだった[4]。 登場人物
評価本作は、1973年11月にニューヨーク・タイムズが選ぶ『本年度優良図書』(Outstanding Book of the Year)の一つに選ばれている[5]。 続編本作の出版後はシリーズ化され、ベレアーズは続編となる2作品を執筆。1991年にベレアーズが亡くなってからは、ブラッド・ストリックランドが執筆を引き継いだ。その後シリーズは2008年に出版された『The Signs of the Sinister Sorcerer』で完結している。 ベレアーズの著作
ストリックランドの著作
翻訳2001年に『ルイスと魔法使い協会』のシリーズ名で三辺律子による翻訳版がアーティストハウスから8巻まで出版された。 その後、後述する映画版の日本公開に合わせて訳題を変更した新版が静山社より出版された。 旧版『ルイスと魔法使い協会』 (アーティストハウス出版)
新版 (静山社出版)
映画化→詳細は「ルイスと不思議の時計」を参照
2017年6月に本作の映画化が発表され、イーライ・ロスが監督を務めることが発表された。主演はジャック・ブラック、ケイト・ブランシェットらが務め、アメリカでは2018年9月21日に公開された[1][7]。 脚注
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