『地獄のロックファイアー』(Rock and Roll Over)は1976年にキッスが発売した5枚目のスタジオ・アルバムである。
解説
ボブ・エズリンがプロデュースした前作『地獄の軍団』で新境地を開拓したキッスが、それ以前に発表したアルバム[注釈 1]で披露した自分達の原点とも呼ばれるべきワイルドなロックンロールに立ち返って制作した作品。出世作となった2枚組アルバム『地獄の狂獣 キッス・ライヴ』[注釈 2](1975年)をプロデュースしたエディ・クレイマーを再度起用した。
レコーディングは1976年9月、スタジオではなくニューヨークのスター・シアターを借り切って行われた。前作とは異なり、参加したミュージシャンはメンバー4人だけだった[注釈 3]。
本作には第1期メーク時代の代表曲に挙げられる曲が多く含まれている。『地獄の軍団』から次作『ラヴ・ガン』(1977年)までの収録曲のライヴ演奏を収録した『アライヴ2』(1977年)には、本作の全収録曲の半分に相当する5曲が選ばれた。オリジナルLPには、アルバムジャケットのイラストをそのまま使用したステッカーが付属していた。
ビルボード・アルバム・チャート11位を記録。ダブル・プラチナ・ディスクを獲得した。ポール・スタンレー作のアコースティック・ギターによるバラード「ハード・ラック・ウーマン」は、『地獄の軍団』からシングル・カットされて大ヒットした「ベス」に続くピーター・クリスのリード・ヴォーカルで、シングル・カットされ全米15位まで上昇した[1]。
収録曲
- いかすぜあの娘 - I Want You [3:04] 作詞/作曲:ポール・スタンレー
- リードヴォーカルはスタンレー。最初のギターソロはスタンレー、二回目のギターソロはエース・フレーリーによる。
- 『アライヴ2』の選曲。静かで優しげな弾き語りから激しく転調する。
- 燃える欲望 - Take Me [2:56] 作詞/作曲:ポール・スタンレー、ショーン・デラニー
- リードヴォーカルはスタンレー。
- 『アライヴ2』の選曲からは外れたが、1996年に発表されたライヴ・テイク集"You Wanted the Best You Got the Best"に収録。
- 悪魔のドクター・ラヴ - Calling Dr. Love [3:44] 作詞/作曲:ジーン・シモンズ
- リードヴォーカルはシモンズ。
- 『アライヴ2』の選曲。ヘヴィメタル期、再結成メーク期を通じて演奏された[注釈 4]ヘヴィ・ロックンロール[2]。「雷神」とならぶシモンズの代名詞。
- 熱きレディズ・ルーム - Ladies Room [3:27] 作詞/作曲:ジーン・シモンズ
- リードヴォーカルはシモンズ。
- 『アライヴ2』の選曲。
- 激烈!ベイビー・ドライヴァー - Baby Driver [3:40] 作詞/作曲:ピーター・クリス、スタン・ペンリッジ
- リードヴォーカルはクリス。
- 弱起から始まるのが特徴のロック・ナンバー。
- 愛の絶叫 - Love 'Em and Leave 'Em [3:46] 作詞/作曲:ジーン・シモンズ
- リードヴォーカルはシモンズ。
- プロモーション・ビデオが撮影された。
- 情炎!ミスター・スピード - Mr. Speed [3:18] 作詞/作曲:ポール・スタンレー、ショーン・デラニー
- リードヴォーカルはスタンレー。
- 悪夢の出来事 - See You in Your Dreams [2:34] 作詞/作曲:ジーン・シモンズ
- リードヴォーカルはシモンズ。
- シモンズが初のソロ・アルバム(1978年)で、リック・ニールセンをゲストに迎えてカヴァー。
- ハード・ラック・ウーマン - Hard Luck Woman [3:34] 作詞/作曲:ポール・スタンレー
- リードヴォーカルはクリス。
- スタンレーがロッド・スチュワートに歌ってもらおうと作った曲。
- 果てしなきロック・ファイヤー - Makin' Love [3:01] 作詞/作曲:ポール・スタンレー、ショーン・デラニー
- リードヴォーカルはスタンレー。
- 『アライヴ2』の選曲。
日本公演
本作発表後のツアーの一環として、翌1977年3月に初の日本公演が実現した。3月24日から4月4日まで、大阪、京都、名古屋、福岡、東京で10公演が開かれた。4月2日に日本武道館で昼と夜の2回行なわれた東京公演の模様はNHKによって録画され、夜の部を編集した映像が同年5月7日に総合テレビジョンの音楽番組『ヤング・ミュージック・ショー』で放映された[3]。
4月2日の公演の演奏曲目は下記の通りである[注釈 5]。
- デトロイト・ロック・シティ(Detroit Rock City)
- 燃える欲情(Take Me)
- レット・ミー・ゴー・ロックン・ロール(Let Me Go Rock 'N' Roll)
- 熱きレディス・ルーム(Ladies Room)
- ファイヤー・ハウス(Firehouse)
- 果てしなきロックファイアー(Makin' Love)
- いかすぜあの娘(I Want You)
- コールド・ジン(Cold Gin)
- ドゥ・ユー・ラヴ・ミー(Do You Love Me)
- ナッシング・トゥ・ルーズ(Nothin' To Lose)
- 雷神(God Of Thunder)
- ロックン・ロール・オール・ナイト(Rock And Roll All Nite)
- 狂気の叫び(Shout It Out Loud)
- ベス(Beth)
- ブラック・ダイヤモンド(Black Diamond)
※13以後はアンコール。
※下線は『ヤング・ミュージック・ショー』で放映された曲を示す。
後日、「ミュージック・ライフ」などの音楽雑誌にアルバム『ロックン・ロール・パーティー・イン・トーキョー[信頼性要検証]』の発売予告が掲載された。しかし同アルバムは2024年12月現在に至るまで未発表である。
2006年に発表された編集DVD"Kissology: The Ultimate Kiss Collection Vol. 1 1974-1977"に、"Budokan Hall, Tokyo, Japan 4/2/77"が収録された[4]。
脚注
注釈
出典
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現メンバー | |
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プロデューサー | |
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関連項目 | |
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