名古屋市都市景観重要建築物等名古屋市都市景観重要建築物等(なごやしとしけいかんじゅうようけんちくぶつとう)とは、名古屋市が都市景観条例に基づき指定した建築物・工作物・樹木・樹林の総称。 本項では、制度の根拠条例である都市景観条例の運用上一体とされている都市景観重要建築物・都市景観重要工作物・都市景観保存樹・都市景観保存樹林について扱う。 概要名古屋市都市景観重要建築物等は、名古屋市内において太平洋戦争の戦災を乗り越え現在まで残っている都市景観に深みと個性をもたらす歴史的建造物などを、都市景観形成上重要な役割を担っているものとして名古屋市都市景観条例に基づき名古屋市長が指定するものである[1]。総じて地形の変化に乏しい名古屋市においては、これらの建築物・工作物・樹木・樹林を維持していくことは地域の景観における象徴として重要な意味を持っているものとも言える[2]。 制度開始当初は建築物・工作物が指定を受けており「都市景観重要建築物・工作物」としての制度運用であったが[注 1]、第5回指定物件(1995年2月27日付)からは樹木や樹林についても指定が行われるようになり、以後は指定を受けた都市景観重要建築物・都市景観重要工作物・都市景観保存樹・都市景観保存樹林を総称して都市景観重要建築物等として扱われている[3]。1989年(平成元年)から1996年(平成8年)に6回にわたり計61件の物件が指定され[注 2]、うち5件についてはその後指定が解除されたため、2021年1月現在では56件が指定されている[3]。 名古屋市都市景観条例都市景観重要建築物等指定制度の根拠条例となる名古屋市都市景観条例(昭和59年3月26日 条例第17号)[4]は、都市空間は全名古屋市民の共有財産との認識の元で、名古屋の街をより美しく魅力あふれるものとし次世代に引き継いでいくことを目的として制定された[4]。同条例に基づく名古屋市都市景観基本計画、および同計画を上位計画とし景観法(2005年6月1日施行)に基づく名古屋市景観計画に従い制度運用されている[5]。同条例はその後計4回の改正を受け、2014年11月現在における最新の条例は2011年5月17日付の条例第30号である。 名古屋市都市景観条例においては「建築物」「工作物」「樹木」「樹林」を都市景観重要建築物等の指定対象としている。「建築物」と「工作物」の差異については、「建築物」を「建築基準法に定める建築物(橋梁等を除く)」、「工作物」を「土地・建築物に定着・継続設置される物のうち建築物・広告物等以外のもの」としている。 名古屋市長による指定は、当該物件に関しての名古屋市広告・景観審議会の見解を聴き、物件所有者等の同意を得た上で行われる[1]。同条例により都市景観重要建築物等の指定を受けた物件の所有者らは、当該物件の現状維持管理を義務付けられ、物件に関して現状変更や所有権移転などを行う際は市長への届出が必要となるなど一定の負担を負うこととなる[1]。その一方で物件の維持管理にかかるコストの一部についての助成を市から受けることができることとなる[1]。 一旦指定を受けた物件が指定解除となる理由としては「滅失・枯死等による都市景観形成上の価値喪失」「公益上の理由その他特別の理由」「景観重要建造物・景観重要樹木への指定」がある[4]。2014年11月現在で指定解除となった3件はいずれも「滅失による都市景観形成上の価値喪失」による指定解除である。 指定物件名古屋市の各行政区別に見た指定件数は以下のとおり。2016年7月現在、名古屋市の行政区16区のうち、港区・名東区・天白区には指定を受けた物件はない。
注意点:指定解除となった物件はカウントしていない。複数の行政区にまたがる物件(例:五条橋)については、それぞれの行政区に1件ずつカウントした。なお、1指定で複数の対象物件が指定されている場合(例:興正寺総門・中門・五重塔)も1件としてカウントしている。 各回における指定物件は以下のとおり。各指定物件の詳細については、個別記事および名古屋市サイト内「都市景観重要建築物等指定物件」を参照されたい。 第1回1989年11月1日付指定。 第2回1991年10月4日付指定。
第3回1992年10月5日付指定。
第4回1993年10月12日付指定。
第5回1995年2月27日付指定。
第6回1996年2月27日付指定。
脚注注釈出典
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