句点。
句点(くてん)は、日本語・中国語の文書で、文の終わりに打たれる約物である。通称マル。 句点にはマル「。」と終止符「.」の2形がある。句点とは本来、形ではなく機能を説明した語であり、文の終わりであれば「。」「.」のどちらをも含むが、ここでは主にマル「。」について述べる。 用法
「。」と「.」の使い分け日本語では、縦書き文書では文の終わりにもっぱら「。」が用いられるのに対して、技術論文をはじめとした横書き文書では全角の「.」も用いられる[1][2]。 両者に意味の違いはない。少なくとも一文書中ではどちらか一方のみを使用する。上記の出典元である電子情報通信学会などの学会や、専門誌などでは、どちらを使用するか全記事で統一することが多い。 なお、日本語文の句読点に全角の「,」と「.」を使う場合であっても、文書内に英文が埋め込まれる際、通例その英文中では英数字用の(半角の)「,」と「.」が使われる。 この使い分けは読点が「、」か「,」かとは必ずしも一致せず、「、。」「,.」「,。」「、.」の全ての組み合わせがある[3][4]。Microsoft IMEやATOKといった日本語入力に対応したソフトウェアでは、既定の句読点の組み合わせを設定できるようになっているものもある[5]。 句点の省略詩、歌詞、短歌、俳句などの類ではほとんどすべての場合、句点がすべて除かれて記述される。 詩で、句点や改行の代わりに「/」が使われることがある。 例:「鏡よ鏡よ鏡さん/世界一の美人は誰かしら/そこまで自信はないけれど」 新聞のコラムや雑誌の編集後記では、省スペースのため、段落の区切りで普通使われる句点と改行に代えて「▼」が使われることがある。 手紙や挨拶文では、古来、句読点を除いて書かれていた伝統が息長く続き、除かれることが多い。現代では読みやすさが重視されて、記述されるケースが徐々に増えている。 疑問符「?」(ハテナ)や感嘆符「!」(ビックリ)の後ろには句点を付けない。改行せずに新たな文が続くときは「食すべきか、痩せるべきか? それが問題だ!」のように間に空白を入れる。 現代における絵文字や顔文字については、文末に付けるという用法が共通していることからか、疑問符・感嘆符と同様に句点は省略される。 ダッシュ記号「──」の後ろで改行するときは句点を付けないことが多い。 リーダー記号「……」の後ろには「やっぱり食べよう……。」のように句点を付けることが多い。なお、出版業界では三点リーダー「…」を単独で用いるのではなく、2回続けて「……」とする用法が一般的とされている[6]。 インターネット上(主に5ch界隈)では、「…」の変種として、「食べてしまった弱い私。。。」のように句点を連続した「。。。」というくだけた記法が見られる。 句点と閉じ括弧が連続する「。)」の場合に、句点が省略されて「)」だけになることがある。たとえば、 「好物(私の場合は食べ物すべて好物だ。)を目の前にするとたまらない。」 の「。)」を「)」だけにするケースである。 日本エディタースクール編『文字の組方ルールブック タテ組編』によれば、「。)」について、文章が続くとき(短い注釈、引用等)ときは句点を省くほうがよく、文章が切れるとき(会話文等)は省かないほうがよいとされる。 ただし、現代はどちらの場合も句点を省略することが多い[7]。 次に句点と開き括弧が連続する「。(」の場合について述べる。文がうしろに別の文群を括弧で括って伴うとき、「《文》。(《文群》。)」とも書くが、文2が文1に従属している感じが強ければ「《文》(《文群》。)」として句点をまとめる。すなわち、「。(」を「(」だけにする。 例:「食べても太らない薬を発明して欲しい(既にあるかもしれないが。)」 法令は一般の文章の傾向と異なり、括弧内が文であるがそこで文章が切れていない場合にも、句点を省略しないことが多い。 例(特許法第二条): 「物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、」〔以下略〕 また、これは法令に限らないが、項目の箇条書きでは句点を除くことが多い。句点を付ける場合もある。 句点を付けていない箇条の例(特許法第二条): 「二 方法の発明にあつては、その方法の使用をする行為」 句点を付けている箇条の例(特許法第十七条): 「一 手続が第七条第一項から第三項まで又は第九条の規定に違反しているとき。」 いずれにしても、ひとまとまりの箇条書き中に、句点で終わっている箇条と句読点でない文字で終わっている箇条とが混在しない書き方にしたほうが美しい。 (間違いではないが)美しくない例
美しい例
タイポグラフィ日本横書きでは文字の高さの中で下端におかれ、モノ組みおよび等幅フォントの場合は左下におかれる。縦書きでは文字幅の中で右端に寄せて、モノ組みおよび等幅フォントおよび原稿用紙などでは右上に打たれる。 印刷物では、句点は二分(横書きなら幅が半分、縦書きなら高さが半分)で、その後を二分アキとし、合わせて一分(通常の正方形の文字サイズ)とする[3][8]。 コンピュータのフォントの場合、等幅フォントでは、通常の和文字と同様に正方形のセルの中で、横書きならその左下、縦書きならその右上に「。」が打たれる。印刷物と対比すると、句点のあとの二分アキも含まれていることになるので、後にさらにスペースを入れることはしない。横書きと縦書きでは表示が異なるがJIS X 0208などではコードポイントは同じなので、レンダリングエンジン(表示ソフト)が判断して表示を制御しなければならない。ただし、環境によっては縦書きの字形を「︒」でもっている文字コードなどがありそちらを区別して使用することもある。 半角文字と空白を使った「. 」と全角文字「.」の使い分けは面倒で見分けも難しいが、執筆者に厳密に統一を要求する場合もある。 閉じ鍵括弧の《」》および《』》が句点の直後にくる場合、右図のようにひとつの枡に表記することがある。 中国台湾と香港台湾と香港では句號と呼び日本や中国本土と違い、正方形のセルの中央に円を打つ。日本語のナカグロ「・」と同様である[10]。 コンピュータの場合、日本・中国の句点と台湾の句点は統合され同じコードポイントが割り当てられているので、言語タグなどの書式情報で、表示を制御する必要がある。 歴史中国では古くからテンやマルが句切り記号として使われていたが、その使い方は一定せず、点を打つ位置によって句点と読点を区別したり、句点と読点の区別がなかったり、また句読点自体が印刷されておらず、読者の側で句読を切る必要のあるものもあった。清末に西洋風のコンマ・コロンなどの句切り符号が導入され、マルは句点としてのみ使われるようになった。 日本でも古くは中国と同様であり、明治以降活版印刷が行われるようになって以降、欧文の翻訳文への終止符・疑問符・感嘆符の替わりとして使用されはじめ、純粋な日本語文書にも定着した。しかし大正新脩大蔵経のような書物ではマルのみが使われている。 句点を含む名称句点は文章中に用いられるものであり、固有名詞やタイトルに句点が含まれる事はあまりなかった[11]。1980年代に糸井重里が「じぶん、新発見。」(1980年、西武百貨店の広告)、「不思議、大好き。」(1981年、西武百貨店)、「おいしい生活。」(1982年、西武百貨店)などのキャッチコピーに句点を使用したことがきっかけとなり、作品のタイトル等にも句点を用いることが流行した。1990年代のモーニング娘。の登場以来、芸名やグループ名などに句点を用いる例が増えた。2012年の衆議院選挙では、各政党のキャッチコピーに頻繁に使われた[12]。
句点で始まる名称通例、日本語には句点で始まる言葉はないが、インターネットの普及以後、英語圏ではドメイン名を起源として、ピリオド「.」で始まる固有名詞(ドット〜)がいくつか作られており、日本語でも外来語として定着したり、固有名詞に用いられたりすることもある。 符号位置
半角句点「。」は、いわゆる半角カナの範疇に含まれる。 脚註
関連項目
外部リンク |