乗鞍スカイライン
![]() 乗鞍スカイライン(のりくらスカイライン)は、岐阜県高山市丹生川町の平湯峠と乗鞍岳畳平を結ぶ山岳観光道路である[1]。岐阜県道5号乗鞍公園線の一部となっている。11月1日から5月14日までは積雪のため通行止め[2]、開通期間はマイカー規制が行われており一般車両は通行できない[2][3]。 概要![]() ![]() (夏期の逆側) ![]() 標高1,684 mの平湯峠を起点とし、標高2,702 mの畳平を終点とする[4]、岐阜県東部の乗鞍岳に向かう延長14.4 kmの山岳観光道路であり[1][5][6]、かつては岐阜県道路公社が管理する有料道路であったが、2003年(平成15年)4月1日に無料開放された[7][注釈 1]。 日本一の高度を走ることのできる雲上のスカイラインとして名高く、景観も格別で、夏季は観光客のマイカーで溢れかえり渋滞が続いていた[8]。付近は高山植物の宝庫でもあることから、マイカーによる著しい排気ガスによる自然破壊の進行が問題となっており[6]、さらにはマイカー客による高山植物の摘み取り行為やゴミの持ち込み行為[9]、鳥類など動物への威嚇行為(マイカー客が連れ込んだペットによる威嚇も含む)などの問題もあり、自然保護が叫ばれていた。 乗鞍岳は中部山岳国立公園の「特別保護地区」に指定されており、この渋滞解消と自然保護の観点から、有料道路期間満了に合わせて乗鞍自動車利用適正化協議会を設立し[10]、2003年(平成15年)5月15日から全面的にマイカー規制が実施され[3][4][6][9]、一般車両は通年走行することができなくなった。 路線データ
沿革
路線状況乗鞍スカイラインの利用状況は、1997年(平成9年)が194,631台、1998年(平成10年)が196,593台、1999年(平成11年)が209,188台、2000年(平成12年)が226,263台、2001年(平成13年)が239,031台だった[5]。2003年(平成15年)からマイカー規制の実施が決定したため、2002年(平成14年)は「マイカー登山ラストイヤー」として5月15日の開通式以降、各地から予想を遙かに超えるマイカー利用者が殺到し、9月23日時点で過去最高だった1990年(平成2年)の276,785台を突破し、最終的には365,507台を記録した[16]。 冬季閉鎖があり、10月下旬から5月中旬まで(運用上は11月1日から5月14日まで)の期間は通行することはできない[2][26]。マイカー規制のため、一般車両の乗り入れは禁止されており、乗り入れを認める車両は、バス(乗合バス、貸切バス、乗車定員11人以上の自家用バス)、タクシー、緊急車両、自転車及び警察署長の許可を得た車両のみである[3][6][26]。このため、通行する自動車は皆無に近い状況であるが、マウンテンサイクリングには絶好の道路であり、自転車で往来する自転車ヒルクライマーがよく見られる[26]。 有料道路時代は長らく自転車の通行は禁止されていたが、2003年(平成15年)からは自転車の通行が許可された[3]。2004年(平成16年)からは乗鞍スカイライン・サイクルヒルクライム(自転車ロードレース)が開催されている。 規制いずれも全線(平湯峠ゲート・鶴ヶ池ゲート間)で規制される。 山頂駐車場終点には乗鞍鶴ヶ池駐車場(畳平駐車場)がある。乗鞍スカイラインおよび乗鞍エコーライン(長野県道84号乗鞍岳線)がマイカー規制されているため、これらを通行可能な車両が駐車する際には駐車料金と合わせて乗鞍環境保全税が徴収される(特別車両及び緊急車両は除く)[28]。岐阜県の指定管理者制度により、乗鞍国際観光株式会社が乗鞍鶴ヶ池駐車場の管理業務を行っている[29]。
路線バス運行ダイヤ・運賃の詳細は、濃飛バスの公式サイトを参照[4]。 乗鞍スカイラインへは、濃飛乗合自動車(濃飛バス)の路線バスが連絡している。かつてはアルピコ交通(松本電鉄バス)との共同運行となっていたが[31]、現在は濃飛バスの単独運行となっている。平湯バスターミナルからほうのき平駐車場(マイカーはここに駐車することになる)を経由して畳平までを結び[6]、片道約1時間10分(ほうのき平からは約45分)で運行されている[4][6][26]。 通行料金(有料道路時代)2002年(平成14年)当時の通行料金(片道)[32][注釈 5]。
道路施設2020年(令和2年)7月7日、令和2年7月豪雨によって平湯峠ゲートにほど近い箇所で路側崩壊が発生して通行止めとなった[1][19]。そのため、谷側の崩落斜面の地山補強と山側斜面の開削を行い、2021年(令和3年)7月22日に片側交互通行で仮復旧した後、谷側崩落個所に擁壁工を施行して復旧工事が完了したが、2022年(令和4年)9月9日に復旧箇所の擁壁が崩落して再度通行止めとなった[21]。被災箇所に仮設道路と仮橋を設置して2024年(令和6年)8月20日に一部片側交互通行で仮復旧を行った。 この間、改めて被災箇所周辺の地質調査を実施したところ、地下水の影響で岩盤の風化が進んでいるうえ、被災箇所周辺に大小の崩落跡地が多数存在していることから、被災箇所における復旧工事は不適当と判断し、被災箇所及びその前後の脆弱区間を迂回するルート(トンネル)が妥当と判断した[33][34][35]。 復旧延長は約800 m(アプローチ部約100 m×2+トンネル約600 m)で、第3種第3級、設計速度40 km/h、道路幅員7.5 m(車道3.0 m×2+路肩0.75 m×2)の2車線道路で、縦断勾配を8.5 %とする[35]。2024年(令和6年)8月10日に乗鞍公園線乗鞍トンネル工事の安全祈願祭が行われた[36]。 トンネルの標高は最低地点が1770 m、最高地点が1820 mになるとされ、安房峠道路の安房トンネル(標高1373 m)を上回り、日本国内で最も高い国道120号金精トンネルの標高1843 mに匹敵する高さとなる[33]。 地理最高点の標高はおよそ2,710 m。終点畳平駐車場の標高は2,702 m[2][4][6]。なお、乗鞍岳畳平地域の公共交通機関の車両が走行する最高地点は、乗鞍スカイラインではなく長野県道84号乗鞍岳線(乗鞍エコーライン)の長野県・岐阜県県境地点の標高2,716 m地点で[31][39]、この地点が車両の走る道路としての日本最高地点であり[8]、日本の公共交通機関車両が到達できる最高地点でもある。桔梗ヶ原付近は長野県域を通行するため、全線が岐阜県に属しているわけではない(県道については岐阜県道5号乗鞍公園線を参照)。 森林限界を超えており、背の高い木は生えておらず、雲の上の景色を見ることができる[26]。山々のピークを避けながら緩やかなカーブが続くワインディングロードで、遠方には穂高連峰を望むことができる[26]。 ![]() 接続道路乗鞍スカイラインの区間と接続している道路は以下の通り。
脚注注釈
出典
参考文献
関連項目外部リンク
|
Portal di Ensiklopedia Dunia