メルセデス・ベンツ・SLKメルセデス・ベンツ・SLK(Mercedes-Benz SLK)は、ドイツの自動車メーカーであるメルセデス・ベンツ・グループがメルセデス・ベンツブランドで展開していたクーペカブリオレタイプのスポーツカーである。 3代目(R172)のフェイスリフトを機に、「SLC」へ名称が変更された[注釈 1]。したがって、SLKという名称は、2015年をもって消滅した。 概要Cクラスベースの2シーターライトウェイトオープンカーとして登場。 1994年、量産化に先行して試作モデルが発表された。1996年の生産開始に当たっては、カルマン社が生産を請け負った。 上位モデルのSL(5代目)と同様、メルセデス・ベンツとしては初めて「バリオルーフ」を搭載し、ルーフオープンの状態から作動時間28秒[注釈 2]でクーペ仕様に変わる。トランク容量はオープン時145L、クローズ時348Lである。 以前は、SLKクラス(SLK-Class)と呼ばれていたが、2015年の新規則による車名変更が適用され、名称が改められた。なお、ダイムラー・クライスラー時代にクライスラーブランドで販売したクロスファイアは、初代のプラットフォームを使用した派生車種である。 「CLK55 AMG」に代わり、2005年シーズンのF1セーフティカーとして採用された実績もある。 初代(1996年-2004年)R170日本市場では、1997年に「SLK230 コンプレッサー」と「SLK230 AMG」の販売が始まった。しかし、この年のモデルは前年度からの予約注文が殺到し、年度分が早々と完売になったため、この年の注文分は、翌年の1998年に納車というかたちになった。そのため一時は、ごく稀に出回った新古車がプレミアム価格で取引されていた。 2000年、マイナーチェンジ。「SLK230 AMG」が消失し、CクラスやEクラスと共通の3.2L V6エンジンを搭載する「SLK320」とAMGモデルの「SLK32 AMG」が新たに設定された。 また、「SLK320」をベースにAMG製のエアロパーツやアルミホイールを装着した「SLK320 スポーツライン」も用意された。 特徴・機構
主なモデル
2代目(2004年-2011年)R1712004年、モデルチェンジされ、2代目に移行した。エクステリアは、フロントエンドのデザインがSLRマクラーレンを連想させるものとなっている。サイズは4,082x1,788x1,298(mm)。 日本では、当初先代では売れ筋であった直列4気筒エンジン搭載モデルの導入が見送られ、新世代の3.5L V6エンジン(272)を積む「SLK350」とAMGモデルの「SLK55 AMG」が販売されていた。価格は672~960万円。 「SLK55 AMG」は専用のフロントグリルやAMG製のエアロパーツ、強化ブレーキ、パドルシフト、スポーツサスペンションを装備している。 2005年8月、3.0L V6エンジン(272M30)を搭載する「SLK280」を追加(価格は615万円)。 同時に「SLK350」は722万円に、「SLK55 AMG」は1,050万円に値上げされた。
2006年2月、直列4気筒エンジンを搭載した「SLK200 コンプレッサー」を追加。価格は552万円。 2006年、「SLK55AMG」にブラックシリーズを追加。世界限定120台で、日本へは正式に輸入されていない。 「SLK55 AMG」にセーフティカーに準じた強化パーツを組み込んだ「パフォーマンスパッケージ」(受注生産)が用意される。また、「SLK280」「SLK200 コンプレッサー」には大型のアルミホイールやスポーツサスペンションを装着した「スポーツパッケージ」、「SLK350」にはAMG製のアルミホイール、パドルシフトが装着される「AMG スポーツパッケージ」が存在する。 2010年4月19日、「SLK200 コンプレッサー」をベースに、designoグラファイトの外板色と「AMG スタイリングパッケージ」、18インチ5トリプルスポークアルミホイール、シルバーペイントエアインテークフィンなどを装備した特別仕様車「SLK 200 コンプレッサー Grand Edition」を発売(限定20台)。120万円相当の特別装備を施しながら、ベース車の50万円高に抑えた。SLK280は2008年5月のマイナーチェンジより輸入停止となった。
3代目(2011年-2016年)R172
2010年後半、約7年ぶりのフルモデルチェンジとして発表され、2011年の正式発売前の数カ月間、一部自動車雑誌向けにテスト車両が提供され、正式発売に評価が掲載された[1]。 “マジックスカイコントロール”などのいくつかの機能が、2010年10月と11月に先行して発表されるという異例の処置が取られた[2]。2011年1月、正式に発表[3]。エクステリアにおいては、フロントエンドのデザインがSLS AMGを連想させるものとなっている。 2011年9月のフランクフルトモーターショーで、最強モデル「SLK55 AMG」(172.745)と、歴代初となるディーゼルエンジン搭載車「SLK250 CDI BlueEFFICIENCY」(172.403)を発表[4]。SLK250 CDI BlueEFFICIENCYには、欧州向けの「Cクラス」や「Eクラス」にも採用されているOM611 2143cc直列4気筒ターボディーゼルが搭載され、最高出力204PS、最大トルク51kg・mを発生する。ディーゼル特有の力強いトルクのおかげで、SLK250 CDI BlueEFFICIENCYは、7速ATの7Gトロニックプラスとの組み合わせにより、0-100km/h加速6.7秒、最高速243km/hのパフォーマンスを発揮する。その一方、ディーゼルならではの高い環境性能を持つ。欧州複合モード燃費は20.41km/L、CO2排出量は128g/km。メルセデス・ベンツによると、スポーツカーでありながら、環境性能はサブコンパクトカーに匹敵するという。SLK55 AMGには、5,461cc V8 最高出力422PSのエンジンにAMGスピードシフトプラス 7Gトロニックが組み合わされ、こちらの欧州複合モード燃費は11.90km/L、CO2排出量は195g/km。バリオルーフの駆動は油圧で駆動される。ルーフの駆動に2本、トランクの駆動に2本、フロント側のルーフのロックに1本の合計5本の油圧ピストンシリンダーが使用される。油圧ポンプは室内の背面に設置されている。 日本での販売2011年5月18日、販売開始。「SLK 200 ブルーエフィシェンシー スポーツ」「SLK 200 ブルーエフィシェンシー」「SLK 350 ブルーエフィシェンシー」が導入された[5]。 2012年4月20日、3代目モデルの発売1周年を記念し、「SLK 200 ブルーエフィシェンシー スポーツ」をベースに、トランクリッドスポイラーリップや上級グレードの「SLK 350 ブルーエフィシェンシー」に採用されている17インチ10スポークアルミホイール、リアルタイムな道路状況に応じて常に最適なルートを案内するVICS3メディアを追加した特別仕様車「SLK 200 ブルーエフィシェンシー 1st アニバーサリーエディション」を発売。セットオプションとして、本革シート(ブラック・シートヒーター付)、エアスカーフ、エアガイド(アクリル製ピボット式ドラフトストップ)などをひとまとめにした「レザーパッケージ」を設定した。 2012年5月9日、「SLK 55 AMG」が導入された[6]。 2013年2月20日、2012年4月に発売した特別仕様車「SLK 200 ブルーエフィシェンシー 1st アニバーサリーエディション」が好評につき、「SLK 200 ブルーエフィシェンシー トレンド」に改名し、カタロググレードに昇格。併せて、坂道発進時の後退を防ぐヒルスタートアシストを装備した6速MT車「SLK 200 ブルーエフィシェンシー MT」を追加。日本市場におけるメルセデス・ベンツMT乗用車の正規輸入は190Eシリーズ以来21年ぶりとなった。いずれのグレードもより幅広いユーザーがスポーツカーの魅力を楽しめるように、これまでの既存グレードよりも安い490万円台の価格に設定されている。 同年8月7日、一部改良。「SLK 55 AMG」を除く全グレードで「ブルーエフィシェンシー」を省いたグレード名に改名するとともに、「SLK 200」・「SLK 350」は従来オプション設定だった「AMGスポーツパッケージ」を標準装備化、「SLK 200 スポーツ」はスポーツサスペンション、新デザインの18インチ5ツインスポークアルミホイール等を追加、「SLK 55 AMG」はオプション設定の「AMGハンドリングパッケージ」のホイール色をマットブラックペイントに変更した。 同年10月3日、「SLK 200」をベースに、オプションで人気が高い「レーダーセーフティーパッケージ(BASプラス、ブラインドスポットアシスト、PRE-SAFEブレーキ、レーンキーピングアシスト、ディストロニック・プラスで構成)」や季節や天候に関係なく開放感を味わえる「マジックスカイコントロールパノラミックバリオルーフ」をはじめ、パークトロニック(パーキングガイダンス機能付)、ソーラーレッドのアンビエントライト、自動防眩ルームミラー&運転席ドアミラー、レインセンサーを特別装備するとともに、ポーラーホワイトのボディカラーにベンガルレッドのナッパレザーシートを組み合わせ、スポーティーさを際立たせた特別仕様車「SLK 200 Radar Safety Edition」を発売。100台の限定販売である。 2014年8月5日、一部改良[7]。グレード体系が一部変更し、従来の「SLK 200 トレンド」にレーダーセーフティーパッケージ、シートヒーター、自動防眩ミラー(ルームミラー・ドアミラー)を新たに標準装備しながら価格を据え置きとし、「AMGスポーツパッケージ」をオプション設定した「SLK 200 トレンド+」と、「SLK 200」にレーダーセーフティーパッケージ、パークトロニック、キーレスゴーを新たに装備して装備内容を充実した「SLK 200 エクスクルーシブ」を新設し、「SLK 200 スポーツ」を廃止。MT車の「SLK 200 MT」は価格を据え置きながらシートヒーターと自動防眩ミラー(ルームミラー/ドアミラー)を新たに標準装備した。 2014年8月22日、特別仕様車「SLK 200 Carbon LOOK Edition(カーボンルックエディション)」を発売[8]。「SLK 200 エクスクルーシブ」をベースに、ポリッシュ/チタニウムグレーペイントの18インチAMG5スポークアルミホイールを採用し、通常はオプション設定となっているスイッチ一つでルーフトップの透過率を瞬時に変更できるマジックスカイコントロールパノラミックバリオルーフを特別装備。インテリアトリムはベース車では設定されていないAMGカーボンインテリアトリムを採用するとともに、シートとセンターパネルにはdesignoチタニウムグレーパールインサート(グリーンパイピング付)を施したブラックナッパレザー仕様とし、シートのヘッドレストにはカーボンパターンエンボスも施された。100台の限定販売である。 2015年8月20日、一部改良[9]。エンジンを2.0L直列4気筒BlueDIRECTエンジンである274型に置換するとともに、「SLK 200 トレンド+」と「SLK 200 エクスクルーシブ」はトランスミッションを9速ATの「9G-TRONIC」に変更して多段化した。装備面では、「SLK 200 トレンド+」は従来オプション設定だった「AMGスポーツパッケージ」を標準装備化するとともに、熱線を反射する特殊コーティングにより、通常の本革に比べて夏のシート表面温度の上昇を抑える「サンリフレクティングレザー」やヘッドレスト下部から温風を吹き出す「エアスカーフ」も標準装備。「SLK 200 エクスクルーシブ」は従来オプション設定だった「ダイナミックハンドリングパッケージ」と「マジックスカイコントロールパノラミックバリオルーフ」を標準装備した。なお、今回の一部改良に伴い、「SLK 350」と「メルセデスAMG SLK 55」は販売終了となった。 2016年6月2日、大幅改良を機に、SLCへ名称が変更され、SLKとしての販売は終了した[10]。
その他
脚注注釈出典
関連項目外部リンク
|