ブレイバーン (リンゴ)

‘ブレイバーン’
1. 果実
リンゴ属 Malus
セイヨウリンゴ M. domestica
交配レディハミルトン’ × 不明
品種 ‘ブレイバーン’[1] (‘Braeburn’)
開発 ニュージーランドの旗 ニュージーランド ネルソン地方、1950年ごろ
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ブレイバーン’(: ‘Braeburn’)[注 1]は、ニュージーランドで育成されたリンゴ(セイヨウリンゴ)の栽培品種の1つである。ネルソン近郊で見つかった‘レディハミルトン’の偶発実生に由来し、花粉親は不明であるが、‘グラニースミス’と推定されている。晩生性で果実は赤く着色し(図1)、甘酸適和で芳香がある。貯蔵性がよい。ジャズ(‘サイフレッシュ’)やエンヴィ(‘サイレート’)の交配親である。


特徴

樹勢が強く、若いうちから果実をつける[6]。長く暑い夏と7°C以下で500時間以上の低温期を必要とする[6]自家不和合性に関わるS遺伝子型はS9S24である[7]。隔年結果性が強い[6]。晩生性[6][7]黒星病さび病うどんこ病などにかかりやすい[6]

2. 果実とその断面

果実は中型から大型、円錐形[6](図2)。地色は黄緑色から黄色、縞状に赤色に着色し(図1, 2)、芳香があり、果肉は黄白色、サクサクとしており、果汁が多く、甘酸適和である[6][7][8]。貯蔵性がよく、冷蔵で最大4カ月ほど保存できる[6]

生食用とされ、また調理やジュース用にも利用されている[6]

起源

1950年ごろ、ニュージーランド南島のネルソン近郊にあった農園において、O. Moranが‘レディハミルトン’の偶発実生を発見し、これが‘ブレイバーン’となった[6]。花粉親は不明であるが、おそらく‘グラニースミス’であると考えられている[6]。その後、1952年にWilliam Brothersが商業栽培を始め、急速にニュージーランドに広まった[6][8]。ニュージーランドにおけるリンゴ生産量の約40%を占めていたこともあるが[6]、2021/2022年には栽培面積で8%まで減少している[9]

派生品種

枝変わり

3. ‘Braeburn Hidala’

リンゴ接ぎ木によって増やすため、同じ品種は遺伝的に同一なクローンであるが、まれに分裂組織に突然変異が起こって枝など木の一部が他と異なる性質を示すことがあり、「枝変わり」とよばれる。着色がより良いなど‘ブレイバーン’の枝変わりに由来する品種として、‘Braeburn Brayleet’[10]、‘Braeburn Hidala’[8][11](図3)、‘Braeburn Joburn’[12]、‘Braeburn Mahana’[13]、‘Braeburn Mariri Red’[14]、‘Braeburn Rocket Red’[15]、‘Braeburn Rosabel’[16]、‘Braeburn Royal’[17]、‘Kumeu Crimson Braeburn’[18]、‘Lochbuie Red Braeburn’[19]などがある。

交配

‘ブレイバーン’は、交配による品種作出の親としても利用されている。よく知られたものとして、‘ブレイバーン’を種子親、‘ロイヤルガラ’を花粉親とした‘サイフレッシュ’(商品名はジャズ)[20]、逆に‘ロイヤルガラ’を種子親、‘ブレイバーン’を花粉親とした‘サイレート’(商品名はエンヴィ)[21][22]、‘ガラ’を種子親、‘ブレイバーン’を花粉親とした‘Nicoter’(商品名はカンジ)[23][24]がある。

出典

注釈

  1. ^ 栽培品種(単に「品種」とよばれることも多いが、分類学における「品種」とは異なる区分であり、規約が異なる)を表記する国際規約(国際栽培植物命名規約)では、栽培品種名(栽培品種小名)を引用符で囲むこととしている[2]。近年では、日本語でも同様に表記されることがある[3][4][5]。本稿では、これにならって栽培品種名を引用符で囲って表記する。

出典

  1. ^ 指定の公示について(指定番号第36号)”. 農林水産省. 2024年12月1日閲覧。
  2. ^ Brickell, C.D. et al. (2016). “International Code of Nomenclature for Cultivated Plants (9th ed.)”. Scripta Horticulturae. 18. International Society of Horticultural Science. ISBN 978-94-6261-116-0. https://www.ishs.org/sites/default/files/static/ScriptaHorticulturae_18.pdf 
  3. ^ リンゴ”. みんなの趣味の園芸. NHK出版. 2025年1月4日閲覧。
  4. ^ 金浜耕基, ed (2015). 果樹園芸学. 文永堂出版. ISBN 978-4830041297 
  5. ^ 小松宏光, 臼田彰, 羽生田忠敬, 小池洋男, 山下裕之 & 宮沢孝幸 (1998). “リンゴ新品種‘シナノスイート’について”. 長野県果樹試験場報告 5: 9-15. https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010640958.pdf. 
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m Braeburn”. Pomiferous. Pomiferous.com. 2024年12月1日閲覧。
  7. ^ a b c Braeburn apple”. Orange Pippin. 2024年12月1日閲覧。
  8. ^ a b c Braeburn”. National Fruit Collection. 2024年12月1日閲覧。
  9. ^ Fresh Deciduous Fruit Annual: New Zealand”. USDA (2023年11月3日). 2024年12月1日閲覧。
  10. ^ Braeburn Brayleet”. Pomiferous. Pomiferous.com. 2024年12月1日閲覧。
  11. ^ Braeburn Hidala”. Pomiferous. Pomiferous.com. 2024年12月1日閲覧。
  12. ^ Braeburn Joburn”. Pomiferous. Pomiferous.com. 2024年12月1日閲覧。
  13. ^ Braeburn Mahana”. Pomiferous. Pomiferous.com. 2024年12月1日閲覧。
  14. ^ Braeburn Mariri Red”. Pomiferous. Pomiferous.com. 2024年12月1日閲覧。
  15. ^ Braeburn Rocket Red”. Pomiferous. Pomiferous.com. 2024年12月1日閲覧。
  16. ^ Braeburn Rosabel”. Pomiferous. Pomiferous.com. 2024年12月1日閲覧。
  17. ^ Braeburn Royal”. Pomiferous. Pomiferous.com. 2024年12月1日閲覧。
  18. ^ Kumeu Crimson Braeburn”. Pomiferous. Pomiferous.com.. 2024年12月1日閲覧。
  19. ^ Lochbuie Red Braeburn”. Pomiferous. Pomiferous.com.. 2024年12月1日閲覧。
  20. ^ Jazz apple”. Orange Pippin. 2024年11月1日閲覧。
  21. ^ Envy® apple”. Orange Pippin. 2024年11月1日閲覧。
  22. ^ Why All the New Apple Varieties?”. 2024年12月6日閲覧。
  23. ^ Kanzi apple”. Orange Pippin. 2024年12月1日閲覧。
  24. ^ Nicoter”. Pomiferous. Pomiferous.com. 2024年12月1日閲覧。

外部リンク

  • Braeburn”. Pomiferous. Pomiferous.com. 2024年12月1日閲覧。
  • Braeburn apple”. Orange Pippin. 2024年12月1日閲覧。