『スーパーハングオン』 (SUPER HANG-ON) は、1987年4月に日本のセガから稼働されたアーケード用レースゲーム。
バイクを駆って制限時間内にチェックポイントを通過しつつ、ゴールを目指す内容となっている。1ステージの長さは前作の『ハングオン』(1985年)と比べると時間にして半分程度で、その分ステージ数は大幅に増加している。
開発はセガ第2AM研究開発部が行い、音楽は後にアーケードゲーム『ゲイングランド』(1988年)を手掛けた林克洋と、アーケードゲーム『サンダーブレード』(1987年)を手掛けた並木晃一が担当している。
同年に欧州にて各種ホビーパソコンに移植された他、1989年にはAmiga、PC/AT互換機、Macintosh、メガドライブ、X68000に移植された。アーケード版は2010年にWii用ソフトとしてバーチャルコンソールアーケードにて配信された他、2012年にはPlayStation 3用ソフトとしてセガエイジスオンラインにて配信された。また、2013年にはセガ3D復刻プロジェクトの一環としてニンテンドー3DS用ソフト『3Dスーパーハングオン』が配信された。
ゲーム内容
システム
ビギナー(アフリカ・6ステージ)、ジュニア(アジア・10ステージ)、シニア(アメリカ・14ステージ)、エキスパート(ヨーロッパ・18ステージ)の難易度とステージ数の異なる4つのコースが用意されており、プレイ開始前に好きなコースを選ぶ事が出来る[2]。PS3版、Xbox 360版、3DS版では既存4コース48ステージ全てをつないだコースを加えた5つのコースがある。
コースには『アウトラン』(1986年)同様のアップ&ダウン要素が追加され、2ステージ毎に風景が変化していく。地面の色がなだらかに変わるようになった他、上り坂を利用して遠景を一時的に隠す等自然な変化になるよう工夫されている。
ジュニアコースは前作のコースから景色を変更し、アップ&ダウンを追加して各ステージが2分割されたものである。
使用するマシンは前作からパワーアップした。最高速度は280km/hで、この速度に達するとスピードメーターの数字が赤く点滅し、ハンドルのそばにあるボタンが使用可能となる。これを押すとスーパーチャージャーを使用し、一気に324km/hまで加速する[2]。
筐体
筐体は、前作で使用された赤いバイク型のライドオンタイプ、モニターとバイクを分離してコンパクトにしたミニライドオンタイプ、ハンドルのみで操作できるシットダウンタイプの3つが用意された[2]。3DS移植版の選択時に上画面に表示される3Dアイコンは、ミニライドオン筐体の3Dモデルが使われている。
前作筐体であるライドオンタイプのみスーパーチャージャーボタンが無く324km/hは出せず、アクセルのみで323km/hが出るようになっている。また、シットダウンタイプではコースレイアウトが一部異なる。
移植版
- メガドライブ版
- レースで賞金を稼いで、稼いだ賞金でパーツを買ってマシンを強化していきながらライバルと戦うオリジナルモードが、独自要素として追加された。バックアップは存在せず、パスワードによってデータを保存するシステムである。メガドライブではアナログ入力ができないため、段階を踏んでバイクが傾く仕様にすることで疑似的なアナログ入力が可能になるようにデザインしてある[2]。
- X68000版
- Wii(バーチャルコンソールアーケード)版
- ミニライドオン版を移植したものをバーチャルコンソールアーケードで配信。Wiiリモコン&ヌンチャクやWiiハンドル(バーチャルコンソールとしては初対応)による操作にも対応。
- PlayStation 3版
- Xbox 360版
- セガの名作3作品を収録した、『完全版 - セガエイジスオンライン セガクラシックコレクション』に収録され配信。様々な条件下で、全世界のプレイヤーとスコアやタイムを競う「トライアルモード」、音楽を自由に聴ける「ジュークボックス」、3D立体視に対応などの要素が追加された。
- 2023年2月7日をもって、Xbox 360向けストアでの『セガクラシックコレクション』の配信・販売の終了を予定している[10]。
- ニンテンドー3DS版
- セガ3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE
- 単体版をベースに収録。『スペースハリアー』と同じく作り直しレベルが高かったため、手を付けられず収録が遅れた[11]。
- 2022年12月21日をもって、『セガ3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE』ダウンロード版の配信・販売が終了した[12]。
音楽
- BGM
BGMは下記の4曲からゲームスタート前に選択可能。4曲とも完成度が高く当時のプレイヤーに人気を博した[2]。
- OUTRIDE A CRISIS
- SPRINTER
- WINNING RUN
- HARD ROAD
- サウンドトラック
- アフターバーナー セガ・ゲーム・ミュージック VOL.3(アルファレコード サイトロン・デジタルコンテンツ)
- SUPER HANG-ON 20th Anniversary Collection(Bonus Track)(セガストア)
- iTunes StoreおよびAmazon MP3でも配信中
スタッフ
- アーケード版
- メガドライブ版
評価
評価 |
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受賞 |
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媒体 | 受賞 |
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Sinclair User | SU Classic (ZX) | Your Sinclair | 27th Best Spectrum Game of all time (ZX)[27] |
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- アーケード版
1998年に刊行されたゲーメストムック『ザ・ベストゲーム2』では『名作・秀作・天才的タイトル』と認定された「ザ・ベストゲーム」に選定され、同書では前作の筐体が実物大になっていた事に対し本作ではコンパクトになった事に関して「よりコントロールがしやすくなった」、「ライディング部分が軽くなったおかげで、前作では考えられないようなS字カーブも難なく切り返せるようになった」と肯定的に評価した[28]。また本作より搭載されたスーパーチャージャーに関しては「さらにゲームを面白くする要素」と称賛した[28]。
- メガドライブ版
ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では合計27点(満40点)[17]、『メガドライブFAN』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通り17.32点(満30点)となっている[3]。
項目
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キャラクタ |
音楽 |
操作性 |
熱中度 |
お買得度 |
オリジナリティ
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総合
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得点
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2.91 |
3.11 |
2.57 |
2.98 |
2.77 |
2.98
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17.32
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備考
本ゲームの看板にはRK、elf、CIBIE、NGK等の実在企業の看板が、メガドライブ版ではマールボロやブリヂストン等の実在企業をもじったロゴがそれぞれ登場していた。後のWii、PlayStation 3やニンテンドー3DSへの移植版では、『スペースハリアー』(1985年)、『アウトラン』(1986年)、『ファンタジーゾーン』(1986年)、『SDI』(1987年)、『アフターバーナーII』(1987年)等のセガのゲーム作品への看板変更が施されている。
参考文献
脚注
- ^ 「ゲーメスト大賞11年史」『GAMEST MOOK Vol.112 ザ・ベストゲーム2 アーケードビデオゲーム26年の歴史』第5巻第4号、新声社、1998年1月17日、24 - 25頁、ISBN 9784881994290。
- ^ a b c d e 株式会社QBQ編 『懐かしのメガドライブ 蘇れメガドライバー !!』マイウェイ出版発行、2018年。ISBN 9784865118704 p12-13
- ^ a b c 「7月号特別付録 メガドライブ&ゲームギア オールカタログ'93」『メガドライブFAN』第5巻第7号、徳間書店、1993年7月15日、73頁。
- ^ “『スーパーハングオン』がWiiのバーチャルコンソール向けに配信開始” (日本語). ファミ通.com. KADOKAWA (2010年9月10日). 2019年11月24日閲覧。
- ^ 中野信二 (2010年9月10日). “セガ、VCA「スーパーハングオン」9月14日配信開始。ヌンチャクスタイルやWiiハンドルでの操作にも対応” (日本語). GAME Watch. インプレス. 2019年11月24日閲覧。
- ^ 冨岡晶 (2010年9月10日). “『スーパーハングオン』、バーチャルコンソールアーケードで9月14日より配信開始” (日本語). iNSIDE. イード. 2019年11月24日閲覧。
- ^ Ky (2010年9月10日). “セガ,Wiiバーチャルコンソール用体感型バイクレーシング「スーパーハングオン」を9月14日より配信。プレイ動画を4GamerにUp” (日本語). 4Gamer.net. Aetas. 2019年11月24日閲覧。
- ^ ““セガエイジスオンライン”シリーズが5月23日より配信開始!” (日本語). 電撃オンライン. KADOKAWA (2012年5月18日). 2019年11月24日閲覧。
- ^ “バイク型筐体のプレイ感をジャイロセンサーで再現! 『3D スーパーハングオン』が3月27日より配信” (日本語). 電撃オンライン. KADOKAWA (2013年3月19日). 2019年11月24日閲覧。
- ^ “Xbox 360ストアで一部タイトルが販売終了へ―買えなくなる『ジェットセットラジオ』『デイトナUSA』などに要注意”. Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト. 株式会社イード (2023年2月1日). 2023年2月1日閲覧。
- ^ 山村智美 (2016年12月22日). “「セガ 3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE」インタビュー ついにFinal Take Off!シリーズ最高の収録数に加え、さらなる隠しタイトルは“あれ”!” (日本語). GAME Watch. インプレス. 2017年2月21日閲覧。
- ^ 株式会社セガ (2022年12月7日). “「セガ3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE」「3D アフターバーナーⅡ」販売終了のお知らせ |セガ”. セガ. 2022年12月15日閲覧。
- ^ a b c d “Super Hang-On for Atari ST (1988)” (英語). MobyGames. Blue Flame Labs. 2018年5月19日閲覧。
- ^ http://www.worldofspectrum.org/showmag.cgi?mag=C+VG/Issue083/Pages/CVG08300024.jpg[リンク切れ]
- ^ a b c “Super Hang-On for Genesis (1989)” (英語). MobyGames. Blue Flame Labs. 2018年5月19日閲覧。
- ^ http://www.worldofspectrum.org/showmag.cgi?mag=Crash/Issue49/Pages/Crash4900011.jpg[リンク切れ]
- ^ a b “スーパーハングオン まとめ [メガドライブ]” (日本語). ファミ通.com. KADOKAWA CORPORATION. 2016年1月24日閲覧。
- ^ “Super Hang-On for Wii (2010)” (英語). MobyGames. Blue Flame Labs. 2018年5月19日閲覧。
- ^ http://www.worldofspectrum.org/showmag.cgi?mag=SinclairUser/Issue070/Pages/SinclairUser07000012.jpg[リンク切れ]
- ^ “The Rock'n'Roll Years” (2013年1月19日). 2011年2月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年11月24日閲覧。
- ^ a b c d e “Super Hang-On for Amiga (1988)” (英語). MobyGames. Blue Flame Labs. 2018年5月19日閲覧。
- ^ “Super Hang-On for Amstrad CPC (1987)”. MobyGames. Blue Flame Labs. 2018年5月19日閲覧。
- ^ http://www.worldofspectrum.org/showmag.cgi?mag=ACE/Issue05/Pages/ACE0500039.jpg[リンク切れ]
- ^ “Super Hang-On for Commodore 64 (1987)” (英語). MobyGames. Blue Flame Labs. 2018年5月19日閲覧。
- ^ MegaTech rating, EMAP, issue 6, page 80, June 1992
- ^ Mega rating, issue 9, page 23, Future Publishing, June 1993
- ^ Your Sinclair magazine issue 93, Future Publishing, September 1993, page 58
- ^ a b 「ザ・ベストゲーム」『GAMEST MOOK Vol.112 ザ・ベストゲーム2 アーケードビデオゲーム26年の歴史』第5巻第4号、新声社、1998年1月17日、122頁、ISBN 9784881994290。
外部リンク
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第1期(AC) | |
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第1期(家庭用) | |
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第2期(AC) | |
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第2期(家庭用) | |
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パッケージソフト | |
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関連項目(原典ハード) | |
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関連項目(その他) | |
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タイトルの『3D』(『アーカイブス』特別収録作を除く)およびサブタイトルは省略。 タイトル名ヨコに[☆]を付記したものは特定条件でプレイ可能になるシークレットボーナス収録作。 |