スモモ
スモモ(李[2]・酢桃、学名: Prunus salicina)はバラ科サクラ属の落葉小高木。また、その果実のこと。原産地は中国[3]。中国から古くに日本へ渡来し[3]、和歌などにも詠まれる。果樹として農園で栽培される他、自生しているものもある。 名称スモモの果実はモモに比べて酸味が強いことが、和名の由来となっている。漢字では「李」とも書かれる。英語では “Asian plum”(アジアン・プラム)、“Japanese plum”(ジャパニーズ・プラム)などとよばれる[4](ただしウメも「プラム」と呼ばれることがある)。地域によっては、ハダンキョウあるいはハタンキョウ(巴旦杏)ともよばれるが、同じく巴旦杏とよばれるアーモンドとは別種である。 特徴落葉広葉樹の小高木[3]。桃とは異なる種で、同じバラ科サクラ属の梅、杏、桃の花粉を利用して人工授粉させることができる。枝はよく分岐し、横に広がる[3]。葉は長楕円形または長披針形[3]。 開花期は4月[3]。中国ではモモとともに春の代表的な花となっている[3]。葉の付け根に白い花を1 - 3個咲かせる[3]。果実は無毛で、夏になると緑色から赤色に熟す[3]。果肉は赤色や黄色があり、酸味はあるが完熟すると甘みが出る[3]。 果実の旬の時期は6 - 9月ごろとされ、食べごろのものは良い香りがある[2]。栄養的にはカリウム、リンゴ酸、クエン酸などを含み、利尿作用・高血圧予防・肝機能を高める効果が期待されている[2]。果肉だけでなく果皮にも栄養分があるため、薄い皮ごと食べるのがよいといわれている[2]。皮を覆うように白い粉状のブルームがつき、市場に出回っている果実の鮮度が良いものほどブルームが残っている[2]。 栽培開花期に霜に当たると、不完全花となり結実しないため、開花時期に晩霜に遭わない地域が適する。長果枝は開花しても結実しにくいので、中短果枝および花束状短果枝を出させる剪定を冬季に行う。成木なのに収量が少ないのは受粉樹が近くにない・受粉樹との相性が悪い・低温晩霜に当たったのが原因と考えられる。 発芽する前に石灰硫黄合剤を散布して葉や果実が膨れ上がるふくろみ病を防ぐ。シンクイムシ・アブラムシ・カイガラムシ・イラガ等がつく。 2014年(平成22年)より、ウメ輪紋ウイルス(プラムポックスウイルス)の緊急防除の規制対象植物に指定され、指定地域からの種子、果実以外の持ち出しが禁止されている[5]。 2019年(令和元年)、幼果に食入して内部を食害する害虫スモモミハバチが確認された。この虫は中国大陸から侵入したと推定されており、スモモのみを加害する。被害果は1cm程度で落果し、無防除では収穫皆無となることも多い。被害が報告されているのは山口県と広島県だが、九州でも確認されるなど、分布は拡大している。防除は、満開期から落弁期に浸透移行性のある殺虫剤の散布が有効である。 品種「スモモ」とよばれる栽培種は多数あり、日本に多く見られる中国原産のスモモ(日本スモモ)と、ヨーロッパ・コーカサス原産の西洋スモモ(ヨーロッパスモモ〈学名: Prunus domestica〉・アメリカスモモ〈学名: Prunus americana〉) に大別できる[2]。日本のスモモはニホンスモモが多品種と交雑してできた品種で、総称して「プラム」とよばれている[2]。19世紀にアメリカに渡ったスモモは育種家のルーサー・バーバンクの手により「ソルダム」「サンタローザ」「ビューティー」などの品種として改良され、再び日本に「プラム」として輸入された。それらを元に日本では「大石早生」「月光」などに発展させていった[6]。一方、ヨーロッパスモモは、青紫色の楕円タイプが多く、日本ではプルーンがよく知られている[2]。
近縁種収穫
脚注
参考文献
関連項目外部リンク
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