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シリコングラフィックス インターナショナル (Silicon Graphics International Corp. 、略称:SGI、NASDAQ :SGI[ 2] )は、かつて業務用コンピュータ の開発・製造・販売を行なっていたアメリカ の企業 である。本拠地はカリフォルニア州 マウンテンビュー に置かれていたが、2009年にサンノゼ が本社所在地となった。
元々は、1982年 にシリコングラフィックス (Silicon Graphics, Inc. 、1999年以前は SIliconGraphics と表記されていた [要出典 ] )として設立された。
コンピュータグラフィックス に特化した最先端の製品を開発し続け、コンピュータグラフィックス全般に絶大な影響を与えた企業である。同社のCGワークステーション は、1990年代 までは世界最高の性能を堅持していた。特に、大規模な商業映画におけるCG制作でデファクトスタンダード として扱われていたことは有名である [要出典 ] 。3次元コンピュータグラフィックス API のひとつであるOpenGL は、もともと同社のCGワークステーション向けに開発されたIRIS GL (英語版 ) の仕様がオープン標準 化されたものである。OpenGLおよび組み込み環境向けの派生規格OpenGL ES の仕様は、クロノス・グループ により管理されており、これらを利用した膨大な数のアプリケーションソフトウェア によって、2024年現在も世界中のIT端末で使われている[ 注釈 1] 。
2000年代 に入り画像処理分野にも安価で十分な性能を持つx86 アーキテクチャが普及すると、高価で大して性能面の優位性もない上に互換性もない自社専用アーキテクチャの開発を停止した。x86 アーキテクチャへの転換により他社製品との間の差別化要因が失われたため、科学技術計算用の大型計算機を中心としたビジネスに移行した。
2009年 4月1日、連邦倒産法第11章 の適用を申請して倒産。同日、Rackable Systems 社による事業買収の合意が発表された。5月8日にRackable Systems社による買収が完了、5月18日にRackable Systems社は社名を「Silicon Graphics International Corp.(SGI) 」へと変更した(NASDAQのティッカーシンボル もRACKからSGIに変更)[ 3] 。
2016年 11月1日、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ (HPE) による買収が完了し、公開会社としてのSGIは廃止された。買収金額は2億7500万ドルであった[ 4] [ 5] 。
日本法人として、かつて日本SGI があった。2001年 に日本SGIがNEC の出資を受けてSGIより独立したが、2011年に再度、SGIの100%子会社となった[ 6] 。2016年にはHPEの傘下となり、事業吸収後、会社は解散した。なお、1999年に日本SGIの関連会社として設立されたシリコンスタジオ は、2024年現在もリアルタイムコンピュータグラフィックス関連事業を継続している[ 7] 。
歴史
1982年 :スタンフォード大学で三次元ジオメトリック・オペレーション(三次元座標変換、透視投影変換、6面クリッピング)のハードウェア化(現在、PC等で一般化したグラフィックス・ボードの原型)を研究していたジム・クラーク が、研究成果を世に送り出す事を目的にシリコングラフィックス社 (Silicon Graphics, Inc.) を設立。
1983年 :最初の製品IRIS 1000 シリーズは、ジム・クラーク自ら開発したジオメトリパイプライン を使った3次元コンピュータグラフィックス を高速描画できる端末であり、DEC のVAX コンピュータに接続して使用することを念頭に設計されている。
1985年 :最初のグラフィックスワークステーション IRIS 2000 シリーズを発売。68010 /68020 をCPU として搭載し、オペレーティングシステム としてSystem V 系のUNIX であるIRIX を使用。
1986年 :IRIS 3000 シリーズを発売。また、NASDAQ に上場を果たす。
1987年 :IRIS-4D シリーズを発売。RISC命令セット を採用したMIPSアーキテクチャ のマイクロプロセッサ を使用したワークステーション であり、今後MIPSを使い続けることとなる。
1989年 :業界初のマルチプロセッサ ワークステーションであるIRIS POWER シリーズを発売。ワークステーション・メーカーとしてはSGIが初めてマルチプロセッサ型のサーバーを商品化している。
1990年 :ニューヨーク証券取引所 に上場。
1991年 :Indigo シリーズを発売。また、独自のグラフィックスライブラリIRIS GL のライセンス販売を発表。後のOpenGL となる。IRIS-4D/310シリーズ(33MHzのR3000搭載)を追加、最小構成は40万ベクタ/秒、10万ポリゴン/秒の性能を持つGTXグラフィクス搭載で1227万7000円、100万アンチエイリアスベクタ/秒、100万ポリゴン/秒の性能を持つVGXグラフィクス搭載で1917万7000円。
1992年 :初の64ビット ワークステーションCrimson を発売。R4000 をいち早く使用したマシンである。また、資金難に陥ったMIPS を子会社化し、ミップス・テクノロジーズ を設立。
1993年 :スーパーコンピュータ 市場への足がかりとなる Onyx シリーズ、POWER CHALLENGE シリーズを発売。Onyx シリーズはマルチプロセッサ型のPOWER CHALLENGE に、高性能なグラフィックス・エンジンを搭載した製品であった。また、ワークステーション Indigo2 やIndy も発売された。このころから高性能パーソナルコンピュータ とワークステーションが価格的にも機能的にも競合するようになったが、SGIのマシンは3Dグラフィックス の高性能さで生き残っていく。Onyx に搭載されたグラフィックス・エンジンは、現在 [いつ? ] のグラフィックス・ボードと比べるとジオメトリ計算能力は低いが、非常に大きなフレームバッファを持ち、ディスプレイ・ジェネレータの描画速度までを受け持つパイプライン処理は現在 [いつ? ] のグラフィックス・ボードでも真似のできない性能を持っている。また、ローエンドのIndy も当時先進的なUMAを製品化し、コンピュータグラフィックス専用マシンとして一定の人気を獲得する。一方、技術者が退社してパソコン用3Dグラフィックス関連のベンチャーを開始するようになるのもこのころである。
1996年 :スーパーコンピュータ 製造企業のクレイ・リサーチ を合併[ 9] 。
このころ、"sgi" と小文字のロゴを採用し、基本的に "sgi" と名乗るようになる。社名(Silicon Graphics, Inc.)は変わっていないが、グラフィックス専門企業というイメージを払拭するためのコーポレートアイデンティティ 活動である。
2000年 :クレイのベクトル計算機 部門をテラ・コンピュータに売却。テラ・コンピュータはクレイ に社名変更した。また、ミップス・テクノロジーズをスピンオフさせている。
2006年 :5月8日、連邦倒産法第11章 (C11)の適用を申請。実質的に経営破綻へ。10月17日 、同法に基づく保護下から脱する。事業計画面では、かつての主流であったMIPSプロセッサとUNIX系OSのIRIX の組み合わせで動作するワークステーションの製造を中止、代替としてインテルのXeon やItanium といったプロセッサとLinux の組み合わせで動作する機種の開発へとシフトする模様。10月23日 、NASDAQへ再上場。
2009年 :4月1日 、再びC11の申請。事業はRackable Systems が買収したが、その額は2500万ドル(24.5億円、1ドル=98円で換算)と、往時を知る者からすればあまりに破格な安値の金額であった。なお、買収に日本SGIをはじめとした海外現地法人は含まれない。社名はSilicon Graphics International Corp.に変更された。前記に本部が置かれていたビルには、現在 [いつ? ] コンピューター歴史博物館 が入居しており、後期に本部が置かれていた建物群はGoogle に売却されている。
2016年 :11月1日、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ によって2億7500万ドルで買収された。
SGIの現状
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(2024年6月 )
SGIは、実績のある自社開発オペレーティングシステムのIRIXを継続的に開発しながらも、Linux の発展にも協力してきた。Samba などのプロジェクトを支援し、独自コード(XFS など)をオープンソース として提供している。
一時期、Microsoft Windows を搭載したワークステーションを発売していたが、現在 [いつ? ] は従来からのIRIX /MIPS を搭載するマシンとLinux /インテル 製プロセッサを搭載するマシンのふたつのラインを主に販売している。
SGIには熱狂的な信者とも言うべきユーザーがいるものの、多くの顧客は次第にもっと低価格なシステムに流れて行きつつある。一時期 SGI が子会社化していたエイリアス・システムズ の3DCGソフトMaya は、映画制作にも工業用デザインにも使われる高機能ソフトウェアである。特に、NURBS 曲線を採用したワイヤーフレーム では、精細なモデリングが可能。現在 [いつ? ] はMicrosoft Windows でもmacOS でもLinux でも動作するが、本来はOnyx シリーズのマルチプロセッサ および高性能グラフィックス・エンジンを利用した、モデリング、シミュレーション、データ量のあるテクスチャ処理またはレイトレーシング の計算処理を行う目的に開発された。
SGIはクレイ を買収した際に高速インターコネクト技術CrayLink を獲得した。買収直前のクレイは、ベクトル推進派と超並列推進派と、スケーラブル・ノードを推進する派に分かれていたが、SGIとの合併後にスケーラブル・ノードを推進する派が中心となりOrigin を開発した。このOriginは、内部のトポロジーにCrayLinkをベースとしたハイパーキューブを構築し、ノード数の増加に合わせノード間の帯域幅を広げ、ノード単位に分散するメモリを仮想的に共有するNUMA 型のHPC製品を製品化した。CrayLinkはその後名称を変え、現在でもNUMAlink として使われている。Originの後期には、ハイパーキューブの弱点であったレイテンシーの改善の為、ノード間のホップ数を減らす目的でトポロジーをファットツリー構造 に変えた。このトポロジーは最新のAltix にも採用し、シングルOSで1024CPUの稼働を実現する製品を開発した。現在のAltix は、単なるコンピュータ・クラスター では無く、非常に高いI/O性能を持ち、非常に大きなメモリ空間を実現し、スケーラブルな計算能力を持つハイパフォーマンス・コンピューティングを実現している。
2004年10月、SGIはNASA に納入したColumbia システムで世界最高性能を記録した。Altix 3000 をベースとして、10,240プロセッサで構成されており、42.7TFLOPS で地球シミュレータ を抜いた。しかし、この記録は即座にIBM のBlue Gene に抜かれてしまった。
SGIの収入の多くは、ハリウッドの特殊効果スタジオからのものではなく、アメリカ政府、軍、エネルギー関連、科学技術計算分野などから得られている。
製品
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(2016年8月 )
現行機
Altix 450 シリーズ:Itanium2 ベースのミッドレンジサーバ。NUMA構成で最大32プロセッサまで。
Altix 4000 シリーズ:Itanium2ベースのハイエンドサーバ。NUMA構成で最大1024プロセッサまで。
Altix XE210 サーバー
Altix XE240 サーバー
Altix XE310 サーバー
Altix XE1200 :Xeon ベースのPCクラスター。
Altix XE1300 :Xeon ベースのPCクラスター。
Virtu VN200 ヴィジュアライゼーションノード
Virtu VS100 ワークステーション
Virtu VS200 ワークステーション
Virtu VS300 ワークステーション
Virtu VS350 ワークステーション
廃盤
これらは現在 [いつ? ] 生産していないが、いくつかは"再生品"(中古品)として販売している。
複数の68kとMIPS-ベースの機種はCDC , Tandem Computers , Prime Computer やSiemens-Nixdorf を含む他のベンダーからも供給された。
Motorola 68k-ベースシステム
IRIS 1000 系グラフィックス端末 (ディスク無し 1000/1200, 1400/1500 とディスク)
IRIS 2000 系列ワークステーション (2000/2200/2300/2400/2500 non-Turbo と2300T/2400T/2500T "Turbo" モデル)
IRIS 3000 系列ワークステーション (3010/3020/3030 and 3110/3115/3120/3130)
MIPS-ベースシステム
ワークステーション
SGI Indigo
SGI Indy
SGI O2
SGI Octane
SGI Onyx
サーバー
グラフィックスワークステーション
Intel IA-32-ベースシステム
ワークステーション
サーバー
SGI Zx10 サーバー (Windows)
SGI 1100 サーバー (Linux/Windows)
SGI 1200 サーバー (Linux/Windows)
SGI 1400 サーバー (Linux/Windows)
SGI 1450 サーバー (Linux/Windows)
SGI インターネットサーバー (Linux)
SGI インターネットサーバー E-commerce用 (Linux)
SGI インターネットサーバー Messaging用 (Linux)
Itanium-ベースシステム
ワークステーション
サーバー
可視化
ディスプレイ
脚注
注釈
^ ただし、OpenGLやOpenGL ESはバージョンアップによる機能追加を重ねてはいるものの、その基本設計の古さからモダンなCPU やグラフィックスハードウェア(GPU )の性能を十分に引き出すことができなくなっているなどの問題を抱えており、2016年に後継のローレベルAPIであるVulkan が登場した後はほとんど更新されなくなっている。macOS やiOS では非推奨扱いとなっており、Metal への移行が推奨されている。
出典
参考文献
「SuperASCII 1991年2月号」第2巻第2号、株式会社アスキー出版、1991年2月1日。
関連項目
外部リンク