サイトカイニンサイトカイニン (cytokinin) は植物ホルモンの一種。一般に オーキシン存在下で細胞分裂、シュート形成の誘導効果をもつ化合物一群の総称とされる。略称 CK。 発見の歴史
植物体内での合成・分布サイトカイニンの生合成や応答の分子レベルでのしくみについて研究が進みだしたのは21世紀に入ってからのことであり、詳しいことはまだわかっていないことが多い。 サイトカイニンの合成経路は2つの説がある。1つ目はtRNAは特定のアデニン残基がイソペンテニル化されているので、その分解産物がサイトカイニンになるという経路である。しかし仮にこの経路が存在したとしても、tRNAの分解速度から考えると、主要な経路ではないと考えられている。2つ目の説はAMPのイソペンテニル化に続いてリン酸、リボースが脱離していく経路である。この経路は植物病原菌で確認されて(正確には病原菌が植物体内へイソペンテニル化の酵素もしくは遺伝子を導入しているので、病原菌自身がサイトカイニン合成経路をもつわけではない)おり、植物についても同様の経路で合成していると考えられていたが、近年の研究によると植物ではイソペンテニル化の基質はATPまたはADPであるらしい(2007年、茎頂分裂組織で働く、リン酸化リボースを脱離させる加水分解酵素が稲で単離された(Nature Vol.445 652-655, kurakawa他))。 サイトカイニンは主に根で合成され、道管を通って地上部に輸送される。分裂組織、未熟な種子、形成途中の維管束などで濃度が高い。 効果サイトカイニンの作用については古くから細胞分裂やシュート(地上部)形成作用が確認されていたが、その他の作用についてサイトカイニン欠損株のある植物が知られていなかったこともあり、研究が進んだのはごく最近のことである。 具体的な作用を以下に示す。
農業への利用イチゴやランなどは優良株のクローンやウイルスフリーの植物を作るため組織培養させている。ここに成長制御物質としてサイトカイニンが使われている。また、ワタの収穫前に葉を落とすために使用するが、現在サイトカイニンの使用はこの用途が最も多い。その他リンゴなど果樹の枝の数を増やす、スイカやメロンの着果促進、ブドウ、キウイの果粒肥大促進を目的に利用されている。[要出典] なお、天然サイトカイニンのゼアチンは高価なため合成品のベンジルアデニンやチジアズロンが使用されている。 その他
関連項目 |
Portal di Ensiklopedia Dunia